ガンダムへの異常な愛情 
または私は如何にして躊躇うのを止めてお台場迄ガンダムを見に行くようになったか

 ワタクシが初めてガンダムと言う存在を知ったのは小学高学年の時でして、学校にソノ手の雑誌を持ち込んでは休み時間にモハハハハァ〜ンと薄気味悪く微笑んでみたり、授業中もさっきまで読んでいた続きが気になって授業が頭に入らないのはモチロンのコト、早く休み時間よ来い!ソモソモ何で授業時間が40分もあって休み時間は10分しかないのか、いっそのコト逆にしてしまえば良いのに!なぁ〜んてコト考えながら、誰の目にも明かな程上の空で過ごしたデイ・バイ・デイ。

 同級生の弟(10歳にも満たないガキンチョ!)には『案外幼いな』とか言われてみたり、同級生でマンガ・SFと言えばコノ人!と一目置かれていた西当クン(仮名)には、『あぁ言う絵柄って好きじゃない』とか言われ、オタク派・反オタク派の両方から相手にして貰えないと言う、一体全体コレは何の罰ゲームなのか解らない八方塞がりな毎日だったのですが、後に2人共熱狂的にガンダムへとハマって行く様子を見るにつれ、お前らあのセリフは何だったんだ!と言いたいのを堪えて抑え、十年以上経過した今になってもソレら2つのセリフが当時の映像(ワタクシに向かってそのセリフを吐いた時の2人の顔!)と共に鮮明に思い出せる辺り、幼いワタクシの胸の奥底に、暗く深い傷を残していると言う悲しい現実が横たわっており。

 もし今ソノ2人に会ってコノ話をしてみても、ソンナの覚えちゃいねぇ〜よ!とか、作り話は止めて下さいとか言われるであろうコトが容易に想像できるので、成人してからのワタクシは、何が人の心を傷つけるのか解らないし、可能な限り否定的な言葉は発しない様にと、常日頃考えながら生きているのさストレス・エヴリディ。

 しかしコレは現在、ワタクシが勤めております職場で微妙に実力を発揮しておりまして、例えば『10時以降の入室を禁ず』よりも、『入室できるのは10時迄です』と言った様に、何事も否定形ではなく肯定形で表現する時に役立っております。(ドノ程度効果があるモノなのか図って知るコトは出来ませんが。)

 まぁそんなコンナがありながらも、次第に色んなメディアで取り上げられるガンダムと言うモノに興味を持ちだし始めたクラスメイト達が、雑誌を貸してくれだの何だの言って来て、『何だか解らないモノに夢中になっている変なヤツ』から、『学校で一番ガンダムが好きなヤツ』と言うポジションを確保したのも束の間、雨後の竹の子の様に現れた『我コソはガンダム王(or女王)!』って人々の中に埋もれて最終的には、『クラスに何人もいるガンダム好きの内の1人』に収まっている!との現実に気付き、小学校6年生にして早くも自分の身の程をわきまえて、慎ましい人生への第一歩を踏み出したのは、今にして思えばソノ時か。

   プロジェクトG   

 そんなワタクシも晴れて社会人になり、当たり前のコトですがソンナに毎日毎日ガンダムのコトを考えるってコトも無くなったワケでして、ガンダムの誕生30周年を記念して、等身大の立像がお台場に出来ると言うニュースを見たり聞いたりしてもですね、あっ、そうですか。ナルホドね。ふぅ〜ん。位の、感想と言う迄もない程のホンのチョッピリだけ揺らぐ程度の感情を持つのがせいぜいと言う、ツマラナイ大人になっちゃたりしているワケです。

 ですので、最近流行なエコプロジェクトの一環だし、東京オリンピック誘致も関連してるんだから、まぁワリと人は集まるんだろうケドそれでガンダムってどうなんですかね?等と言う非常に素っ気ない態度を抱きつつ、あくまでもお台場ガンダムは自分とは関係の無いモノと割り切っておりました。

