店  名
 竹本商店 つけ麺開拓舎
食べた日
2010/01/07
住  所
 秋田県秋田市土崎港西2-4-36
営業時間
11:00〜15:00 17:00〜22:00
電話番号
 018-845-7510
定休日
火曜日

伊勢海老つけ麺
つけだれ
麺
かつおめし
看板

前  説

 久し振りに国道7号線の土崎周辺を車で走っている時、見慣れないイカス建物が目に入った。薄い茶色の木目を最大限に生かしました!風味のソノ壁からは、戦後の長屋横町的アイロニーな香りが、ふんだんに漂って来る。

 建物の看板が目に入る。竹本商店つけ麺開拓舎。竹本商店がつけ麺の店を出したって聞いたケド、ココに出来たんだぁ〜。さっき感じたのはアイロニーじゃなくってラーメンの香りだったのか?ん〜、じゃぁ近い内食べに来るか!なぁ〜んて思ったら、以前のB食クラバーならば10日以内には駆け付けていたトコロだが、最近はいい加減馬力不足と言うか何と言うか、ハッキリ言って以前程ラーメン関係の食品に惹かれなくなってシバラク経つ。

 チョットした擦れ違いが重なって、気が付いたら3ヶ月位会ってないスイートハートが、久し振りだから一緒に食べようと思って!って言って自宅鍋セットを持って玄関で微笑んでいるのに遭遇して、あぁ、自分にとってコノ人はもう必要ないんだって、改めて認識する様な、B食クラバーがラーメン関係の食品に対して持っているイメージはソンナ気分に遠くない。

 心の中でコッソリと、ラーメンに対して背中越しにサ・ヨ・ナ・ラと手を振っていたB食クラバーが、しかし竹本商店つけ麺開拓舎を訪れるのには、思った程の時間を要しなかった。

 とある木曜日のお昼時、前日からの空腹気分が抜けきらないB食クラバーは、今日のランチは『天然温泉こまち』のバイキングじゃなきゃ収まらない!腹一杯食べるぜ!と、意気揚々とのぞんでいたモノの、チョイと時間がおしてバイキング終了時刻の14:00には間に合わなそうな事態に陥った。

 ギリギリの時間に行って、料理の品数が少なかったら嫌だし店員さんには早く終われって思われそうだし、ソモソモそんなランチタイムの終わり頃に行ったらお客さんの数も少なそうで嫌だ。以前別のバイキング店で、広い店内に3組位しかお客さんがいないと言う状況に遭遇したコトがあったのだがソノ寂しさと来たらもう!

 前に来た時は沢山のお客さんで賑わっていて、料理もソノ時とソンナに差は感じられないのに一体何故?と頭の中が疑問符で一杯になり、せっかくのバイキングタイム&料理が全く楽しくも美味しくも感じられなかった。

 やっぱりバイキングと言ったら、コノお得で美味しい料理の数々を、コンナにも沢山の人が食べに来るんだ!アソコには待っている人もいるって言うのに、今ココに座って食べられるって幸せ!って言う様な高揚した気分も、重要なスパイスになっているのだろう。

 そうしてハッピーな気持ちになったなら、待っている人にも心の中で、もうすぐアナタも食べられますからね!待ってて下さい!って優しい気持ちを向けられる様にもなるし。

 以降、閑散としたバイキングは可能な限り避けたい気持ちでB食クラバーの心は一杯に。じゃぁドコでお昼を食べようかと考え始めたトコロ、天然温泉こまちの道路延長線上に、竹本商店つけ麺開拓舎があるのを思い出した。

 あ、もしかしてコノ人となら…と、新しい恋の始まる予感が芽生えた時、棚の上から(スローモーションで)落ちて来た1枚の写真を、何気なく手に取って見てみると、幸せそうな顔をした自分が、以前好きだった人と一緒に写っている。瞬間、色々な感情が交錯して爆発!いてもたってもいられずサンダル履きにコートで走り出しちゃいました!みたいなムードがソノ時のB食クラバーには無くもなく。

