たいやき 柳家&わかば

前 説


 数年前から抱いていた、薄い皮のたいやき食べたいと言うエネルギーがピークに達し、今
年のGW東京旅行の、B食メインテーマに迄上り詰めて行ったのだが、日曜日の他に祝日も
休みだと言う情報まで得るコトが出来ず、足を運んだ先々で店の暖簾がしまわれていたの
が残念だった。

 GW中、世にたいやき御三家と言われている店の内、浪花屋だけは営業していたのだが、
いろんな事情で食べるコトを断念。秋田に住んでいる身にとっては、平日にしか食べられな
いんじゃ、他のたいやきを食べるコトも難しいよな!と思い、たいやき御三家食べ歩きツアー
は、半ば諦めていた。

 しかし、土曜日が日程に入っている東京旅行が suddenly happen。コレはチャンス。他の
何を置いても、たい焼きを食べないワケにはいかないだろう。正に突然フォーリンラブ。行き
たい店は、たいやき御三家の内、浪花屋以外の柳家とわかばである。日程の都合上、1日
で2店舗を回らなければならない。しかも時間の関係上、1軒はお昼ご飯の直後。そしてもう
1軒は晩ご飯の直前に食べなければならないと言う、何が悲しゅうてこうなったんだかサッ
パリ解らない程のハードスケジュール。

 何故ソンナにまでしてたいやきを食べたいのか。ソコまでしてたいやきを食べたからどうだ
と言うのか。例えばそんなコトを誰かに聞かれても、ポカァ〜ンと口を開けて遠くを見つめる
しかない。コレを成し遂げたからと言って自分の中で何かが変わるというワケでも無く、ま、
確実に体重は増加するだろうが、幸いにも誰も何故そんなコトをするのかとは聞いてこなか
ったので、だらしなく口を広げるコトも無く助かった。

 苦しい言い訳をすれば、秋田にはホットケーキの様な皮のたいやきしか無いから、と言うコ
トなのだが、それすら、辛い思いをしてまで食べ無ければならないと言う程の理由にはなる
ワケもない。B食クラバーの心のドコカからか込み上げてくる、抑えきるコトの出来ない激し
い情熱。…ヒョットしてコレは恋?

 恋は盲目。love is blind.昔から言われている様に、人を好きになるのに理由なんか無い。
なら、たいやきを食べたいコトにも理由なんかいらないハズ。(マジ?)コレを食べれば現実
の恋も華麗に成就するかもしれない。なんて人に聞かれた時の理由を無理矢理考えつつ、
1軒目のたいやきやへと向かった。

柳家
住 所

東京都中央区日本橋人形町2-11-3

初めて食べた日
2003/10/25
TEL.

03-3666-9901

日曜定休
営業時間
12:30〜18:00

Comment


 築地八千代で車海老フライを食べた後、場所的に1番近いと言う理由で柳家に向かった。
近いと言うのは、交通のコトを考えれば非常に便利なのだが、昼食を食べた直後だと言うコ
トを考えると、果たしてお腹に入るのだろうかと言う疑問が沸き起こる点、諸刃の刃と言える
であろう。

 普段ならば甘いモノ用の別バラが常備されているのだが、八千代で食べたエビフライ定
食のアマリの量に、別バラも臨時利用。しかも30分も経たぬ内に食べなければならないと
言うのは、B食倶楽部始まって以来のヘビーワーク。せめて幾らかでも駅から離れていて欲
しいと思いながら覗いた地図では、以外にもスグ近くにある様子。まさかと思いながら歩い
てみると、1分としない内に柳家の看板が目に入って来た。

 看板を良く見てみると、高級たいやきと書いている。高級と言う言葉に
ビビるB食クラバー。しまった。値段を確認してくるのを忘れたコトを激しく
後悔。ココまで来て1尾\500だったらどうすべきか。しかし秋田から来て
いるのだから、食べずに帰るワケにもいくまい。店の前には3人程が、並
ぶというワケでもなく立ち尽くしている様子が伺える。

 高級だから人がいないのか。少々腰が引けながらも恐る恐る近づい
て行くと、店の中に通路の様なモノがあり、ソコに20名程の人が並んで
いた。店の中に並ぶスペースがあるので、コレは雨が降ってる時や風
が強い時等、悪天候の時には便利だなと思いつつ店内を見てみると、

1ヶ\120と言う文字が見えたので、安心して並ぶコトにした。

 見たトコロ、たいやき焼き職人は1人で、軽快にリズムを取りながら焼いている。その独特
のステップは、ワルツでもタンゴでも無く、もちろんUKガレージとも2ステップとも違う。世界
中のどの様なダンスのステップとも違うオリジナルなソレは、正にタイヤキビーツとしか表現
のしようがない。並んでいる間中見ていると、コチラまでツラれて足が動き出す。

 自然に体が踊りだし、ジッとしてなんかいられないぜ、オ〜イエェー。早くオイラの分を作
っておくれよ☆ブラザー!1人々々お客が減って行き、目の前には2人しかいない。もうすぐ
たいやきがオイラの胃袋に収まるんだYOっYOっ!と思っていたら、今レジにいるお客が信
じられないコトを言い、話が耳を疑う。

