店  名
 ルルメット
食べた日
2008/04/16
住  所
 秋田県仙北市田沢湖小松字羽根ヶ台630-1
営業時間
 
電話番号
 0187-52-4649
定休日
 

神代カレーセット
神代カレー
サラダ
みそ汁
ほうれん草練り込みそば

前  説

 去年の秋、抱返渓谷へ紅葉狩りに行った時のコト。沢山の人の波に紛れ込んで、オソラクではあるが他の人の2倍位は滞在&堪能した辺りで、出店が並んでいるエリアに到着した。

 ソコではイツモ通り、焼きそばとかお好み焼きとかタコ焼きとか焼きそばなんかの屋台があって、ゴハンは済ませた後だったケド美味しそうだったらチョット無理してでも食べてみようかなぁ〜と思いながらウロウロしていると、見慣れぬノボリが目に付いた。

 遠目に見えるノボリには、神代カレーと書かれていた。ん?何だろ、神代カレーって?…カレー?と不思議に思ったか思わなかったか位のソノ瞬間、まるで東洋一強力な磁石で吸い寄せられたかの如くスピードで、ノボリを立てている店へと移動した。もしかしたら、アレが噂に聞くテレポーテーションだったのか。

 店先には、神代カレーとはいかなるモノかと解説されたポスターが掲げられていた。ソレによると、昭和30年代に秋田県の神代村にて作られていたカレーを再現したモノらしい。

 コレは何か興味あるなぁと思ったが、昭和30年代のカレーってきっとなんか、現代のカレーと比べてアマリ美味しくないんじゃないかなぁとか言う思いと、でも日本橋たいめいけんとか日比谷松本楼とか、もっと古くからある洋食屋のカレーって美味しいよなぁと言う思いがせめぎ合い、それでも最終的には、無理して食べてツラかったらイヤなイメージしか残らないだろうと思って止めてみた。

 しかしこの珍しいカレーは、恐らくココでなければ食べられないんだろうなーとか思うとカナリ後ろ髪を引かれる気分が募る。が、マタ来年来ればいいジャン!とか言う、引っ越しても友達だからな!今度一緒に飲み行こうな!とか言い合いながら熱い包容なんかして別れた後で我に返り、ソレで結局イツ行くんだよっ!とツッコミを入れたくなる気持ちとダブらせながら、ソノ場を後にした。

 ソノ後しばらく神代カレーのコトは忘れて過ごしていたが、車で国道46号線を通りかかった時、道路沿いにある飲食店の店先に、何だか見覚えのあるノボリがあるコトに気が付いた。振り返りつつ眺めてみるとそのノボリには、神代カレーと書かれていた。

 おぉっ!しばらく前に見つけたモノの、行楽地にしか無いんだろうと食べるのを諦めていたアノ珍しげなカレーが、こんなトコで(失礼)提供されているなんて!今日はチョット無理ですけれども、近い内に必ず食べに来ますから!と、心に決め通り過ぎる。

 帰宅してから少々調べてみるとソノ店はルルメットと言うらしい。そう言えば大分前からアソコにあるよなーと、今更の様に思い出してみる。更にもう一軒、味彩と言う店でも食べられるのだとか。そう言えば大分前からアソコにあるよなーと、コチラについても全く同じ反応をしてしまう辺り、B食クラバーの性格はおしなべて画一的だ。更に、時々各地でイベントがあった時に神代カレー弁当なるモノが販売されていて、行く先々で好評を博しているらしいコトが解った。

 …久々に後手後手に回るB食クラバー。一体そう言う情報は、どうやったらスムーズに得られるのだろうか。新聞のチラシ?秋田のイベント的なホームページ?それとも夕方辺りに放送されるローカル番組?

 新聞チラシはソモソモ枚数が多すぎて全部をチェックするのは煩わしいし、秋田のイベント的HPだって一応見ているツモリなのだが、(多分)載ってないし、専業主婦や学生じゃ無いから夕方のテレビ番組だって見るコトが出来ない。

 自分が心の底から欲する情報に対して発揮されるコノどうしようもない縁の薄さを実感しつつ、別にいいのだ。B食クラバーにはアノ国道46号線沿いの店があるのだ。と、ステテコにハチマキ&腹巻ファッションをキメて、ソレについては反対の賛成なのだ。とか言いながら周りをいつも混乱に陥れる人物になったツモリで、神代カレーとの対面の日を待ち続けるコトにした。


Comment

 幸いにもと言うか都合良くと言うか、田沢湖方面に出掛ける用事が出来た。こりゃー神代カレーを食べる絶好の機会が訪れたなと目尻も下がる。神代カレーを提供してくれる店が2軒ある中で、ココはヤハリと言うか、最初に気が付いたルルメットの方に行ってみるコトにした。

 盛岡や田沢湖なんかに行く時、いつも通り過ぎるダケだった店かと思うと感慨も深い。今日も元気に店先ではためいているノボリを見つめつつ、はやる気持ちを抑えながら入店した。

