Title
釣りバカ日誌15
Theater
秋田市文化会館
Day
2004/08/12
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Comment

 ワタクシの勤めている会社ですね、なんか市役所とワリと付き合いがあるみたいで、今回秋田県でロケが行われた釣りバカ日誌の前売り券の販促なんか頼まれたみたいなんですよ。ワタクシ的にはですね、こう言うコトを言っては失礼に当たるかもしれませんが、アウトオブターゲット!な映画でゴザイまして、まぁ売ってみたら?ってな感じで非常に冷めておりました。

 しかしですね、ワタクシの態度とはまるっきり正反対で、職場の方々はワイのワイの言いながらチケットに群がっていくんですよ。コレは角館でロケをしただの、友達がエキストラに選ばれただの江角を見たケドキレイだっただの様々な話題で盛り上がっておりまして、ワタクシは何て言うんですか、例えるならこう、タンザニア人の中に一人混じった日本人みたいな感じで、非常にとけ込めずにおりました。まぁこう言う時にコソですね、普段していない仕事をしているふりを一所懸命していたワケですが。

 あくまで対岸の火事と割り切っていたワタクシがですね、突然釣りバカを体験するコトになった理由はですね、主演俳優達の舞台挨拶がある上映会に応募した職場の方が見事に当選しまして、でも一緒に行ってくれる人が見当たらず、それで最後の最後の瞬間に、ワタクシにおハチが回ってきたと言うワケです。

 なんてんですか。こんな機会でもなければ一生釣りバカとも縁がないだろうし、西田敏之演じるハマちゃんの釣り師としての生き様を見るのも良いかもしれない!と、2つ返事でオーケーしたワタクシでした。

 上映会当日はですね、お盆休みイブってコトで、どうせロクな内容の仕事もしないし出来ないしで、良いから早く終われ!と、そんなに待ち望んでいたワケでもないのに、何故か舞台挨拶開始時間に間に合うかどうか異常に気になり出しまして、まぁコレもですね、仕事をしたくない気分の裏返しであろうとは、自分のコトながら簡単に想像できて頭を抱えたくなります。

 滑り込みで舞台挨拶に間に合ったワタクシ達ですが、2階席に案内されてしまいまして、そこから見えるステージの小ささに、一抹の不安を感じずにはいられませんでした。そしてようやく主演俳優達の登場となったワケですが、その小ささと言ったら、形でしかそれぞれの判別が出来ない程です。

 中でも一際目立つのが当たり前ですが西田敏之でして、隣にいるのが江角マキコだというせいもあってか、同じ人類とは思えません。手足と髪の長い8等身の江角と、着ている洋服に使われている布の量が、江角の4倍以上は確実にあるだろうと推測される西田では生物学的に違いがありすぎて、もし宇宙人が地球に生息する生物のサンプルを集めるのだとしたら、絶対に違うジャンルに分類されるだろうと、確信を持ちました。

 まぁしかし、スターが舞台に登場したワリにはイマイチ盛り上がりに欠けるなと思ったワタクシはですね、2階席からカナリ大きい声を絞り出して、一度も映画を観たコトが無いにも関わらず、その役名だけは知っているので、『ハマちゃぁ〜ん!』と叫んでみました。この辺はですね、抜かりが無いと言うか、伊達に15本も作って無いと言うか、それだけ釣りバカが定着していると言う証なのでしょうか。その後ですね、会場のアチコチからも同様の掛け声が発生して、西田敏之も御満悦メーターブッチギリで客席に向かって手を降り始めたので、頼まれてもいないワタクシの盛り上げ係りも、お役ご免となりました。

 やや冗長気味に感じた舞台挨拶が終わり、いよいよ本編の上映です。西田敏之と監督が1階席の中央に座り、秋田県民と共に鑑賞し、江角と三國連太郎は帰ってしまいました。座席に座る時ですね、西田敏之は一部熱狂的なギャル軍団に握手を求められていたのですが、彼女たちが何故ソコまで西田を求めるのか、その理由はワタクシには今になっても解りません。

 西田敏之が秋田に来て、地元の人と会話をするのですが、方言が聞き取れ無いと言う、よくあるパターンが展開されます。しかしですね、アソコまで凄い方言は、会場にいた殆どの秋田県民も聞き取り不可能だったのではないかと推測されます。

 更に秋田に帰省した江角が友達同士で会話するのですが、あの年齢位であれ程の訛りで喋る人なんていないような気がしてなりません。何もかもが少々オーバー目に感じます。そんな中、ヤケにナチュラルな秋田弁を喋る人が登場して、誰だろうと気を付けてみたら、浅利香津代でゴザイまして、さすがネイティブ!しかも秋田市中心部の生まれ!秋田の中で最も都会と思われる秋田市の、更に中心部で生まれ、コレ以上の都会は駅の中しか無いだろう!って思われる程ビューティホーAKITAピーポーな彼女の登場は、調味料過多な料理に付け出された、一服の清涼剤のように感じられます。

 筧利夫はですね、水産試験場の研究員をやってるようでして、ソノ場所は男鹿にあると思われます。ちょっと驚いたのにはですね、筧はソコから自宅のある角館まで、毎日通っていると推測される部分です。コレには会場中のざわつきが止まりませんでしたよ。

 似た様な感じと言うかですね、今回ロケ地に使われた田沢湖・西木村・その他の方々も当然来ている様でして、我が土地がスクリーンに大写しされる度に、会場にざわつきが発生しておりました。あと、インターネットをやろう!と言って毎日TVの中で楽器を演奏して、最後に右手を高々と挙げるキメポーズをとる方々も写っていたのですが、その度に会場からは、何とも言えない、笑い声にもならない笑いが漏れており、涙を誘います。

 悪人の登場しないほのぼのストーリーはですね、社長シリーズにも通じるモノがあるなと思いまして、釣りバカが長く作り続けられている理由が解った様な解らない様な。例えばですね同じく連作モノと思われるゴジラは今年以降しばらく製作が中止される様ですが、両者の違いは一体何なのかと気になります。

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 Director 朝原 雄三      Running time 1:47   Cast 西田敏之 江角マキコ 筧利夫