 ソレが、お台場ガンダムが完成してから1月アマリ後、TVで『等身大ガンダムを作った男達!』的な番組が放送されているのを何げに見ていると、彼らの等身大ガンダムにかける凄まじいまでの情熱が感じられ、いつの間にか自分がドコカへ置き去りにしてしまったキラキラを、画面の中に登場している人物達が未だに持ち続けて躍動している(或いは等身大ガンダムに関わるコトで取り戻したか増幅した)のを目の当たりにした瞬間、あれっ?自分は一体今迄何をしていたんだろう?と、何て言うか小学校6年生から現在迄の人生を振り返ると、強烈なスキマ風がワタクシの全身を、特に胸の辺をモノスゴイ勢いで突き抜けて行くのを感じたのです。

 火をおこすのは難しいけれども、一旦火が回り出すと止まらない、出来損ないのコンロにも似たワタクシの心にも今更ながらようやくお台場ガンダム熱が飛び火し、もう見たくて見たくてどうしようも無いの!溜まらないの!ねぇワタシの気持ち解ってよ!と、昼下がりの団地妻の様にワタクシの心はメラメラと、熱く暑苦しい炎に包まれて行ったのです。

 仕事で東京にはタマに行っているけれど、プライベートで出掛けたコトなど何年もないし、コンナ次の休みに公園でバーベキューやろうよ位の軽い思い付きで出掛けて良いのだろうか?いや、一社会人としてはあり得ないコトだ!って言うか東京に出張の仕事は無いのか!無いんなら無理矢理作るか!等と色々考えつつも、行けるとしたらコノ日程だな…とか、宿泊施設や交通機関は空いているのかな…と、あくまで机上の空論と言うコトで色々と調べてみました。

 ホテルは空いてる。もうチョット早い時期に東京行きを考えていたら航空機のチケット代も安かったケド、コノ金額じゃ飛行機代はキビシイ。なら新幹線か。良いケド4時間も掛かるの嫌だしな。なぁ〜んて言うコトを気が付けば毎日、何だったら一日に何度も確認している自分に気付く。なぁ〜んだ。本当はお台場迄ガンダムを見に行きたくて行きたくてしょうがないんじゃないか!と、焦れったくも安っぽい恋愛ドラマの主人公みたいな自分の本当の気持ちに気付いてからは、素直に心の命ずるままに欲望の赴くままに、お台場迄出掛けて(一泊二日で)等身大ガンダムを見る!と言う、ワタクシにとってのV作戦がスタートしたのです。

   ガンダムは電気羊の夢を見るか?   

 お台場がお台場になってからよりも、まだ第13号埠頭と呼ばれていた頃の方にワタクシ的には愛着があったりするワケで、当時はゆりかもめも走っちゃいないしフジテレビも無いし、タダの野っ原だった中に佇んだワタクシは、『コッチの角度から見る東京も良いよね』等とドラマの登場人物になったツモリの様なお寒い言葉を、恥ずかしげも無く吐いたりしていたモノです。

 今となっちゃぁフジテレビも出来て湾岸署も出来て、更にガンダムも出来て当時の面影なんてコレっぽっちも無くなっちゃっているワケですけれども、今回はワタクシもご多分に漏れずそのガンダムをコソ見に行くのですから、願ったり叶ったりと言えましょう。

 地図で見る限り実物大ガンダムの立つ潮風公園は、ゆりかもめ台場駅から徒歩で5分位かな?とか思ったのですが、実際に辿り着いた台場駅周辺は、アホ程の人混みによって身動きも出来ない程でした。よく、田舎に住んでいる人が東京の人の多さにビックリして、今日は何かの祭りですか?って聞くと言う微笑ましいジョークがありますが、フジテレビではお台場合衆国なるイベントが催されているし、実物大ガンダムは立っているし、湾岸署には巷で話題のノソピーがいるし、マサにコノ状況はソンナ軽いジョークを地で言っている!と言っても過言ではないでしょう。