 『たいやき10ヶ下さい。』…マジですか。そんなに沢山のたいやきを、一体アンタどうしよう
ってんだい!そんなB食クラバーの思惑などヨソに、そのお客はニコニコしながら店を出て行
った。目の前にお客は1人だけ。さぁ、とっとと買ってB食クラバーのために道を空けてくれ!
と考えていると、そのお客はトンでもないコトを言った。

 『2ヶを1袋に入れて6つ下さい。』…ウソでしょ。あり得ない。そんなに大量のたいやきを、
そんなに小分けにして、一体誰に配ろうと言うのか。ココを待つ時間が一番長かったのは言
う迄もない。そのお客もニコニコしながら店を後にして行った。もちろんソノ間中、たいやき職
人はB食クラバーの葛藤を知るワケも無く、1人タイヤキビーツを踏んでいた。

 ようやく手にしたたいやき。待ち時間は約15分。ココまでの道のりは長く、直前でも足踏
み。感慨も一塩である。今迄食べた中で一番パリパリした皮のたいやきであった。アンコは
アマリ甘くなくサッパリしてて、もちろん尻尾の先までアンコが詰まっている。

 根津のたいやきは皮は薄かったのだが、シットリした感じであった
ため、ようやく目指したたいやきに出会えたと実感した。

 半分埋まったと思っていた別バラだが、まだ意外と余裕があるコト
が判明。次のたいやき屋へと向かった。


わかば
住 所

東京都新宿区若葉1-10

初めて食べた日
2003/10/25
TEL.

03-3351-4396

日曜休
営業時間
9:00〜19:00

Comment


 GWに1度訪れた時店が休みだったため、食べるコトが出来ずに辛い思いをした、コノ秋のリ
ベンジターゲット#1ショップである。たいやき御三家の内、ココを#1に挙げる人もいるし、外す
コトが出来ようハズもない。

 1回目の来店時は、住所、電話番号、地図をまとめたメモを前もって用意してあり、準備万
端四谷の駅に降り立ったのだが、さて右左ドチラに向かって歩き出すべきかと確認しようと
ポケットを探ってみたトコロ、見つからない。体中のポケットを漁ってみても見つからない。

 メモに頼り切っていたので、記憶の中にもあるワケない。途方に暮れたB食クラバーは、藁
をも縋る勢いで最寄りの薬局に突入。男性店員に聞いてみたが解らず、『彼女ならそう言う
の好きだから知ってます。』というコトで女性店員に聞き、何とか店に辿り着くコトが出来た。

 その時は休みだったので結局食べるコトが出来なかったのだが、薬局の女性店員も食べ
物好きとして活動しているらしいコトが判明。おかげで店の場所も解ったコトだし、感謝の意
味も込めて彼女のコトをB食倶楽部名誉東京会員に認定した。心の中で勝手に。モチロン彼
女はそのコトを知るワケもなく、今日も四谷で幸せに暮らしてる。

 そんなコトを思いながらその薬局の前を素通りし、おぼろ気な記憶を頼りに道
を進むと看板を発見。半年ぶりに訪れる店の前には、10人位のお客さんが並ん
でいた。コチラは柳家とは違って、店内では無く外に並んで待っている。

 外からガラス越しにたいやきの製作風景が見える。柳家とは違い、焼き方は
2人おり、そのためか待ち時間は意外な程少なかった。焼き上がったたいやき
はベルトコンベアーに乗せられ、たいやきの型からはみ出た部分を切り取る係

の人の元へ運ばれて、ハサミでジョキジョキやられている。コレで製
品の完成というワケだ。そのハミ出たトコが良いのに!って気もしない
でも無いが、カナリ黒コゲでカリカリのベリーウェルダンな部分もあっ
たので、ソレも致し方なしか。柳家のたいやきと比べると、全体的に
かなりソリッド&シャープに仕上がっている。


 柳家では店内に並ばず、外で待っていたクラバーMTによると、柳家でもハミ出た部分をハ
サミで切っていたそうだが、両者の写真を見比べると、違いは明かである。この店ではアンコ
だけの販売もしているし、看板にも書いている様にダンゴも販売している。店内には小さいが
4人掛けのテーブルが4つ程あり、店内で食べるコトも出来るのだが、ギリギリ満席の状態で
店内で食べるコトは不可能であった。セルフサービスのお茶もあり、ダンゴと一緒に食べると
さぞ美味かろうと思ったのだが、残念でならない。

 念願のたいやきを一口。皮は薄くパリパリしている。アンコは今迄食べたたいやきの中で、
一番甘く重量感もあるが、ココからが重要なトコロで、なんと塩が使われているので、しょっ
ぱいのだ。塩のしょっぱさがアンコの甘さを更に引き立たせる。高校生の時、土崎駅前で食
べたコトのある、しょっぱ甘い薄皮パリパリたいやきの、マサに再現である。

 ココまで来て初めて、コンナにも薄皮パリパリのたいやきを食べたい理由が解った様な気
がした。高校生の頃食べた、あの懐かしい味にめぐり会うためだったのだ。それは、あの当
時の熱さを取り戻すためのモノだったのかもしれない。って、たいやきでマサカそんな。

 その後の調査の結果、四谷わかばの兄弟の方が営業している店が、山形市の緑町と言う
トコロにあるらしい情報をキャッチした。東京に行く程お金は掛からないが、東京に行く何倍も
時間をかける必要があって少々面倒なのだが、自分を確認するためにも、一度行ってみなく
てはなるまい。

柳家 \120   わかば \126