店  名
 葡蘭馳
食べた日
2009/03/27
住  所
 秋田県秋田市中通2-1-22
営業時間
10:00〜16:00 11:00〜14:30
電話番号
 018-835-5987
定休日

チーズハンバーグ
チーズハンバーグ
09/03/27の日替わりランチ
09/03/27の日替わりランチのハンバーグ

前  説

 パリにあるモンパルナス通りについて聞かれたら、どんなコトを思い浮かべるだろうか。ボヘミアンなアーティスト達が奏でたエコールドパリ。パリの景観を台無しにするトゥール・モンパルナス。シャルル・ド・ゴールの演説に、思わず手に汗握るレンヌ広場。

 他にもカルティエ美術館、ナイトライフの中心ヴァヴァン交差点、立ち上るガレットの薫り芳しきマルシェ、イツの時代も永遠に大人の憧れムーランルージュなど、モンパルナスに対するイメージは、ドコまでもアーティスティックでエレガントでエロティックでデカダンス。

 そんなベルエポック的要素を想像せずにはいられないモンパルナス通りが、パリから見たら東の果ての果てにある日本の、そのマタ北の外れの秋田市にもあるなんて知ったら、ウィットに富んだパリのブランシェなマドモアゼルは、通りに面したカフェテラスでキッシュをツマミにワインを飲みながら、それでもコマンダレブーとか言ってくれるのだろうか。

 秋田以外を知らない高校生だったB食クラバーは、秋田駅前から仲小路を通り、丁度モンパルナス通りと交錯するコノ一帯(ダケ)が、何か秋田じゃないみたい!と思える程綺麗な街並みに感じられて大好きだった。今でもソノ一角ダケ妙に垢抜けている様に感じられるのは気のせいか。

 変な墓石みたいなビルを建てるよりも、地盤沈下の恐怖で夜も眠れなくなる様な地下道路を作るよりも、どうせなら街並み全てをモンパルナスみたいに変えて、アメリに憧れる素敵好き女子を呼び込む作戦をとった方が、秋田駅前の地域経済もより発達したんじゃないだろうかと思わなくもない。

 福島県にハワイがあるんだから、秋田にパリがあっても良いじゃない!と、上腕二頭筋も千切れる思いで拳を握りしめてみたり。

 まぁ実際秋田にあるモンパルナス通りは長さが100mも無く、車がようやく一台通れる位の小路で、歩いてみてもあっと言う間に終わるのだが、他のエリアとはチョット違うなぁ〜って雰囲気を持つ店が集まっている。いや逆に、ココにあるからそう思えるのかもしれないが。

 ソノ中に、葡蘭馳(ぶらんち)と言う名の喫茶店があるとはワリと最近知った。昭和の経済成長期、他のエリアとは一線を画す街づくりを!的なスローガンの元作られた感じの通りが、今も尚ソノ当時のまま残っている様なイメージ。葡蘭馳も建物の佇まいからすると30年位前からありそうな感じだが、そのまま建物やモンパルナス通りと同じ歴史を歩んだ店なのだろうか。


Comment

 看板が2つあり、ドチラも店名に付いている冠が違う。お食事ぶらんち、手造りハンバーグ葡蘭馳。こう言う場合正式名称はドッチなのかと気になって仕方ない。

 他にも、『coffee・お食事』、『手づくりあんみつ・パフェ』、『手づくりハンバーグ・ホットケーキ』と書かれた看板や、『うどん・そば』と書かれたノボリが目に付く。ソレらの情報から、お茶だけでもオーケーだし和洋とり混ぜたデザートでも食事でも出来ると言う、オールマイティさを感じずにはいられない。

 店内は、外観から想像できるとおりの、年季の入った喫茶店。マーブル模様なテーブルと、以前は白かったであろう椅子の、クッション部分の色褪せ具合もたまらない。

 思ったよりも広い作りで、4人掛けのテーブルが10卓以上はある様に見えるが、殆どのテーブルに人が座って食事中と言うコトから、人気の高さが伺える。更にお客さんの殆どが、1人で1つのテーブルに着いて食事をしている辺り、毎日の様に来ている常連さんが一杯いるんだろうなと想像させるにやさしい。

 幅広いジャンルのメニューから何を食べようか迷うが、今はランチタイムなので、7種あるランチメニューの中から選ぶコトにした。焼肉・オムライス・ナポリタンなどある中から、店外の看板に書かれている文字に影響されたのか、チーズハンバーグを頼むコトにした。

 間接照明の落ち着いた店内。BGMはユーミン。しかもアマリ詳しくないが、松任谷由実では無く、荒井由実じゃないだろうか。コノ店だけ、70年代で時間が止まっている様な錯覚に陥ってしまう。

 食欲をそそる、シズル感タップリで弾ける様な焼き音と共に、チーズハンバーグがやって来た。黒い鉄板の上にナポリタン・コーン・ニンジン・ポテトが添えられて、鉄板の熱で温められたソースとチーズが、美しくハンバーグの表面に広がっている。

 B食クラバーが、皿に乗せられたフレンチやイタリアンな感じの肉料理よりも、黒い鉄板の上に乗っかっている方がたまらなく好きなのは、やっぱコレがあるからか。比べると皿に乗った方には、どうしても冷たい印象を抱いてしまう。

 一口食べてみる。B食クラバーの好きな密度と柔らかさ。薄すぎたり柔らかすぎたり塩の味しかしなかったりソースの味しかしなかったりするハンバーグを提供する店が多い中、チャンと肉の味も感じられるコチラのハンバーグは、B食クラバーの味覚とジャストフィットでマッチしている。って言うかB食クラバーが作るハンバーグと近い様にも感じられる。

 コレが看板にも掲げられている『手づくり』と言うコトなのか。高級レストランのステーキよりも、夏祭りの屋台の焼きそばの方を美味しいと感じるB食クラバーにとって、コノ辺が味を感じるに当たっての大事なポイントなのかもしれない。

 あとはコレに千切りキャベツやレタスやトマトやブロッコリーなんかが入ったサラダがチョコッと付けば言うコト無いんだケドなぁ〜と、近来例を見ない程千切りキャベツ好きな体になっているB食クラバーは考えずにはいられない。

 食後のコーヒーを飲みつつメニューに目をやると、『手づくり寒天とみつの味をご賞味ください』と冠が付いたクリームあんみつ(\650)や、看板にも掲げられていたホットケーキなんてぇ文字が書かれていた。

 風のウワサで、あんみつは50年前から受け継がれた味だとか言う話も聞く。もしかしたらホットケーキもソンナ感じなのかもしれない。だとしたら葡蘭馳は、50年前からある店なのだろうか。

 今度モンパルナス通りへ恥ずかしく罪を犯しに行く時は、思い切って葡蘭馳で、あんみつでも食べてみようかと。