店  名
 天ぷら いもや
食べた日
2008/11/01
住  所
 青森県弘前市大字田町1丁目8-32-14-7
営業時間
11:00〜15:00 17:00〜21:00
電話番号
 0172-34-5229
定休日
月曜日

海鮮天ぷら定食
天ぷら
天ぷら
味噌汁

前  説

 青森県にレジャーで出掛ける予定が出来た。青森県と言えば以前、黒石市には出張で何度も出掛けたコトがあり、何だったら3ヶ月位1人で滞在していたコトもあった。

 今思い出してもアノ3ヶ月間はツラすぎて、思い出す度涙を禁じ得ない。出張先にクライアントの従業員は4人。年令も離れ、趣味も合わなそうなアノ4人とは、結局仕事に関連したコト以外で会話した記憶がない。

 招かれざる客と言うよりもパーフェクツ・アウェイ。6万人の観客席がフルシートで埋まっていると言うのに、観客全てが相手チームを応援しているかの様な状況に、中国で行われた2004年サッカーアジアカップ決勝の、日本対中国戦もコンナだったかもしれないと、両目を力一杯塞いで『おかーさぁーーーん!』と心の奥で叫ばずにはいられない心境に。

 お昼時になると他の方々は弁当を注文したり出前を頼んだりしているのに、B食クラバーにどうする?とかって聞いてくれたコトが一度もない辺りが一番の泣けるトコロ。B食クラバーの分もお願いします…って言えないムードが、そこかしこに充満していた。

 加えて、黒石市に滞在していた3ヶ月間はクライアント付近の宿泊施設に身を置いていたのだが、ソノ間のホトンドはクライアントと宿泊施設を往復するダケの毎日。おはようゴザイマスって扉を開けると、ソコにある数10丁もの銃口が、全てコチラに向けられている様な幻覚に目眩しまくり。

 …。

 キノウモヒィトリィ。キョウモヒトォリ。ソシテタ〜ブン、ア〜シタモヒトォ〜リ。マイニチマイニチコンナンジャ、

 オニーチャンイキテルッテ

 カンジガシナイヨーッッッ!

 ♪イキテルッテナンダロ。♪イキテルッテナァニ?

 と、真っ白な空間を背景にして、遠近感をまるっきりすっ飛ばした掛け合いを魅せる兄弟の、特にお兄さんの方の気持ちが手に取る様に解った日。宿には帰らず、黒石市の隣にある弘前市まで車で出掛けてみた。

 弘前市に出掛けたのはモチロン初めてで、弘前市内にはどう言う店や名物があるのか一切解らず、しかも、確か黒石市の隣には弘前市があったよな?って言う不確かな記憶でのみの行動に、当時のB食クラバーがどれ程鬱屈した精神状態であったか、いずくんぞあらんや。

 あてのない旅は、若さゆえの特権か。盗んだバイクで闇雲に走り出す様だったり、人気のない夜中、校舎の窓ガラスを一枚残らず叩き壊して回らずを得ない衝動を抱えた気分のB食クラバーは弘前駅の前に立ち、久しぶりに見るアーバンな街並みに、弘前市って都会だ!大都会だっ!と、心が洗われる思いで一杯になると共に、黒石市に滞在し始めてから今日までの自分が、リセット出来た様な気分になった。よぉ〜っし、明日からもう一踏ん張りしてみるか!と思い帰途に付いた。

 次の日の仕事中、ココから流れを変えてやる!とバカリに意気込んで、昨日初めて弘前駅前に行ってみたケド、秋田とは違ってモノスゴイ都会的でしたよ。良いトコですよね〜。と、思い切って話を切り出してみた。

 すると、『あ、そう?』的な返事が帰って来たダケで、あっと言う間に昨日までと全く同じ空気に。ソノ空間にB食クラバーは、長江に沿う赤壁を見た気がした。B食クラバーの中での劉備は、あわれ曹操の返り討ちに合っていた。何かを変えるタメに蓄えておいた燃料タンクは一瞬で空っぽに。もう何も期待しなかった。そしてもう、何も変わるコトは無かった。

 ソノ後、コトある毎に弘前駅前を訪れては息抜きを繰り返していたB食クラバー。もし、あなたにとって弘前市とはどんなイメージですか?って聞かれたとしたら、見渡す限りドコまでも果てしなく続く砂漠の中に、突然現れたオアシスの様だと答えるだろう。…弘前市について同様な印象を持っている人は1人もいないと思うが。

 で、今回はソノ時以来の弘前行。盛り上がるなと言う方が無理なモノで、久しぶりの弘前にはドンナ素敵なモノがあるんだろうと色々な情報を集めていると、イカス天ぷらやさんがあると、B食レーダーに引っかかった。

 ソノ店の名は、天ぷら いもや。天ぷらでいもとはコレ如何に。チョット不思議な気はするが、道中ココで昼ご飯を食べるコトに決めた。


Comment

 弘前で天ぷらを食べてみたいって言うのにはチョットした理由がある。いもやさんはカウンターだけのこぢんまりとした店構えらしいが、安くて美味しい店だと、メッキリ評判なのだ。