 そうした人混みと、大量の人数をコントロールするタメにワザと遠回りするかの様に設定されたルート案内のタメか、実物大ガンダムを目にする迄にはカナリの時間が掛かり、歩けども歩けどもガンダムのアンテナすら見えず。最初は台場駅に着いたらソノ瞬間見えるのか!と思ったケドさにあらず。潮風公園に入れば見えるのかと思ってもマダ見えず。

 ココまで何の考えも無しに人の流れに身を任せてフラフラと歩いて来てみたモノの、本当にコノ辿り着く先に目指す実物大ガンダムがあるのか?皆拘束中のノソピーが見える秘密スポットに向かってるんじゃないか?ソレならソレで別に言いケド、やっぱりソレよりガンダムだよなぁ〜と、ランナーズハイにも似た状態でアレコレあるコト無いコト妄想し始めた頃、生い茂った木々の切れ間から垣間見える明らかなる人工物の光。ガンダムの後頭部だ!と気付いたワタクシの心は一気にヒートアップ!気が付いたらカメラを取りだし、バシャバシャと何枚も何枚も取り始めていたのです。えぇ、ガンダムの後頭部を。

   ハートに火をつけて   

 まるで何かの低級霊に取り憑かれたかの様に、一心不乱にガンダムの後頭部のみを撮影していたワタクシですが、気が付くと10枚程撮影しておりまして、ソノ様子を見たであろう周りの方々には、『あぁ〜、アノ人よっぽどガンダムの後頭部が好きなんだろうなぁ〜』とか、『いっぺんオダムドーに除霊して貰った方が良いんじゃないの?』とか思われたかもしれません。

 がっ!もちろんワタクシだってガンダムの後頭部が好きで好きでたまらないと言うマニアックでスペシャルなフェティシズムを持っているワケではありませんで、あぁ〜もう何やってんだろうなぁ〜、後頭部ダケで10枚も撮っちゃった日には、全身が見えた時には3000枚位撮っちゃうんじゃないの?と言う不安が頭をよぎり、そしてソレを完全には否定できない自分に内心ゾッとしてみたり微笑んでみたり。(何かに取り憑かれている可能性は否定しない。)

 後頭部を撮影しまくると言うバカバカしい行為を止め、ようやく先へと進んだワタクシの目の前に、遂に実物大ガンダムがソノ姿を現しました。キュッと引き締まったヒップもセクシーなバックショット。バーニア内部迄細かく再現されたそのシルエットは、国宝金剛夜叉明王像にも勝るとも劣らない力強さ、精悍さ、美しさで、沢山の人々がソノ姿に魅入られる様に写真を撮りまくっておりました。

 火気厳禁。火の傍に燃えやすいモノを置いてはいけません。そう、ワタクシの心の導火線にはあっと言う間に火が付いて、三尺の大玉花火が打ち上がったかの様な状態に。専門家筋ではコレをガンダムハイと言う。…言わない。居住地を求めて大移動するゲルマン民族の様な勢いで再び写真を撮りまくるワタクシを止められるモノなど誰もいない。って言うか誰もワタクシのコトなど気にせずに、まるで誰かに指令でもされたかの様に写真を撮りまくっているのです。

   麗しのガンダム   

 お台場の潮風公園。ガンダムがあるのはサラにソノ中の太陽の広場ってトコですが、ココはもう、一体どうしたのっ!?って位沢山の人で溢れかえっております。実物大ガンダムに群がる人々と言えば、素っ頓狂なオタクや腐女子達で溢れかえっているのかと思いきやさにあらず。

 子供連れのご家族はモチロンのコト、ロックな兄ちゃんやアゲハっぽいお姉さん、果ては60代位の老夫婦っぽい方々まで、都内の例えば新宿駅周辺を歩いている人々を、ランダムにガンダムまで連れてきましたって言うぐらいフツーな方々バッカリで、ソンナ方々がガンダムを見に来ると言う状況に、初放映から30年が経過したガンダムは、最早ソコまで普遍的なモノになったのかと、軽く目眩にも似た感覚を覚えなくもなし。まぁモチロン、何か話題になっているからチト見に行くか。お台場合衆国もやってるしね!って人も沢山いるのだろうが。

