店 名

お菓子のゴンタロー

 

ロングシューのBilogへ>

住 所

男鹿市船越字内子224

食べた日

2005/09/09

TEL.

0185-35-2240

 

営業時間

9:00〜20:00

前 説


 いつも見ていた。気づかれない様に、気づかれる様に。辺りに注意を払いながら、あるい
は全く意識せずに。胸の奥に秘めたコノ思いは、それでも隠しようがない程にB食クラバー
の心をすり抜け、周りにいる全ての人に筒抜けだったのかもしれない。

 デュプレいしいの店内でソレは、際だつ存在感を放っていた。全長が30cm以上もありそう
なエクレアの様な形をしたシュークリーム。一体何故そんなに長くする必要があるのかサッ
パリ解らない。見た目から来る衝撃に、B食クラバーはイチコロだった。

 縦に長く開かれたシューの中には生クリームと、そしてイチゴやメロンなどのフルーツが、
それぞれカットされて散りばめられている。…ゴージャス。今や叶姉妹の代名詞とも言われ
るコノ言葉が、ココまでジャストフィットするスイーツも珍しい。スイーツ界の叶姉妹。そんな
言葉が頭を過ぎる。

 ショーケースの中でも一際異彩を放つ叶姉妹は、自らのステータスを示す様に\1,200と、
(いや、\1,500?\1,800?高すぎて記憶に無し。)他のケーキ達とは一線を画す金額設定
で輝く。スイーツ界の叶姉妹って看板は伊達じゃない。B食クラバーは、デュプレいしいに行
く度に、あぁ、良いなぁ。食べてみたいなぁとか思うのだが、そのブルジョワジーさに尻込み
し、いつも遠くからさりげなく、チラッチラッと見ているんだか見ていないんだか、自分でも良
く解らない視線を投げかけては1人、悶々としていた。

 チラ見しているから欲求不満が溜まるのか。ならばいっそ、コレ以上ないぐらいの熱視線
を浴びせかけて正視してみようかと思ったりもするが、高くて手が出ない現実を目の当たり
にするコトになりそうで、ソレもできない。

 高嶺の花は高嶺の花として、遠くから眺めているのが一番だと、B食クラバーはしばらくの
間、自分を慰めるように言い聞かせて来た。しかし!秋田市に隣接する男鹿市に根を下ろ
す、『お菓子のゴンタロー』で、デュプレいしいの叶姉妹に酷似したモノが、なんと半分程度
の値段で販売されていると言う話を聞いた。

 えぇ〜っ!マサカそんな!あれと同じ様なモノが半分の値段で売られているワケがない。
もしあったとしてもソレは、似ても似つかないモノに違いない!と、ホントにそうだったら良い
なと言う思いを心の底に秘めつつ、その希望が裏切られた時のコトを考え、知らず知らずの
内に、自分の心に予防線を貼ったりしてみた。

 しかしソレは、真実だと解った。りあさんがソレを、写真付きで教えてくれた。ドコからどう
見ても、叶姉妹である。コレをその程度の金額で手に入れるコトが出来るなんて。叶姉妹
に対する敬意はモチロン払いつつも、もはやコレを買わなければ気持ちも落ち着かない。
後はそのタイミングを待つダケだ。

Comment


 …躊躇っていた。高くて手が出ないと思っていた商品とほぼ同一のモノを、半額程度の
値段で買うコトが出来る。ソレについてはもう吹っ切れているのだが、全長30cm以上もある
シュークリームを、果たして食べきれるかどうかと言う疑問が頭をもたげて来たのだ。

 食べ切れなければ2日〜3日に分けて食べれば良いだろうってな考えもあると思うがコノ
場合、何日経とうが何回に分けようが、途中で飽きてしまって食べたくなくなる可能性も捨
てきれない。コノ場合B食クラバー的にカナリきつい。なんせ全てのスイーツの中でシュー
クリームが1番好きなのだ。もしコレを食べきれないコトがきっかけで、シュークリームを嫌
いになったとしたら、それは今後の人生の楽しみが、半分以上も減ってしまうコトを示唆し
ている。コレは避けなければならい。そんなコトを考えている間に月日は流れていった。