 竹本商店つけ麺開拓舎に着いたB食クラバーは、少し照れくさそうな表情をしていたかもしれない。


Comment

 14:00近い時間だと言うのに、10台以上停められそうな駐車場は一杯で置く場所がない。第2駐車場を示す看板が見えたのでソチラに置こうかと迷っていたトコロ、1台の車が出たのでソコに停めるコトにした。

 車を降りて店構えを見てみると、入り口横に達筆で大きく『準備中』の文字が。コレを書いた人がソノ出来に満足して、書道と習字は違うのじゃよ、とほくそ笑んだかどうかは知らないが、ソノ下には営業時間が11:00〜15:00とハッキリ書かれている。現在時刻を確認すると14:00チョイ前。

 …コレって何かのトラップ?自分が時間を間違えているのか、ソレとも時間の表示がおかしいのか、もしかしたら寝てる間に奥歯に装着された(かもしれない)加速装置をウッカリ噛んでしまったのだろうか?店内では沢山の人が、美味しそうにラーメンを食べている様子が窓越しに見てとれる。

 そうして躊躇っている間にも、1組のお客さんが店内に入って行った。…コレはアレか。スープか麺が切れたので、営業時間内だケド終わりってコトか。じゃぁ今のお客さん達はスグ出てくるコトになるんだろうな、とか思いつつしばし待ってみるも、いやぁ〜品切れだってサ。参ったね。なぁ〜んて頭を掻き掻き出てくる様子もない。

 もしかして会員限定のスペシャルデイか何かか?と思いつつも、空腹がピークに達していたので思い切って、(落書きの様な文字が書かれた)入り口のドアを開けてみた。すると、四畳半位の土間っぽい風除室スペースの隅っこに、何枚かの番号札が置かれていた。コレを取って入店しろとの注意書きがある。

 急に、自分が地球ではなく、月面にいるかの様な錯覚を覚えた。重力が地球の1/6しか無い世界で、自分の体を制御するコトすらままならない。そう思うとコノ土間っぽい空間も、外から宇宙船内へ入る為のエアロックかと思えてきた。番号札を手に取り、まるで無重力な月面のクレーター上を移動する様な足取りで、店内への扉を開けてみた。

 内部には沢山のお客さんと共に、ソレ以上の数の提灯がレイアウトされていた。なぁ〜んだ、ヤッパリここ地球の日本だったね。アノ提灯が何よりの証拠だよ。いやぁ〜久々に妄想がぶっ飛んじゃったなぁ〜と少し余裕が出て来たトコロで更に店内を良く見てみると、先に入って行った2人組も、ウェイティングスペースたる席に座って何を食べようかとメニューを見て選んでいる。

 一回道に迷っちゃったケド、どうやらリカバリー出来たみたい!ふぅ、やれやれ〜と安心し、ウェイティングスペースに座ろうとしたトコロで店員さんがやって来た。あいにくスープ切れで…とか、ドチラ様のご紹介ですか?とか言い出しそうな殺気に似たオーラを感じ身構えたが、人数とテーブルかカウンターかを聞かれたダケで、店員さんはマタ店の奥へと消えて行った。

 どうやら店の客として受け入れられて貰えたらしい。安堵感が胸に込み上げてくる。が、店員さんに差し出した手には、番号札が握られたママだ。スルーされたのかどうか解らないが、マダ無事にランディングしていない可能性を否定出来ない。言いしれぬ不安がB食クラバーの足元に忍び寄って来る。…外壁の耐熱パネルが1枚剥がれた宇宙船で大気圏突入ミッションを行わざるを得ないアストロノウツは、一体ドンナ気分でいるのだろうか。

 ソンナ不安を忘れるかの様に、メニューをモノスゴイ目力で見つめる。コノ店の看板メニューは伊勢海老つけ麺らしい。しかもなんとコレが、並(200g)でも大盛(300g)でも料金が一緒だと言う。最初はバイキングへ行こうかと思っていた位の腹具合である。昨夜来の空腹も相まって、今迄に経験したコトが無い位の追い風を感じる。

