店  名
 三日月軒 中町店
食べた日
2006/09/02
住  所
 山形県酒田市中町2-4-7
営業時間
11:00〜18:30
電話番号
 0234-22-2162
定休日
不定休

中華そば
店外観

前  説

 青森、岩手、宮城にはワリと良く出掛けるB食クラバーだが、山形には出掛けたコトがない。とは言っても、山形の地に一歩も足を踏み入れたコトがないワケではなく、昔東京に住んでいた頃、秋田に帰省するのに通ってみたり、新潟の親戚の家に行くために通ってみたりと、なんて言うか目的地へ向かう途中の場所って印象が強かった。

 いつだったか秋田から東京へ戻る途中、ヤタラ遅く進む交通に遭遇したコトがあった。時速40kmとかソンナ感じだったと思う。周りに障害物など全くなく、ゆるいカーブに差し掛かるとおそらく400m位先にあるであろう、渋滞の先頭を見るコトが出来た。

 ダラダラと続く車の列の一番前には白い軽自動車がおり、そのスグ後には10t位のダンプが走っていた。軽自動車の次が普通乗用車なら、バンバン追い越しをかけて行き、大変快適なドライブになったのだろうが、その2台の組み合わせゆえに、車はナカナカ先に進まず、交通が快適になるには、新潟に入り、2車線の道路に辿り着くまで待たなければならなかった。先頭の車が見えるのに、越したくても越せない焦れったさに、ムダにヒートアップし続けるバカリであった。

 只々長い道路。そんな印象もあり、山形県に行こう!と言う気分にはナカナカならなかったのだが、例えばJリーグのモンテディオ山形が出来たりとか、たい焼き若葉の分店があるとか、サクランボ狩りはやっぱ山形だよね!とか言う風聞を聞くに付け、出掛けたい気分が今更ながら盛り上がってきた。

 ソンナ時、鶴岡に出掛ける用事が出来た。鶴岡ってでも遠いんじゃないの?とか思いながら地図を広げてみると、考えていた程でもない。2時間チョットで着きそうな距離に心が急速に傾く。鶴岡の途中には酒田市がある。酒田市には確か満月と言う、ギネスブックに載ったんだかなんだかの、薄っ〜い皮のワンタンが自慢のワンタンメンがあったハズだ!鶴岡に行く途中で酒田市で満月に寄ろう!と思ってみたが、ちょうど出掛けるソノ日、満月は定休日であった。

 なんたる巡り合わせの悪さ。しかし嘆いてばかりもいられない。早急に何か代案を差し替えねばならないと感じたB食クラバーの脳裏に浮かんだのは、三日月軒のコトだった。秋田市内にも同じ名前の中華そば屋があり、それはどうやら、酒田市の店から暖簾分けしたモノだと聞いた記憶のあるB食クラバーは、両者の味の比較をしてみたくなった。営業日を調べてみると、どうやら休みの日ではないようだ。行く先は決まった。



Comment

 酒田市内には三日月軒と言う名の店が3軒ある。あまり詳しい事情は解らないが、現在は営業していない三日月軒本店から暖簾分けした店らしい。出来るなら本店で食べてみたかったが、営業していないのでは仕方ない。どの店に行こうか迷ったが、鶴岡に行く途中の道路脇にある点、また、メニューに中華そばしかないと言う点から本格さ加減を感じ取り、中町店に行くコトにした。

 道路は一本道だし、途中国道7号線から112号線に分岐するトコさえ間違えなければ大丈夫!と、ノホホ〜ンと運転していたB食クラバーに現実は、重く、しかも突然に襲いかかって来た。7号線から112号線への分岐は酒田市内に入ってワリとスグにあり、しかも国道の分岐なんだからチャンと標識にも書かれているんだろうと思って運転していると目の前に、112号とは書かれていないが、大きな道路と交錯する十字路が見えてきた。

 タイミング的にはココだけど、いくらなんでも112号って書いてないから違うよなと思い、更に直進をするB食クラバーの目の前には、酒田駅と言う標識が見えてきた。112号への分岐点よりも前に酒田駅が見えてくるハズがない。ヤハリさっきのトコロを曲がるんだった!と後悔したB食クラバーだが、ソレは全て後の祭り。分岐まで戻るワケにもいかず、何より酒田駅を突っ切る様に進むのが、ココからはベストな選択だと考え、酒田駅を目指してハンドルを切った。

 しかし、酒田駅には辿り着くコトが出来ずに、何故か112号へと合流。ミラクルと言う表現しか思い付かない。奇跡的にも112号へと再合流を果たしたB食クラバーは、三日月軒中町店を目標に車を走らせる。

 だがっ!

 なんといつの間にか車は再び112号を離れ違う道路へ。どうしたモノかと涙ぐむB食クラバーの目に飛び込んで来たのは、しかし三日月軒中町店の看板であった。秋田市から三日月軒中町店に着くには、北から移動して来るワケなのだが、最終的には南側から辿り着くと言う、引田天功もビックリのイリュージョン。一体どんなトリックを使ったのか、本人にも説明不能。只言えるコトは、全ての道は三日月軒に通じている。ソレだけだ。

 何事もなかった様に颯爽と、店内へと入ってみた。4人掛けのテーブル席が4つと、6人程のカウンター席のみの、こぢんまりとした店内。板に書かれたメニューは、中華そば小・中・大の3種類のみ。しかもソレに良い感じで年季が入っている。

 中華そばの中を頼んで出来上がりを待つ。直接ラーメンを作っているのは2人のカーサンっぽい。店主と思しき人物は、麺打ちに力を入れているのだろうか。ほぼ満席の店内は、半分が地元の方々で、半分はB食クラバー同様、観光客の様であった。客層がどちらかに偏った店ってのは沢山あるだろうが、このバランスは珍しい。観光客は座ってから暫くしてから注文をし、地元の方々は店に入った瞬間、『2つ下さい。』とか言ってから席に着く。面白いなぁと思っている内に、料理が到着した。

 秋田で見るよりもチャーシューが大きい位で、見た目にはソレ程の変化は感じられない。シンプルな中華そばと言う印象だ。早速一口食べてみる。秋田店の麺は、やや柔らかめな感じがするが、こちらのは程良い感じ。ツルツルした舌触りも素晴らしい。秋田店のスープは醤油が煮詰まった様な少々濃い口で、煮干しも強い様な気がするが、コチラのは程良くサッパリしている。もも肉のチャーシューも秋田店と比べると柔らかい様だ。中華そばがあっと言う間に胃袋に流れて行く。

 元の本店の味がどうだったのかは解らないが文字通り、秋田の三日月軒は、秋田県民の嗜好にマッチする様に、多少なりとも変化したモノなのだろう。そのコトは、休日の昼ともなると、店の外にまで出来ている行列が証明している。しかしどうやら、B食クラバーは中町店の方が好きみたいだ。両者の差は非常に微妙だが。

 観光客も地元の方も、食べ終わった人々は皆幸せそうな顔をしている。今度は他の2店の三日月軒でも食べてみたい!と、力強く思った。