店  名
 ねこの手
食べた日
2008/06/24
住  所
 秋田県大仙市大曲西根字仁応治540
営業時間
11:00〜14:00(昼)
電話番号
 0187-68-2030
定休日
 

えび天そば(冷)
えび天
麺
山芋

前  説

 とある用事で大曲周辺を車で走っていた時、同乗していたクラバーRさんが奇声を発した。

 何事か!と思い、クラバーRさんの方を向いてみると、クラバーRさんは窓の外を見ていた。ソノ視線の先には、『ねこの手』と大きく書かれた看板があった。

 クラバーRさんとネコの関係は切っても切れず、昔ネコを飼っていたのはモチロン、現在でもついついノラ猫にエサをあげたりしてしまう程のネコ好きだ。

 そのクラバーRさんが、思わず奇声を上げてしまう気持ちは分からなくもないが、ソレでも『ねこの手』って看板に書かれているダケでしょ?とは思ってはいるモノの、口に出してしまう気にはなれない。

 そうしてもうシバラク走っていると、『ねこの手』の店らしき建物が目に入った。猫の人形や飾り物なんかが窓枠の中からコチラを見つめ、なんだったら未来世界の猫型ロボットの姿まで確認できる。ココの店の店主も、クラバーRさんに負けない位のネコ好きらしい。

 看板を見た時は雑貨屋さんかなぁ〜と思っていたが、実際に店を見てみると、どうやら食べ物屋さんらしい気配が感じ取れた。ソレでも猫のディスプレイとか置いてるトコをみると、洋食屋さんなのかなーとか思いながら通り過ぎてみた。

 帰り際にもう一度店の前を通ってみると、お蕎麦・お食事と言う文字が見てとれた。あー、ココは蕎麦メインの食堂なんだなーと言うコトが解ったが、本日の食事予定は他で立てているし、B食クラバーにはピンと来ない店だった。

 なので、アマリ関心を持てないまま通り過ぎようとしたのだが、ふと気付くとクラバーRさんが店の方向に熱い眼差しを注いでいる。コノ視線、ドコカで見たコトあるなーと思ったら、ノラ猫にエサをあげているクラバーRさんの表情がオーバーラップして来た。

 クラバーRさん、ソレは猫じゃなくて『ねこの手』って名前の食堂ですよ!繰り返しますケド猫じゃないですよ!と言おうとしたトコロで、今度是非、コノ店で食事をしてみたい!と、キラキラと輝く瞳で訴えて来た。

 猫と名前に付けば、何もかもが猫に感じられてしまうのか。正直言ってソノ感覚はイマイチ理解できないが、コノ場において、『いやーアンマリ興味ないんですケド。』と言っちゃう程空気を読めないワケでもないB食クラバーは、『じゃ、今度!』と言いつつソノ場を離れた。

 実際、秋田市に住む身としては、大曲にはそうそう来る機会なんかあるモンじゃない。ねこの手で食事するなんてコト、ありえるのかなーと思っていたB食クラバーは、ソノ機会が意外に早く訪れるコトを後に知る。


Comment

 クラバーRさんと食事するコトになり、ドコに行くのか考えていると、クラバーRさんが黙り込む。どうしたのかと気になりクラバーRさんを見てみると、B食クラバーに向かってヤケに熱い視線を投げかけている。

 ん?何?コノ視線は…?と考えると、スグに察しが付いた。そう、コレはノラ猫にエサをあげている時のクラバーRさんの表情だ。どうしても『ねこの手』で食事をしたいらしい。多分だが、他の店の名前を挙げても、ナカナカ首を縦に振るコトは無さそうだ。

 意を決してクラバーRさんに、猫の手行ってみる?と声をかけると、ゴロニャ〜ンって声が聞こえそう程に、パーフェクツなスマイルを返して来た。世の中、何が起こるか解らないモノだが、ただ一つ確かなコトがある。ソレは現在秋田市内にいる我々が、一時間後には大曲にある『ねこの手』で食事をすると言うコトだ。