 ソンナ人々を掻き分けつつ、いやぁ〜どの角度から撮っても絵になるねぇ〜と、1歩進んでは写真を撮り、また一歩進んでは写真を撮りを繰り返しながら、遂にガンダムの正面へと回り込むと、実物大ガンダム様がソノ全貌をお現しになられました。ハハー。

 …素晴らしい。太陽を背にしてそびえ立つソノ姿には、神々しさすら感じられる。TV画面やスクリーンでしか見たコトの無かったガンダムが、今目の前に実物として存在している。ソンナ事実に興奮を抑えるコトは難しく、いや、ココまで来たのなら、興奮は抑えるべきではない。今ココに集まっている人の中で(シャレ抜きで1000人は超えてる)自分が一番ガンダム好きなんですよっ!ってアピールするぐらいのが丁度良い位なテンションの、ココは集合体。コノ人達の意識を全部集めたのなら、本気でイデの無限力が発動するんじゃないだろかと心配に。

 そんなコンナで写真を撮りまくっていると、ガンダムの真下をくぐり抜けるコトが出来る行列があるコトに気付く。間近で、真下からの迫力のある構図でガンダムを見るコトが出来るのと同時に、触るコトも出来るのだと言う。ガンダムを見るダケでは無く触るコトまで出来るなんて。もしかしたらソノ時のワタクシは、自分では気付いていないけれども軽く鼻血とか流していたかもしれない。

 股間からガンダムを見上げ、更にタッチしまくって満足したワタクシは再び遠目からガンダムを見つめ、見ていて全然飽きないね。一家に一台欲しいよねコレ。とかアホなコトを思っていると、会場内に設置されたスピーカーから『ビギニング(劇場版ガンダムVめぐりあい宇宙の挿入曲)』が流れ、えっ?何?とか思っていると、開放的で皆のテンションが上がりまくっているコノ場に全く相応しくないローテンションでGACKTの呟き声が響き始める。かいつまむと、エコは大事だよってなコトを言っているんですケド、何故ソンナにテンションが低い!ココはもっとアゲアゲで行こうよっ!と無闇にワタクシのテンションも上がりまくり。まぁこう言うヤツがいるからコソ、GACKTがテンションの低い声で喋って丁度バランスがとれているんだろなと思わなくもない。

 なぁ〜んてコトを思いながら尚もガンダムを見ていると、突然ビシュイィィィ〜ン!と言う効果音がし、ガンダムの目が黄色く光る。なにナニ?と思い更に注視していると、ソレまでやや左向きに構えていたガンダムの首が、ゆっくりユックリと右方向へ回り出した。ソノ様子を見ていたギャラリーから自然と、『おぉ〜』と言う歓声が沸く。

 手や足が動いたり、ましてや歩き出したりするワケでもなく、只単に首が90度位回るダケなのに、ソレでもギャラリーの溜息や歓声を誘う実物大ガンダムは、今日はコレくらい動いてやったんだからもう良いだろ?と言わんバカリに、基本姿勢であるトコロの左45度位の辺りに首を固定して、その動きを再び止めた。

   宿命の出会い   

 仕事の関係もあって、コノ日しか行けない!ってコトで決めた今回のお台場ガンダム見るぞツアーの日程なんですけれども、色々見ている内に同じ日程で、ガンダムビッグエキスポなるイベントが東京ビッグサイトで行われる!と言う情報をキャッチ致しまして、何だか知らないケドガンダムと自分に不思議な縁を感じたワタクシは、コレも見に行くぞ!と心を決めておりまして、お台場ガンダムを後にして早速ビッグサイトへと向かったワケです。