 入ってスグの場所に料理サンプルの置かれたガラスケースがある。ソコを通り過ぎて左側が恐らく団体用のお座敷で、右側が喫茶店と言うか、洋食屋っぽい飲食スペースになっている。ルルメットと言う店名もあって、レストランか洋食屋だろうと考えていたのだが、こうして全体的に捉えてみると、ドライブインっぽい感じもしないではない。

 食べたいモノは決まっているが、一応メニューを一通り見てみると、ソコにはそば・うどん・ラーメンなどの麺類から、比内地鶏親子丼・桃豚生姜焼きなどの県名産を使った料理に加え、オムライスやハンバーグなどの洋食もあり、バリエーションの豊富さはオールラウンドな上にオールジェネレーション。

 一瞬オムライスにしてみようかと、相変わらず心の弱さを露呈しそうになったが、窓外で神代カレーのノボリが、ボクを食べに来たんじゃないの?と泣きながらはためいている様に感じられたので、初心を取り戻して神代カレーを注文した。ノボリはホッとした様に、ソノはためきを止めている。

 いやぁ〜、ようやく神代カレーを食べるコトが出来るねーと、つい今しがた自分がしでかしそうになった暴挙は無かったコトにして佇んでいると、厨房の方から店員さんがやって来た。やっぱりカレーって出来上がりが早いね!とか思っていると店員さんは、どう考えてもカレーなんか入っていなさそうな小さいお椀を持っていた。

 え?まさかコノ中に神代カレーが入っているんですか?と、動揺を抑えつつ、しかし固まっていると、『コチラほうれん草を練り込んだソバです。良かったらドーゾ!』と笑顔で差し出しくれた。

 なんと言う素敵サービス。無料でくれると言うモノを、ココで断れる程腰の強い人間なんてそうそういまい。アレルギーを持った人がこう言う場面に遭遇した場合、断りを入れるのもツライのでは無かろうか。

 ほうれん草を練り込んだ麺はソノせいもあって緑色で、表面がとっても滑らかだ。お椀は小さいながらも量が少ないワケでは無いので得した感じもある一方、後程訪れるであろういつもの現象に対する危惧も抱いたが、カレーは飲み物だしね!きっと大丈夫だよね!と(ムリヤリ)考えてみた。

 そしていよいよ、待ちに待った神代カレーが到着した。銀色のカレー皿に入っているソノこと自体が、なんて言うか既に懐かしさを感じさせる。カレー皿中央に円形に御飯が盛られ、その左右に昭和30年代カレーと現代風のカレーが盛りつけられている。つまり2色の合い掛けカレーと言うワケだ。

 中央にあるゴハンの上には温泉卵が乗っかり、付け合わせは福神漬けではなくて、いぶりガッコだ。アマリ詳しくないが、このゴハンも神代米と言う、ここら近辺で収穫される米を使っているっぽい。コノ米は、モチロン炊き方にもよるんだろうケド、粘り気が少なく、カレーに適している様に感じられる。

 ルーが無かった時代にカレー粉を小麦粉で引き延ばして作る真っ黄色なカレーは、そう言えば子供の頃、親戚のオバーサンなんかがコンナ感じのカレーを作っていた様な気がする!と思い出さずにはいられない味だ。

 それ程辛くもなく、甘いワケでもなく、ルーのトロトロさ加減だけが本格インドカレーっぽい感じ。更にコノ地域の特殊性を出すタメか、具には(おそらく)蕗と(多分)エリンギが使われていた。そしてトドメは魚肉ソーセージ。

 あぁアノ頃は、今程便利な世の中じゃなかったけれども、不思議と満たされていたよなーと、自分が実際に経験したワケでも無いのに、時代の熱さと懐かしさを感じずにいられない。…ご覧、三丁目の角に夕日が沈んでいくよ。

 昭和30年代カレーの方には、コクが足りないと感じた場合、お好みでソースをかけて食べてみると良いと店員さんが教えてくれた。おそらく、本当はソースをかけるのが正しい食べ方なのだろうが、(もしかしたらソースをかけすぎたせいもあるのだと思うけれども、)B食クラバー的にはソースをかけない方が好きだった。

 いぶりがっこも、カレーと合わせて食べてみると新鮮な感じ。個人的にはヤッパリ、カレーの付け合わせには福神漬けが…。いや、ヤハリ神代カレーにはいぶりガッコの方が合う様な気がする。

 ココまで厳選された素材を使っているんだと、ゴハンの上に乗っかっている温泉卵についても、何かスペシャルないわれがありそうだ。もしかしたら比内地鶏の…。いや、金額的にあり得ないだろうか。

 もう一方の現代風カレーにはどうやら八幡平ポークが使われているとか。昔・昔・今・昔・今・今と、アップテンポで交互に食べて行く。不思議と昔カレーの方が美味しく感じられるが、別に不思議なコトでは無いのかもしれない。だからコソ、現代に復活したのだろうし、させたのだろうし。

 将来的にもし、叶うのであれば全部昔カレーがかかった神代カレーを食べてみたい。