 最早、通い慣れた道と言っても過言ではない、ねこの手への道。店の前には15〜6台と、更に詰めれば20台は車を停めるコトが出来そうな広さの駐車場。8台程度埋まっているが、コレは結構混んでいると言うコトなのだろうか。猫の置物と、沢山の猫の写真に見つめられつつ、店のドアを開けた。

 …。しかし、無反応。一般的にこう言う場合、扉を開けた瞬間に店員さんが、いらっしゃいませー!と元気に声を掛けてくれるモノではないだろうか。

 しばし佇む。しかし、尚無反応。店内を改めて見回すと、右側にテーブル席が3つ、小上がりにテーブルが2つ。ソレゾレにお客さんが1組みずつ座っているが、当然のコトながら我々に向かって何かをしてくれるワケではない。

 左側方向には大広間的な座敷があり、ソコでは12〜3名位の方々が賑やかにやっている。あぁ、アソコへの対応で大変なんだな!と思い、落ち着くのを待ちつつ店員さんらしき人を探してみるが、どう考えてもソコにはお客さんしかいない感じがする。

 え〜、何コレ。どうなってんの?と、意を決して厨房の中を覗いてみると、1人カーサンが忙しげに動きまくっていた。カーサンの邪魔をするコトになって心苦しいのだが、いつまでも入り口付近でボォ〜っと突っ立っているワケにもいかない。大きく息を吹き込んで、それでも抑えめのボリュームで声を掛けてみた。

 慌ただしく動く手を休めるコト無く、カーサンが反応してくれた。しかし、相変わらずいらっしゃいませとは言ってくれない。もう営業時間は終わったのだろうか?と思いつつ、いいですか?と聞いてみると、今日は1人しかいなくて時間かかるケドーと、ようやく店に来たって気分にさせてくれる会話が成り立った。

 1人しかいないトコロに10数名のお客さんが来たのだからコンナ状況になったのかと、ようやく現状を認識できた我々は、自分達が新たに入って来たお客だと言うコトをアピール出来たので、安心して席に座ってみた。

 しかし、マサにねこの手も借りたいぐらいの忙しさであろう様子を伺うにつけ、まるで名は体を表すを地で行く様なコノ店のネーミングを前に、落ち着いてもいられない。なんだったら手伝いましょうか?とか思わなくもなかったが、手伝ってるツモリが皿を割ったりしたら足手まといな上に弁償もしなきゃいけなくなるので止めてみた。

 メニューを見てみると、もり、とろろ、天ぷら等数種のソバとウドンの他にはオニギリがあるぐらいで、看板にお食事処って書いてあったのだから、カツ丼とか天丼的なモノもあるのかなーとも思ったのに少々ガッカリ。

 コチラのソバは、羽後町産のソバ粉を100パーセント使用、国産ダシを使った手作りタレで提供されているコトが解った。羽後町と言えば冷やがけのメッカ、西馬音内のソバがあるトコロ。実際に店迄来ておきながら未だにソレ程コノ店に興味を持っていなかったB食クラバーだが、ココに来て急にやる気が俄然と。

 西馬音内のソバならば冷やがけだろう。そしてココはリッチに行こう!と思い、ようやく手が空いたであろうカーサンに、えび天ソバの冷やがけを注文してみた。チョイお腹が空き気味だったので、有機栽培のコシヒカリで作られていると言うオニギリも頼んでみたが、ゴハンは終わってしまったと言われたので諦めた。

 20分程経過したトコロで、ようやくソバが到着した。もしかしたらモット待つコトになるかなーと思ったのでホッとした。秋田市から1時間かけて来たし、もうお腹はペコペコだ。

 えび天2本にシソ天が1つと刻みネギが乗ったソバ。何故か山芋付き。お腹が空いていたので、ソバよりも天ぷらを先に口にしてしまう。良い感じの揚がり具合。細目の麺にはチョイ濃いめかなーと感じられなくもないツユ。しかしコレが、そば湯で割って頂くとすこぶる美味しい。ココまで合わせてトータルで味わうべきか。

 一時はどうなるかと心配だった『ねこの手』での食事だが、なんとか無事に終えるコトが出来てホッとする。クラバーRさんも満足した様で、無言ではあったがソノ笑顔はまるで、『美味かったニャー』と言っているかの様であった。