店  名
 江戸そば きちじ
食べた日
2008/12/30
住  所
 秋田県秋田市保戸野鉄砲町14-5
営業時間
11:00〜14:30 17:30〜20:00
電話番号
 018-867-2797
定休日
水曜日

ミニ天丼セット
ミニ天丼セットのそば
ミニ天丼
天ざる
天ざるのそば
天ざるの天ぷら

前  説

 秋田市にはお城がある。お堀に囲まれて緑が多く、春には桜が咲いたりして市民の憩いの場となる高台に復元された、秋田県のルーツたる佐竹藩の久保田城本丸の一部たる御隅櫓ではなく、市街地のど真ん中に。

 ファミリーレストランとレンタルビデオ店に挟まれて、ソコから5分も歩かないトコロには大きなショッピングエリアが待ちかまえ、人々の生活を支えている、ソンナ場所に。

 まぁお城と言っても、姫路城や彦根城の様に天守や石垣なんかを備えていたり、内部の秘密の部屋にて城下の豪商と山吹色のお菓子を交換しつつ密談、城主を討ち取ってマツリゴトをコノ手に〜〜〜っ!と画策する悪徳老中辺りがいたりする立派なモノではなくて、どう考えても現代風な建物の、屋根部分のみに小っさいお城がいくつも乗っかっていると言う、トータルで見ると建物部分と屋根部分がパーフェクトに不釣り合いなアンバランス・ビルディング。

 ソレを見ていると、目の前に緩やかでありながらも巨大な渦が存在していて、全てがソノ渦に飲み込まれてくかの様な気分に。気のせいか平衡感覚まで失われて行く様に感じられる。レス・ザン・ゼロ。ザッツ・トワイライトゾーン。

 一体コレは、どう言う理由でこうなったんだろう?と、前を通る度にいつも不思議に思っていたが、先日ソノ謎が解明された。某ローマ神話に出てくる海神の名前をグループ名にしたお笑い三人組が司会をしている番組で、コノ建物のコトが紹介されたからだ。

 以前建築会社を経営していたコノ建物の持ち主が7年前に引退。ソノ後趣味として、自宅で大好きなお城を作り始めた成れの果てがコレなのだとか。道路を歩いていて目に入る部分のお城については(大概のコトに目をつぶれば)オブジェとして見えなくもないが、TV放送により上部から撮影された建物の屋根には、もっと小さいお城が幾つも並んでいた。

 他の地域ならば(大概のコトに目をつぶるのが前提で)特段心配するコトも無いだろうが、雪国秋田に暮らすモノとしては、冬の間屋根の上に積もる雪の影響で壊れたりしないんだろうかと、どうせ人様のコトなのにいらぬ心配が脳裏をよぎる。

 周囲に微妙な怪光線を放ちつつ存在するコノ建物の1階に、蕎麦屋のきちじがあるのは知っていたが、そんなコンナで色んなコトがゴチャ混ぜになって、ナカナカ足を向けられないでいた。しかし、放送された内容を噛み砕くと、自分が今迄思っていたコトは、どうやら間違いであるコトが判明した。

 コノ放送があるまでB食クラバーは、お城=蕎麦屋きちじだと思っていたのだが実は、お城=コノ建物の持ち主なんだと、更に整理が着く迄1ヶ月強の時間を要してしまった。

 あぁ、そうか!きちじはコノ建物の店子なんだから、あんまり余計なコト気にしなくて良いんだ!と思ったのが2008年もコレ以上暮れようが無いって位の12月30日。お昼を食べるにはチョット時間遅くなったよなぁ〜と思いながらも、そう言えばきちじってお昼は14:30迄営業してたハズ!と思い出し、年越しそばの意味も込めて出掛けるコトにした。


Comment

 14:00近い時間帯にもかかわらず、店内はほぼ満席の混み具合。ちょうど空いていた1席に座るコトが出来た。皆B食クラバー同様、大晦日イブだから年越し気分でソバを食べに来たんだろうか?と思いつつ、耳に入ってくる店員さんと他のお客さんのヤリトリを聞いていると、何だかヤケに常連率が高い様に感じられた。

