店 名
津ねや

住 所

秋田市大町4-2-18

訪問日

2001/04/13

TEL.

018-862-3312

営業時間

前 説

 一番最初一体いつ言い出したコトなのか覚えていない。半年以上前なのは
間違いないのだが。どうしてコンナ話になったのかも覚えていない。ただ、うちのセンムが、
すき焼きをおごってくれると言う言葉だけが、いつも二人の間に横たわっていた。

 それからはコトあるゴトに『すき焼き食いてぇ〜!』を連発していた。仕事の話をする時も、
すき焼きというオブラートを通して会話しているかのような錯覚をおこしていた。しかし
ナカナカその機会は訪れなかった。当初の目的も、その意味も忘れ去ったまま、
すき焼きを食べに行くと言う言葉だけが記号化され、潜在意識下に刷り込まれ、
無駄に時間を過ごしていた我々に、その日は突然訪れた。

Comment


 イツモのように、またツマラナイ仕事を言いつけに来たのかと思って、センムの顔を
ボケ〜っと見ていると、次の瞬間、センムの口から出た言葉に耳を疑った。

『すき焼き食べに行くぞ!』

 モハヤ一生実行に移されるコトは無いと半ば諦めていた言葉を実際に耳にした時、
幸福はイツモ突然にやってきて、突然だからコソ人を驚かせ、気分を高揚させてくれるの
だな、と実感した。 まだやるコトがあるからチョット待ってくれ、と言われ待っていたら、
時間は7時半を過ぎていた。腹減ったよぉ〜、センムゥ〜。

 秋田ではすき焼きと言えば津ねや以外知らないのだが、ドコか他に美味しいトコロが
あるのだろうか?テーブル席が既に埋まっていたため、カウンター席に座る。
カウンターですき焼きを食べると言うのはチョット不思議な感覚だ。メニューを開いて
一番最初に目に飛び込んできたのは、『すき焼き松阪牛\2,900』と言う文字だった。
センムに熱視線を送ったのだが、ソッコーで\1,900の三梨牛を頼まれてしまった。
一瞬センムの顔が引きつっているように見えたのは気のせいでは無かったような気がする。

 ココは店の人がすき焼きを作ってくれる(焼いてくれる?)システムで、カウンターを挟んで
差し向かいで世間話なんかをする。ココ来るの2年ぶり位なんでスッカリ忘れていたが、
最初にネギから焼いていた。フツー肉から焼くよね、とか話しているうちに食べ頃になる。

 さぁ食べよう!とタマゴを溶いている時、変な違和感がしたのでフト横を見てみると、
ソコでは信じられない出来事が繰り広げられていた。タバコを吸いながらビールを飲んで
いたセンムが、生卵がプルルンとしている器の中にタバコの灰を捨てようとしていたのだ。
『何やってんスか!』と言う必死の叫びも一瞬遅く、タバコの灰はタマゴの上に虚しく
落ちていった。

 『うわぁ、何だか緊張しちゃって。』と、ワケの解らない言い訳を2度程ウワゴトのように
センムは繰り返していたが、一体何に緊張していたのだろうか?久しぶりに外で食べる
すき焼きは当然のコトだが、メチャクチャ美味かった。オソラク1年ぶり。その時は他の店で
食べたのだが、タマネギが入っていたのでモヒトツだった。ナンカ牛丼を食べてる気分。

 最初に三人前頼んだのだが、アッと言う間に無くなったので、更に肉だけ二人前追加
した。店の人はホントかよ?って感じで一瞬怪訝そうな顔をしたが、スグに新しい肉を
持ってきてくれた。その後、突然センムは食べるコトを止めてしまったので、結局一人で
3.5人前を食べたコトになる。幸せだったぁ〜。

 幸福の意味を噛み締めながら店を出た後、『次はカニにしましょう!』と忘れずに
言っておいた。センムはイマイチ相手にしていなかったが、その日は絶対にやってくる!
と確信し、家路についた。

 あぁっ!ココうな丼もあるようなので、今年の土用の丑の日に来てみようと思った。

すき焼き 三梨牛

\1,900