 コレは入場料が発生するイベントでして、前売り券が\1,300で発売されているんですけれども何と、セブンイレブンでしか発券できない!とか言う秋田県民的に非常に悲しい事態に陥っておりました。ワタクシが血の涙を流しながら咽び泣いたのは言う迄もありません。セブンイレブン以外の方法もあるんですケドそちらはですね、システム利用料・発券料・送料なんかのモロモロを含めると、当日券の料金であるトコロの\1,500を軽くオーバーしてしまいまして、セブンイレブン発券ならばソレらが無料とか書かれているのを見ると、セブンイレブンが無い土地に住んでいる自分の生まれの不幸を呪いまくりですよ。

 そんなワケで当日券を買うべくビッグサイト内をウロウロしたのですが、ドコまで行ってもガンダムビッグエキスポの会場に辿り着かず、コノママ進んでいったら会場通り抜けちゃうよ!と思ったワタクシは、揃いのTシャツを着たスタッフと思しき方に、『当日券ドコで買えるんですか?エヘエヘ。』と可愛いコぶって聞いてみると、とある行列の最後尾に連れてってくれました。

 『コレが当日券の列ですか…?』と焦るワタクシに、あくまで冷静に、そしてソフトに『そうです』と応えてくれたスタッフさん。あぁ、コレが少々のお金をケチったコトへの報いなのかと諦め、先頭の見えない行列に並ぶ。どれぐらい並んだら会場に入れるんだろうと途方に暮れるワタクシに、しかし勇気をくれたのは他ならぬ同じく行列に並ぶ方々。コノ列に並ぶ多くの方々は、セブンイレブンの無いエリアから来た人に違いない!と勝手に仲間意識を共有し、励まされたのでゴザイマシタ。

 列に並ぶコト20数分。ようやく当日券を購入出来たコトに安堵し、やや足早に会場内へと入るワタクシを一番に出迎えてくれたのは、めぐりあい宇宙での安彦の原画とセル画!雑誌やTV画面で見たコトはモチロンあるのですが、実際に直接肉眼で見るのは初めての経験で、早くもワタクシ昇天寸前!続いて現れる富野の絵コンテや大河原のデザイン画などを見るにつけ、絶え間のないエクスタシーが何度も何度もワタクシを襲います。

 歴代ガンダムデザイナーの手による原画や設定資料などがバンバン並んでいるのですが、ワタクシ的にはヤハリ、安彦の原画が一番シックリ来ておりまして、ソノ理由は何かと申しますと、他の方々の描かれた原画は、単にアニメーションフィルムの一部にしか過ぎませんって感じがするのに、ソレだけに留まらない暖かさと言うか、一枚の絵としても完成度が高いと言うか、止まっている絵から動いているトコロが想像できると言う躍動感があるとでも言いましょうか、ソンナ印象を受けました。見たコトは無いんですけれどももしかしたら、同じ印象を宮崎駿の原画にも感じるかもしれません。

 楽しみにしていた、ガンダムの声優陣によるステージショーは観客が多すぎて、壇上にいる方々の顔も見えないし、ワタクシがいた場所では後方過ぎてスピーカーの声も聞こえないし、尚かつ立って見てなきゃいけないと言う三重苦でして、会場内の巨大モニターにアップで映るツチダを見ながら、TVで見てるみたいだなと思ったワタクシは、コレはまぁいっか!時間もないしね!と早々に他のブースへと移動したのです。

 富野が放つ新作ショートフィルム『リング・オブ・ガンダム』の上映なんてのもあったですけれどもサッパリわけが解らず、ココまでズ〜ット立ちっ放しでいたのが、上映会場で座ったコトによる安堵感によるのかどっと疲れが出てしまい、ソノ後のワタクシは、勢いを無くした紙飛行機の様にみるみる失速していったのでした。