 B食クラバー常々、秋田市内にはイカス天ぷら屋さんが無いコトが気になっていた。料亭のコースメニューの中で天ぷらがあったりとか、ウチの店は予約しなきゃ入れませんよ的なコトじゃなく、誰でもが気軽に入るコトが出来て、ソノ上で、お手軽なお値段で揚げたての天ぷらを食べるコトが出来る。どうしてソンナ店が秋田市内には無いのだろうかと。

 二ツ井にあるかんちゃんが秋田市内にあれば、B食クラバー的には完璧に理想だ。かんちゃんが秋田市内に進出して来るのを、只々ヒタスラ待ち続けるしかないのだろうか。

 まぁ、秋田はソレで良いとして(えっ?)、オソラクではあるがいもやさんも、B食クラバーが考える理想通りの天ぷら屋さんに違いないと直感できた。こうなるともう、確認しないせずにはいられない。

 (途中、幾つかのアクシデントがあるのはイツモのコトなので割愛)

 いもやに到着し、入り口の扉を開ける。情報で得た通り、カウンターのみ10席程度の店内。座席は全て埋まっていた。いらっしゃいませ!と明るく声を掛けて貰う。ウェイティングの椅子に腰を下ろしつつ、何を食べようかなぁ〜と、壁に貼られたメニューを見つめる。

 ソノ後シバラク経過した後、たった今食事を終えたバカリのお客さんが、混んでるからね!と言いつつ、食事が終わった途端に席を立ってくれた。あぁありがたいな、申し訳ないなって思いながら、コレで天ぷらを食べられる!と、心の中でニヤリと笑いながら席に着いた。

 コチラで一番値段が高いのは、海鮮天ぷら定食の\1,080。海鮮天丼、海老天ぷら定食など数種類のお食事メニューがあるが、今回は旅行で訪れたと言うコトもあり、最高値の海鮮天ぷら定食に決めた。豪気な気分で店主に告げると、なつっこい顔の店主が元気に返事をくれた。

 カウンターの中に料理人は店主が1人で、数名の女性スタッフが下働きとホールを担当している。B食クラバーの座った席が、丁度店主が天ぷらを揚げる場所の前だったので、ソノ様子も楽しく見るコトが出来た。

 軽やかな声で女性スタッフに指示を下す店主の体は、イツも小刻みに揺れている。まるで何かダンスでも踊っているかの様だ。名付けて天ぷらステップ。おかげで待っている間も全然退屈しない。

 料理が到着した。天ぷらの皿を見ると、カニ、ホタテ、エビ、カボチャ、ノリ、春菊、ニンジンなどが乗っている。モチロン全て揚げたて。沖縄の塩が添えられていて、カニにはコノ塩を使って下さいとのコトだった。いやぁモチロンですよ、店主!なんだったらB食クラバー、全部を塩で食べますぜ!と目で訴えてみたが、果たして通じただろうか。

 ゴハンとお新香はオカワリ自由だと言う。今の時期は新米を使っているので、美味しい美味しいと言いながら皆オカワリしますよと話しかけてくれる。更に続けて、青森のお米も美味しいでしょう?みたいなコトを問いかけて来た。

 おそるべし、店主。B食クラバーが青森県民ではないコトを、一瞬の内に見破っていたのだ。確かに、良い炊き加減のお米。ゴハン粒を提供してくれる全ての飲食店でコレぐらいお米に気を使ってくれるのなら、B食クラバーがお米を食べる率だってもっと上がるに違いない。

 店主が塩を付けて食べろと言ったカニ以外は全て、塩と天つゆで半分ずつ頂いた。塩が美味しいモノ、天つゆが美味しいモノ、塩も天つゆも両方美味しいモノと色々あった。

 コチラの店では定食メニューの他に、ペコロス・じゃがいも・みょうがなど、単品の天ぷらメニューも20種程ある。一番安いのがピーマン・カボチャなどの野菜で\60。一番高いのはホタテの\250。ドレもコレも素晴らしい値段設定。天ぷら屋さんは本来こうあるべきだ。

 絶え間なくやって来るお客さんの欲求に応えるタメ、一所懸命天ぷらを揚げ続ける店主。指先を動かしながらもスタッフへの細やかな指示も怠らない。ソノ全てを笑顔でこなしている。

 コレだけでもナカナカ出来るコトでは無いと言うのに更に、カウンター越しにも関わらず、お客さんの湯飲みが空っぽだと気付くとお茶を入れ、お新香の皿が空いたと思ったらオカワリを盛ってくれると言うスーパーマルチタスクぶりを発揮。B食クラバーならば天ぷらを揚げるので手一杯で、スタッフの下準備が出来ていなかったら、舌打ちの一つもくれてやってるに違いない。

 食べ終わった後もB食クラバーに対し、お茶のおかわりドーゾとすすめてくれる。迂闊にも一杯頂いてしまったが、マダ待っているお客さんがいたので、名残惜しいながらも早々に店を後にした。混んでいなかったら店主の勧めるママに何杯もお茶を飲み、お新香のオカワリをイツまでもイツまでも続けていたかもしれない。

 あぁ、秋田市にもコンナ店が欲しい!って言うかハッキリ言ってコノ店が欲しい!会計時思わず店主に、秋田市に店を開く計画はありませんか?と聞きたい衝動を堪えるのに必死だった。