店  名
 青木堂オープンベーカリー
食べた日
2004/02/22

住  所
 秋田県秋田市保戸野通町3-22
営業時間
 

電話番号
 018-823-1622           青木堂のBilogへ>
定休日
 

アイスクリームパン
サンドウィッチ
かりんとドーナツ
サラダパン
あんドーナツ
前  説

 『青木堂ベーカリーの場所知ってたら教えて下さい!』とか言うメッセージを受け取ったのはイツの日のコトだったか。この純真無垢な問い掛けに対し、最初にB食クラバーの脳内を駆け巡ったのは、『青木堂ベーカリーって何ですか?』と言う、質問には質問で返すと言う、不遜な態度とも受け取られ兼ねない、基本的なセンテンスであった。

 簡単には手の内を見せない。コチラのカードを切るからにはそれなりの代価が必要だと、高度な駆け引きにも似たセリフのやり取りを、しかしする程B食クラバーは人間的にこなれているワケでもない。恋愛の初期段階でのこういったやり取りは楽しいが、コチラの手の内を隠し過ぎると、相手が興味を失ってしまうのが難しいトコロ。しかしコノ場合、手の内がどうのこうのってコトよりも、本人が何も知らないんだから話にならない。まずは情報を仕入れるコトから始めてみた。

 コンナ時は取り敢えずクラバーMさんに聞くのが一番手っ取り早いのだが、クラバーMさんも知らないと言う。まさかクラバーMさんが知らないなんて!あっさりとココで情報を得るコトが出来るだろう!と踏んでいたB食クラバーの情報捜索活動は、突然エブリシングシャットダウン。連休前日の激しく混んでいるATMに並んで、ようやく自分の順番が来た!さぁお金を下ろすぞ!と張り切ったトコロで、『本日のお取り引きは終了しました。』って、モニターの向こう側でCGの彼女が優しく微笑みかける、あの画面を見た様な心境。

 指先迄冷たくなり果てたB食クラバーは、さてどうしたモノかと思ったが、ベーカリーと言うからにはパン屋だろうし、この様な質問が発生すると言うコトは、おそらく評判も良いに違いない。ならばインターネットに何らかの手がかりが載っかっているハズ!と、あくまで他力本願。丁度PCの前に座っていたし、早速検索をかけてみた。イヤ、決して仕事中と言うワケでは…。ゴホゴホ。

 しかしインターネット上では、住所と電話番号しか手に入れるコトが出来なかった。どうやら以前は、西武内にも出店していたらしきパン屋の情報が全く無いとはどう言うコトか。謎のパン屋、青木堂オープンベーカリー。その姿は、はらってもはらっても一向に切れる気配の無い深い霧の向こうにあり、想像するコトすら出来ない。


Comment

 そんなコトを考えていた数日後、クラバーMさんが、『県庁の売店で見掛けたから買って来た!』と、背景に薔薇の花びらが舞っている様なエレガントさを身に纏いながら登場した。一度確認するために、B食クラバーに対して電話を掛けてきた様なのだが、その時のB食クラバーは他のコトをしていたため、電話に出るコトが出来なかったのだ。

 TVドラマならココからすれ違いが始まり、掛け違えたボタンを元に戻すコトは難しいんだよと、ワケ知り顔で喋ったりするモノだが、我々の目的は一緒。ベクトルは1つ。早速クラバーMさんの買ってきた商品を頂いた。しかし、はぁ?と言うボヤけた味覚が口の中に広がる。そんなハズは無い。探し求めて来たパン屋の味がコンナモノであるハズが無い!と続けてもう1口。だが、何度口にしても味が替わるコトは無かった。

 クラバーMさんは、如何にも手作りっぽい感じのパンが、1ヶ1ヶ袋に入れられて売っていたと、B食心を擽るコトを言う。やはりコレは1度店まで出掛けてみるしかないであろう。ココ迄、あくまで受動的なB食クラバーであったが、ようやく重い腰を上げてみるコトにした。

 実際にB食クラバーが店に行くまでの間、とある筋から、青木堂で販売されているアイスクリームパンなるモノを頂いたのだが、コレがナカナカ美味い。アイスクリームと言うからにはガチガチに凍っていそうなモノだが、そのパンは別に冷えているワケでも無い。パイっぽいパンの中に白いクリームの様なモノが入っているが、コレがアイスクリームなのだろうか?