   暗くなるまで待って   

 ヘトヘトになりがらワタクシは、ビッグサイトを後にして再びお台場の潮騒公園へと向かいました。何故か。ソレは夜の東京に佇むガンダムを見るタメに他なりません。一体何がワタクシをココまで惹き付け突き動かすのか。足の裏に留まらず、ふくらはぎやお尻と足の付け根の辺まで痛くなっていると言うのに。

 ソレにしても、自分の特に下半身の筋力が、凄まじく落ちているのに気付いて愕然とする。以前東京に住んでいた時は平気でコレ位歩き回っていて、なんだったらワタクシと一緒に出かけると歩き回ってバッカリだから、行動を共にする場合は歩きやすいクツを履かなければならない!と言う暗黙の了解事項と言うか不文律が、ワタクシの周りでまことしやかに流れていたぐらいだったのに。地方に住む人は車で移動してバカリだから、都市部に住む人よりも足腰が弱いと聞いたコトがあるんですけれども、マサにソレを実感した次第でゴザイマス。

 実物大ガンダムに来るのは2回目のコトなので、台場駅からの移動もチャッチャと完了し、あっと言う間に御尊顔を拝ませて頂く。陽の落ちた東京湾。夕日をバックにそびえ立つガンダムは、本当にリアルで嘘っぽさのカケラもない。初めて実物大ガンダムを見た富野もヤハリ同じ様に、全然マンガっぽくないコトに驚いたと言っていたが、誰もが同じ様に思っているからコソ、コンナにも絶え間なく大勢の人が詰めかけるのだろう。

 昼間と同じ様にガンダムの真正面に立ちたいが、人が多すぎてナカナカそこ迄辿り着けない。夕日も落ちて辺りも暗くなり、足元からライトアップされる実物大ガンダム。昼間以上の人々が、ソコには集まっていた。さっき見たGACKTのナレーション入りのイベントは毎時30分に行われ、毎時丁度にはガンダムが胸や足から水蒸気の煙を吐くイベントが行われるので、ソレを見たい人でごった返しているのだ。

 真正面に立つのを諦め、しばし待つ。音楽が流れ始め、ピキュイィィィン!と、音と共にガンダムの目が光る。首が横に動く。胸・足・肩から、今にも空に飛び出さんバカリの勢いで煙を吹く。1つ動作が発生する度に、『おぉ〜』との歓声が上がり、ギャラリーの反応も好レスポンス。最後はガンダムの首が、夜空に浮かぶ何かを見つめるかの様に上を向いてイベントの終了。拍手のボリュームも、昼間の比じゃない程の盛り上がりを見せる。

 本来ならばコノ後も、何時間もこうしてガンダムを見つめ続けていたトコロなのですが、当日は夜9時から『ガンダムLight×Music』なるイベントが行われるそうで、ソレにはアンマリ魅力を感じなかったワタクシは、東京の夜に光って煙吹くガンダムを見られたコトに満足して、お台場を後にしたのです。

   Hopelessly In Love With Gundam.(どうしようもない程ガンダムに夢中)   

 さてワタクシ、東京2日目の昼もお台場迄ガンダムを見に来ておりました。ソレは、どうしようもない程ガンダムが好きだから!では無く、じゃぁ何故、当初予定していなかった2日目もガンダムを見に来たのかと言うと、今回の実物大ガンダムを見ようツアーには大きく3つの目的がゴザイマシテ、1つはコノ実物大ガンダムを見るコト。もう1つはガンダムビッグエキスポ。で、残った1つが限定発売のガンダムまんじゅうを買うコトでして。

 ガンダムとまんじゅう。一見ミスマッチの様に感じられるコノ2つの単語の組み合わせによる破壊力。購買意欲をそそるシズル感。コレらにノックアウツされたワタクシは、どうしても買わずにはいられなかったのです。