 メニューの裏にはつけ麺の美味しい食べ方なるコーナーがあって、麺を食べた後の付け汁に、ご飯を入れておじやにしろと書かれている。(Called あとめし)ご飯メニューは白ごはんの他に玉味噌ごはん、そしてかつおめしの3種類があった。かつおめしとは、肉の上に固めた鰹だしをかけたモノらしい。伊勢海老と鰹。コレ以上美味しいダシが出る海棲生物は他に無いだろう位の組み合わせに、躊躇する時間は必要ない。

 席に案内されたので移動する。コノ時もB食クラバーの足元は、僅かに覚束無い。只今水をお持ちしますと店員さんは言うが、番号札をお預かりしますとは言わない。果てサテどうしたモノかと思いながら、番号札を卓上へと置いてみた。水を持って来てくれた店員さんに伊勢海老つけ麺大盛とかつおめしを頼んだ。笑顔で去って行く店員さん。しかし卓上には番号札が置かれたままだ。

 程なく、注文品の到着。コチラのつけ麺の売りは、スープがビビンバの様な石焼器に入っているコト。勢いよく沸騰を続けている石焼器内のスープを見ていると、まるで叫喚地獄の大釜の様に見えなくもない。触ったら火傷するコト必至。成る程コンダケ熱ければ、食べ終わる頃にはスープがぬるくなってしまうと言うつけ麺の弱点は解消されるだろう。

 しかし、コンナにも熱く煮えたぎったスープを、人間の体内に入れても平気なのだろうか?口に入れたが最後、内臓全体が大火傷してしまいそうだ。メニュー裏面に書かれていたつけ麺のおいしい食べ方によると、まずは一口スープをすすると書かれているが、モチロンそんなコトはしない。さっそく麺を、釜ゆでのスープに入れてみた。

 すると、あ〜ら不思議。さっきまでフランスペア旅行券が入った餅巻きにむらがる群衆の様な勢いで激しく沸騰していたスープが、授業参観で元気に手を挙げる児童達位の熱さ迄下がって来た。まだ沸騰はしているけれど、ココで一口スープを飲んでみた。ソレでもヤハリ熱く、味も濃い。フランスペア旅行券の時にスープを飲んでいたら、一体どんなコトになっていただろうかと、考えるのもコワイ。

 西山製麺所の麺を使っていますとか言われてもB食クラバー的にはいまいちピンと来ないが、300gもあると言うのに美味しく頂けた。ただ、さっき一口すすったスープの味の濃さが、つけ麺特有のモノかと思っていたのだが、コレがどうもソレ以上に濃い。つけ麺のスープがラーメンスープを濃縮したモノだとすれば、コチラのつけ麺のスープは、つけ麺スープを更に濃縮した位濃厚に感じられる。

 通常はつけ麺を食べ終わった後に割りスープを頼むのだが、半分位食べたトコロで割りスープが欲しくなる心境に。もりそばヨロシク麺の半分位迄スープに付けてみるも、それ迄の味が口の中に残っているせいかアマリ効果は感じられない。割りスープを頂こうかと思ったが、あとめしも食べて、ソレでトータル的にバランスがとれる様に味を組み立てているのかもしれないと思い、我慢して食べ続けてみた。

 麺を食べ終わり、かつおめしの出番。まずはかつおめしダケ食べてみる。ゴハンの上にネギと肉が乗っかり、ソノ上に固めた鰹だし。おじやにするのが前提のせいか冷たく、アマリ美味しく感じられない。スープの中に入れてみた。

 程良く絡まる残りスープと固めた鰹だし。ごはんもみるみるスープを吸って膨らんでいく。さっそく食べる。が、味の濃さに変化は感じられない。麺を食べている途中で、添えられていたレモンをスープに絞ってみたが、一瞬だけ風味が変わるモノの、あっと言う間に元からあるスープの味に埋没して行った。B食クラバーがコノ味に慣れるには、現在の3倍位濃口好きな体になる必要がありそうだ。

 300gの麺にプラスしてゴハンも食べると言う、最近にない量の食事をラーメン店でしたB食クラバーは、満足しながらも心の中で、たった一つの疑問を拭い切れずにいた。

 結局アノ番号札には、どう言う目的があったのだろうかと。