 何か謎掛けでもやられている様な気分で1口食べてみると、不思議とそのクリームは、まるでアイスクリームに変身したかの様な味覚で、B食クラバーの五感を刺激する。まだ騙されている様な印象は拭えない。キャビアだと言われてとんぶりを食べている様な、イヤ、それだったらまぁドチラもソコソコって感じは無くもない。プリンに醤油を掛けるとウニの味がするとか、キュウリにハチミツをかけるとメロンの味がするとか、そう言ったモノとも違うセンスがB食クラバーの体を支配する。益々青木堂ベーカリーに対する気持ちが高まり、遂に直接店に出掛ける日がやってきた。

 と言っても到着したのは16:30位で、とても積極的に行動した時間とは思えない。しかしコレが、予想外の幸運を呼ぶコトに!店内に入ってみると、商品棚の半分は空になっていてガックリ。商品は一カ所にまとめられていて、商品名の名札も片づけられている。

 不安に駆られるB食クラバーの目に飛び込んで来たのは、『工場価格2割引』と大きく書かれた文字であった。更に店内を見回すと、売れ残ったパン3ヶが1袋にまとめられて\150と言う太っ腹な価格で販売されていた。コレは買わないワケにいくまい。3ヶ入りのパンが入った袋を丹念に観察し、一番理想に近い袋を入手。しかしコレだけでは足りないので、単品で売られているパンも買うコトにした。

 名前は解らないが、その時のB食クラバーの味覚にフィットするパンを2つ買うコトにした。だが、会計をする段になって、急な不安が体を襲う。コレらのパンは、名前が解らないコトはモチロンだが、値段も解らないコトに気が付き愕然。まるで家を出る時に、『あれっ?水道の蛇口締めて来たっけな?』ってなぐらいの心配事である。もし閉め忘れていたら、今頃は流しから溢れ出し、床にも目一杯張られ、隣近所にも大迷惑を掛けているかもしれない位大変なコトである。あるいはドアを開けた瞬間、大量の水が流れ出て来るかもしれない。

 しかしそれは余計な心配で、会計された結果は\404であった。安い。ココまで安いと幾ら何でも安過ぎでは無いだろうかと、逆の不安が込み上げて来たが、意外に出費が少なかったと言う嬉しさに、いつの間にか掻き消されて行った。

 どうやら添加物等も一切使っていない様で、しかもコノ低価格。青木堂に来るなら夕方の時間帯に限る!と思ったのは言うまでも無い。1ヶ1ヶの商品名と金額は解らないが。


後  説

 後日、青木堂の店に行ったコトをクラバーMさんに報告すると、横からクラバーAさんが割り込んで来た。『青木堂って保戸野にある?』クラバーMさんの瞳はいつも以上に輝いている。何とクラバーAさんは昔っから知っている様であった。モチロン夕方行くと安いってコトも知っていた。

 ちょっとアンタ、知ってんなら最初っから教えてよ!と思わなくもなかったが、幾つかの情報を得るコトが出来たので良しとする。今の店は昔は工場だったコト。喫茶店とお菓子屋を併設していたコト。更に意外と多くのスーパー等に商品を提供しており、気が付くと良く見掛けるらしいコト。そして、秋田駅ビルに『おっぺる青木堂』と言う名前で店を出しているコトも教えてくれた。

 ココまで聞き及ぶに至り、クラバーMさんも感情を炸裂させた。『あぁ、駅ビルにあるあのパン屋か!』と、昔駅ビルが出来立ての頃何度か食べて、美味しいと思っていたらしい。

 唖然。青木堂のコトを知らなかったのはB食クラバーだけであったのだ。自然と零れる涙。しかしソレは、他の人には決して見えるコトの無い涙であった。そんなB食クラバーのハートの中身を知る由も無く、クラバーMさんが次の様な言葉を投げ掛けた。

 『多分、知らないパン屋ってイッパイあるんだろうし、パン屋の一覧表なんか作ったら面白いかもしれない。』

 そう言えばラーメン屋の本とかHPとかは結構見掛けるが、パン屋のソレはアマリ見掛けたコトが無い。ヒョットしたら知らないのはB食クラバーダケで、有名な本なりHPなりがあるのかもしれないが。こうなったら作ってみるか!と心の片隅でヒッソリと思うB食クラバーであった。