 去りゆく2008年を惜しみつつ、馴染みの店でチョイと早めの年越しソバを食べに来た人が多そうな気配を感じながら完全にストレンジャーなB食クラバーは、今エレベーターの中で『ご利用階数(回数)をお知らせ下さい』って聞かれたら確実に『初めてです!』と震える声で返事してしまいそうな程落ち着かない。

 ソンナ気分でいながらも、心の中で深呼吸を2度3度繰り返した後、メニューを開いてみた。メニューは大きく、冷たいソバと温かいソバの2つに分かれている。冷やかけ\550、もり\600とリーズナブル。各メニュー名の下には料理の説明が括弧書きで丁寧にされていて親切だ。鴨ざる\900、天ざる\1,150も良いなぁと思っていると、本日鴨は売り切れましたとアナウンスが。

 まぁ時間も遅いし仕方あるめぇ。そぉさなぁ〜。それじゃあ替わりにミニ天丼セットにしてくんな!と、ソバを食べる気分のせいか江戸っ子になったツモリ注文してみる。繰り返しになるが、14:00前後と言う時間帯のタメお腹が空いていたから、ソバだけじゃなくてゴハンも食べたかった!って言うのが正直なトコロだ。

 数種類あるセットもののトコロには、『○○丼とかけそば(冷やかけ)』とキッチリ冷やかけと括弧書きされているのに、注文すると温かいソバか冷たいソバかと聞かれる。ソバは冷たいのに限ると思っているB食クラバーは、冷たいの!と即答した。すると今度は、鰹ダシにするか煮干しダシにするかと聞かれた。

 
…アレ? ここってス夕バ?
 

 と一瞬、自分がシアトル生まれのカフェチェーンにいる様な錯覚に。

 うろたえつつも、多分鰹ダシって食べたコト無いよなーと思ったので、ココは保守的に煮干しダシを頼んでみた。もしかしてコノ後そば粉の産地とか、天ぷらの揚げ方はどの様にするかとか聞かれるんだろうかと思わず身構えたが、店員さんはそのまま厨房の方へと向かって行ってくれたのでホッとする。

 その後もお客さんが激しく入れ替わりの立ち替わりで、テーブルの埋まり率が減るコトは無い。早くソバを食べさしてくんな!待ち切れねぇよ!と思った何回目かに、ようやくミニ天丼セットが到着した。お腹が減りすぎていたので待ち時間を異様に長く感じたのは言う迄もない。

 ソリッドで透明感のある麺。メニューに冷やかけと書かれていたので、西音馬内系のそばなのかと思ったが、そうでも無い様だ。つなぎに布海苔を使っている気配が感じられない。って、B食クラバーの貧乏舌が判別出来ないダケで、実際は布海苔をバンバン使っていて、ルーツは西音馬内ですが何か?って言われてしまうかもしれないが。

 普段家で日常的に(1袋3食入の)ソバを食べているB食クラバーにとって、きちじのソバはコシも歯ごたえも充分な様に感じられる。コンナにイケててリーズナブルなお店なのに、只屋根の上にお城があるって言うダケの理由で、今迄一度も来たコトが無いって言うのが悔しくてならない。

 家族経営かと思われる、ウェルカム・ムードに溢れた店員さん達も良い感じ。料理の前にお通しを出してくれるし、テーブルの上には自由に使える天かすも設置されているし、セットメニューに関しては書かれている以外にも、ミニ天丼ともりそば・とろろどんとぶっかけ等の組み合わせも選べる様で、きちじは非常にお客さんのコトを考えてくれているんだなぁ〜と感じられる。成る程、常連さんも多いワケだ。

 冷たいソバを食べたのに、あったかムードで年を越せそうな、2008年末のB食クラバーであった。