店  名
 佐藤養助商店
食べた日
2006/10/24

住  所
 秋田県湯沢市稲庭町字稲庭20
営業時間
11:00〜17:00

電話番号
 0183-43-2911
定休日
月曜(12/1〜3/31)

二味せいろ
稲庭うどん
二味天せいろ
天ぷら
書
前  説

 B食クラバーは稲庭うどんをアマリ好きではない。秋田県の名物として古くから親しまれ、各種贈答品やお土産として、全国的なステータスもカナリのハイクラス。あまつさえ日本三大うどんとして讃えられてる程素敵なモノを、B食クラバーが好きじゃないって一体どんな理由だ。

 他にもキリタンポ、ハタハタなんかをB食クラバーはアマリ好きじゃない。子供の頃から散々食べまくって飽きたからって言うのがソノ理由だ。B食クラバーの、あるんだか無いんだか少々怪しい、おそらくクルミぐらいの大きさの脳味噌から記憶を探ると、ある年の冬期間、毎日々々キリタンポを食べ続けていた様な気がする。他の年にはハタハタも。

 鮮明に覚えているのは秋田名物でも何でも無いサンマで、ソレについては半年間も食べ続けていたと言う実績がある。半年間サンマを出し続けた母親も母親だが、ソレに気付かずに食べ続けたB食クラバーも大概なモノだ。好い加減3日続けて同じモノを食べたら気付よ!って感じがするが、自分の迂闊さを、いや、迂闊という言葉を使ったら迂闊に失礼な程の事態を招いた結果、もう一生分のサンマを食べ尽くしたと感じたB食クラバーはソレ以来、サンマも食べたコトがない。

 おそらくコレと似たようなコトが繰り広げられて、稲庭うどん(とついでにキリタンポとハタハタ)もそんな食べなくて良いや!って心境に陥ったと推察される。そんなワケで高校生までのB食クラバーは、稲庭以外のフツーのうどんも食べていなかった。学食なんかで同級生がうどんを食べているのを見ると、よくそんなモン食べたいよなーと、まさか口にも表情にも出せるワケが無いので、ニコニコしながら自分の食事を進めていた。思い返せばB食クラバーは、この頃から大人の付き合い的なモノを会得していたのかもしれない。

 しかしソノ後、とある事情でB食クラバーはうどんの魅力に気付く。うどんの美味しさに見事にハマり、遅れて来たうどん好きは、色々なうどんを食べ続けた。それでも稲庭うどんについては意識してかしないでか、微妙に回避していた辺り、コレがトラウマと言うモノか。

 ソノ稲庭うどんを、どうしても食べたい!って人がいたので仕方なく付き合ってみたトコロ、コレが美味い。今迄美味しいと感じなかったのは何だったんだ。食べていなかったのが勿体ない〜っ!と思った程だったが、ソノ後なんて言うか、リピーターになったというワケでも無い。稲庭うどんとB食クラバーの間にはそんな距離感がありつつ、現在に至る。


Comment

 成人してからも食べたり食べなかったり、って言うか何回食べたのか正確に数えられるし、その回数は片手で足りる。その度に、美味しいって感じたり、ヤッパリそうでもないなって感じたりを繰り返していた。基本的に同じモノを食べているのに、何でコンナに感じ方が違うのだろうか。とっくの昔に求心力を失っているのに気付かずに、今日もワガママを繰り返すドコカのアホ社長の様に、ソノ時の気分に左右されているのかもしれない。

 そのB食クラバーがまさか、稲庭うどん発祥の地である湯沢市の稲庭町にて稲庭うどんを食べるコトになろうとは、お釈迦様でも気が付くめぇ。店に着くと駐車場はほぼ満車状態。係員1名が、車の誘導をしていた。

 赤い毛氈がひかれた椅子に射し込む日差し。純和風の建物が素晴らしい。店内に入るとスグに、乾麺やつゆの詰め合わせ等のお土産物なんかの売場がある。和風の建物だったので店員さんの服装も和服かと思ったら、男性店員が蝶ネクタイをした洋服だったのでちとビックリ。テーブル席と小上がり席ドチラにしようか迷ったが、なんだかカナリ立派そうな書が掛かっている風情が気になって、小上がり席にしてみた。

 メニューは基本的に、かけかせいろ。せいろの場合めんつゆは、しょうゆかごまみそを選ぶ。麺はせいろにしようとアッサリ決まったが、ツユをドチラにしようかと迷う。すると二味せいろと言うのが、しょうゆとごまみその両方を味わえると言うのでソレにしてみた。

 出来上がりまでに店の中を見回し、改めて壁に掛けられている書を見つめる。…達筆すぎてなんて書いてあるんだか解らない。いつも思うのだが、達筆な人は他の達筆な人の文字を、ホントに文字として認識できているのだろうか。何かテーマがあるから、ソレだと解るんじゃなかろうか。

 例えば熟睡しているトコロに水をコントの様にかけられた挙げ句無理矢理起こされ、『んじゃコレからヒマラヤ登頂して貰います。』って達筆で書かれたフリップを見て、『え?マジで?』とか、『ウソ〜ん。聞いてないわぁ〜!』とか絶叫できたりするのだろうか。と、書道家の友人もいないB食クラバーは回答を得るコトも出来ず、子供の頃から悶々としている。

 アンマリ悩んでいてもしょうがないので、隣のテーブル席の方を見てみると、壁に沢山の色紙が貼られている。一体どんな有名人が来ているのか気になったが、近く迄行かなければ確認できそうもないので諦めるコトにした。いくらB食クラバーでも、見ず知らずの人が食事しているテーブルの傍迄寄って行って、ちょっと失礼しますとか言って身を乗り出して、通路から料理越しに、壁に掛かった色紙を見るのは如何なモノかと思うし。色紙の判別は次回来た時の楽しみにしよう。

 醤油のめんつゆってのはよくあるんだケド、ごまだれってのは珍しい。醤油にはワサビ、ごまだれには生姜を薬味で入れる。ツヤツヤと透き通る様な色合いのうどんを、まずはしょうゆだれに入れる。食べ慣れた食感が喉をツルツル通り過ぎて行く。次にごまだれで食べてみる。ナカナカ美味しいと思ったが、薬味のショウガがどうにも不思議な食感で、例えて言うならサザンオールスターズのボーカルがTUBEの前田だったとか、そんな微妙な擦れ違い感が。

 B食クラバーが入店した時は1/4程度の入りだったが、食べ終わる頃には満席に。小安峡まで紅葉を見に行った帰りに寄ってみたと言う初老の夫婦連れがいて、会話に聞き耳を立てているとどうやら宮城県から来ているらしい。そう言えば店の前の駐車場に置いてる車のナンバーも良く見ると、宮城とか岩手とか書かれていた。

 休日ともなると東北の各地から、あるいは全国各地から、コノ地にうどんを食べに来る人がいるのかと考えたら、ココは凄い場所なんだなーと改めて、日本三大うどんの実力を思い知った。