店  名
 弥助そば
食べた日
2006/06/20

住  所
 秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字本町90
営業時間
11:00〜18:00

電話番号
 0183-62-0669
定休日
不定

かけそば
かけそばアップ
玉子焼き
浅漬け
店外観
前  説

 秋田のそば好きならば、一度は行ってみなければならない店。そばの歴史なんかを紐解けば全国的にも珍しいらしく、サライなんかにも掲載されたコトがある店、弥助そば。そばの歴史と弥助そばを結びつける(と思われる)、B食クラバーが聞いた、かけそばの誕生秘話はコウだ。

     A Long Time Ago, In A EDO Far, far a way...
    (はるか昔江戸っ子が、とあるソバ屋で…。)

 『てやんでぃ、コチとら宵越しの金は持たねぇ江戸っ子でぃっ!イチイチそばをこう、箸でもってつまんで、ツユに付けて食べるなんて、まどろっこしくてかなわねぇや。短気な江戸っ子にピッタリな様に、ツユをそばにかけて食べちまうよっ!コノ方が手間が無くって良いやぃ!え?隣の長屋が燃えてるって?火事と喧嘩は江戸の華!見なきゃ男がすたるってモンだい。いくぜ☆八!なんだいコノ人垣は。邪魔だよ、どいとくれ。はっ!どいたどいたどいたどいた!ん?あっちじゃ花火が上がってやがる!たまや〜!かぎや〜!』

 的なコトが発端でかけそばが誕生したらしいと聞いた。…あっているのだろうか?現在では、かけと言えば温かいソバで、冷たいソバはもりって相場が決まっていそうなモノだが、そのルーツを辿ってみれば、そばに冷たいツユをかけた冷たいかけソバが、原型だったのかもしれない。で、ソノ形を現在にまで残しているのではないかと思われる、全国的にも珍しいスタイルのソバが秋田にあるらしいとは昔から知っていたが、B食クラバーが住んでいるトコロからはチト遠いトコにある上に、そばって温かい食べ物でしょ?とか、何様のツモリかで思っていたB食クラバーの足は、ナカナカ向くコトはなかった。

 その様に毎日を無為に過ごしていたある日、当HPの掲示板にトラキチさんが初登場した。なんでも、犬っこまつりの会場にスペシャルなゲストを案内したついでに、何か美味しいモノを食べて貰いたいんだケド、何が良いか解らなくて…と言う、まるでB食クラバーも聞きたがっていたコトを代弁してくれているかの様な内容のカキコの登場に、当然のコトながら何の情報も持っていないB食クラバーは、一体誰が、どんなカキコをしてくれるのかと固唾を飲んで見守っていたが、遂にソノ情報は書き込まれた。

 もはやB食倶楽部県南方面担当主任とも言えるnaoさんとびびさんが、羽後町地域に伝わる冷たいソバ屋を何軒か紹介してくれていた。やはりコレは食べないで過ごすワケにはいかないのだろう。しかし、繰り返しになるがB食クラバーの住んでいるトコロから西音内はチト遠い。その内行こう、今度行こう、と思っている内に、まさか1年半も過ぎ去っていようとは。


Comment

 図らずも、西音内方面に出掛けるコトになった。ドコカに出掛ける場合、ソコで一体何を食べるべきかを最優先に考える最近のB食クラバーの頭に浮かんだのは、当然の様に西音内の冷たいそば屋群であった。問題は、どのソバ屋で食べるかだが、雪深い秋田にあって、真冬でも日常的に冷たいそばを食べるソノ地域に辿り着いて、初めて食べるならばヤハリ、元祖と言われる店で食べるべきであろうと、ココは弥助そばを目指すコトにした。

 用事も全て終わり、弥助そばへ。イツも初めて行く店に辿り着くには、モノスゴイ労力と時間がかかるのだが、(方向音痴って言うなー!)今回の場合はあっけなく着いた。まぁ、迷い様も無いってコトだろうか。事前に調べたトコロによると西音内では、一面に広がる蕎麦畑を眺望できると聞いていたのだが、見つけるコトが出来なかったのが残念だ。蕎麦畑がどう言うモノなのかを、B食クラバーが解らないせいで判別できなかった可能性がカナリ高い。

 色んなメディアで紹介されている通り、橋のたもとに弥助そばはあった。夕暮れの街に佇む弥助そば。店構えと相まって、趣を感じる。創業から180年間、同じコノ場所で町人や旅人に、蕎麦を提供して来たのかと思うと感慨もまたひとしお。

 麺が終了すると、閉店時間前でも店を閉じると言う話だったので、まだ店をやっているかどうか不安だったのだが、暖簾は出ていたし商い中の札も出ていたので、安心して店内へと足を踏み入れた。店内には他にお客さんの姿は見当たらない。小上がりとテーブル席があり、メニューは板に書かれ、壁に貼り付けられている。江戸の昔から、コノ様な構えでお客を招き入れ続けて来たのか。コノ店でソバを食べる、一体何人目の人間なんだろうかと考える。こんなトコロから歴史のロマンを感じる。

 トコロで、いざ何を食べよう?って思うとナカナカ決めるコトが出来ない。やはり天ぷらは食べたいし、そば専門店かと思ったらどんぶりモノもあって、なら天丼とかカツ丼とかも食べたいなぁ〜とか思ったが、ココはヤッパリ冷やかけそばを食べるべきだろう。そばダケでは夕食として物足りなかったので、玉子焼き・煮付けセットを頼んでみたが、煮付けが切れていたので、玉子焼きダケを付けて貰った。

 待ちに待った冷やかけそば。どんぶりに冷たいツユ、冷たいそば、そして刻みネギが乗っかっている。コシと噛み応えのある麺。ツユも濃すぎず丁度良い。つるつるツルツルと、あっと言う間にソバが胃袋に流れ込んで行く。もしかして量が少ないのかな?と想像していたが、食べ終わる頃にはお腹も充分に膨れていた。

 付け合わせの玉子焼き。注文した時は店員さんに、チョット甘めの味付けなので、若い人の口に合うかしら?なぁ〜んてコトを言われたので内心大丈夫かな?と思っていたのだが、コチラも程良い甘さでグッドテイスト!箸休めにも言うコトなし。

 念願の、かけそばの始祖と思われるソバを食べたB食クラバーは、士農工商の昔から脈々と作られて来たソバの、歴史と伝統を十二分に感じながら、最後の麺をツルッと飲み込んだ。