 何度かゴンタローの前を素通りし、駐車場まで行ったモノの引き返す等と言う弱気な行動
を繰り返すB食クラバー。コノ踏ん切りのつかなさには、自分自身ウンザリだ。だが今回は
違う。朝から、楽しいコトを数え上げればキリがないって位高揚した一日を過ごした気分の
中、ゴンタローの前を通りかかる。今日買わなければ、次の機会は当分訪れないに違いな
い。B食クラバーのハートは、ロングシュー購入のみに埋め尽くされていた。

 店内に入る。沢山のケーキがあるが、真っ先にロングシューが目に入る。写真で見て知っ
てはいたが、実物を直視すると、また別の感動に心が震える。確かに\630。間違いのない
事実を目の当たりにし、興奮も絶頂に達する。まさにエクスタシー。商品を手にした時、B食
クラバーの顔は、コレまでにないくらいニヤけていたハズだ。

 家に帰り、袋からロングシューの入った箱を取り出す。長い長いロングシューを入れるそ
の箱は一見、巻物や掛け軸を中に納めている様に見える。もちろんロングシュー用の特別
製だろう。何から何までがスペシャルだ。

 箱を開ける。自然と笑みが零れる。生クリームの中に、
赤や黄色や緑のフルーツが輝いて見える。誰にも邪魔
はされない。どうやって食べるのも自由だ。

 所詮どんな皿にも乗せるコトが不可能なコレは、存在
自体が規格外なのだ。規格外のモノを、チマチマ皿に乗
る様に切って食べたりはしない。その大きさを確認する
様に、B食クラバーは大きく口を開けて、真横からかぶり
ついた。

 生クリームとカスタードクリームとブルーベリーが口の中で踊る。コレぞマサに、シューク
リームのIT革命や〜!と、コレ以上なく目をまん丸くして、関西弁で叫びたくなる。身長も若
干縮んだように感じるのは気のせいか。憧れていた味をようやく口に出来た喜びで、B食ク
ラバーの舌は、動き続けるコトを止めなかった。…10cm食べる迄は。

 その後、ピタリと動きが止まる。何故かコレ以上食が進まない。例えいくら満腹でも、甘い
モノは別腹じゃなかったのか。しかも更に、シュークリーム腹が別に用意されているんじゃ
なかったのかと自問自答を繰り返す。クリームが胃袋に溜まり、口が胃袋へ流し込むのを
拒否しだした。恐れていた事態が起こり始めていた。

 ココで止めたらシュークリーム嫌いになってしまう。そう考えたB食クラバーは、無理を押
してもう少し食べ進めた。するとソコにはブルーベリーが。口に広がる酸味と爽やかさ。ブ
ルーベリーやパイナップルやイチゴと言った果物は、甘いモノだと思いこんでいたのだが、
ココに来て初めて、そうじゃない!って気が付いた。

 生クリームに果物。コノ組み合わせの妙。特にロングシューに果物は欠かせない。果物抜
きにロングシューは食べきれないとさえ断言できそうだ。ココで息を吹き返したB食クラバー
は、更に食べ進むコトに成功した。フルーツ最高!とか思い始め、一体自分がどうしてロン
グシューを食べたかったのか、その目的すら見失いがちな本末転倒さ。

 結局、半分を食べたトコロで甘いモノ用の別腹も、シュークリーム用のオプション腹も、
はちきれんバカリにフルチャージ。半分ホッとしながら、残りは次の日食べるコトにした。
幸い、今のところシュークリームが嫌いだ!とは思っていない。あの時、残りは別な日に
食べようとした決断が、全てを良い方向に納めたのだと信じたい。

 

ロングシュー \630