 初日に来た時はガンダムの存在感と、次にガンダムエキスポの会場に行かなければならないと言う忙しさも相まってドコで買えるのかイマイチ解らず、ガンダムエキスポの会場でも買えるんでしょ?と言う全く根拠のない読みで、グッズ売り場に10分位並んで買おうとするも、プラモデルとか帽子とかいまいちワタクシ的に興味が持てないモノばかり売っていて、もはや諦めるしかないんだろうか…と途方に暮れていた、お台場での夜ガンダム鑑賞時。『オフィシャルショップは只今の時間をもちまして終了します…』とのアナウンスが聞こえてきた。

 え?オフィシャルショップ?そんなモノがあったの?と色めき立ち、いても立ってもいられなくなったワタクシは、光り輝く夜の実物大ガンダム様を尻目に、オフィシャルショップを探すタメに、アホみたいに群がる人波をかき分けて、もしかして何にもないだろうと勝手に判断して行っていなかったアッチの方角か?と適当に当たりを付けて進んでみると、目に飛び込んで来たのは会場案内図。

 ココにこんなモノがあったのか…とオフィシャルショップを探してみると、何とソレは会場内でガンダムの後ろ姿が初めて見えたポイントの近くにあった。コレに気付かなかったってコトはワタクシ、ガンダムの後ろ姿が見えたコトに異常に興奮して、オフィシャルショップがあるコトに全く気が付いていなかったってコトで…。どんダケ興奮してたんだ>自分。と、情けなさを通り越して泣けてくる。しかし、せっかくガンダムまんじゅうを売っている場所が解ったのに、今はもう閉店時間を過ぎていて買うコトが出来ない。だから買うには明日しかないじゃないっ!と言うワケで、2日目もガンダム様に会いに行った次第です。

 会場に到着して早速オフィシャルショップを覗いてみると、店の入り口から続く長蛇の列。ココが最後尾ですと書かれた看板に書かれた待ち時間を見ると、90分とか書かれている。熱い陽射しも相まって文字通り一瞬くらっと来た。1時間半待ったソノ先にあるのは、インディジョーンズアドベンチャーでもビッグサンダーマウンテンでもない。只ガンダムまんじゅうがあるダケだ。

 コノ1時間半を使って例えば、銀座や麻布へ出掛けてみるならば、もっと素敵な何かが体験できるハズ。短い映画ならば一本観終えるコトが出来る程の時間の浪費を、一泊二日の東京旅行でしても良いモノか?と、至極常識的なコトを考えたりしていたのだが、恐るべきは『ガンダムまんじゅう』と言う言葉の持つ破壊力。コレを買わずに秋田に帰ったとして、絶対に後悔しないと言えるのか?いや言えまい!と自答し、遂に意を決して列の最後尾へと並んでみた。

 しかし、ソコからの時間はマサに無間地獄。照りつける太陽の陽射し。止めどなく流れる汗。万が一にも熱射病で倒れない様にと買ったペットボトルの水も、飲んだソバから汗として流れていく。実は途中、2度程(ホンの少しダケ)意識が飛んじゃいそうになって、こんなコトなら昨日ビッグエキスポでザクの帽子買っときゃ良かったよ。銀座のスワロフスキーにでも行って目の保養とかしてた方がよっぽど良かったよな、とか色々なコトが考えると言うレベルではなく只々頭に浮かんでは消えて行く。もしかしてソノ時、既に意識が飛んでいたのかも知れないが、そんなコトを何度か、何十度か繰り返した後ようやく、オフィシャルショップの入り口迄辿り着くコトが出来た。倒れなかった自分を褒めてやりたい気分で一杯に。

 時計を見ると、並び始めた時から60分が経過していた。思ったよりも早く買い物が出来る喜びに、疲れを忘れてショップ内を駆けめぐる。一番最初に手にしたのは勿論ガンダムまんじゅう。しかしそのサンプルを見ると、中身は何の変哲もない黒糖まんじゅう。ガンダムのロゴとかアムロの顔とか焼き印されているのかと思ったら、全くのツルッツル。コレをお台場ガンダムのお土産ですって言って誰かに渡しても、何言ってんのコノ人?と思われるのがオチだろう。そう思うと、パッケージからも非常にタップリなヤッツケ感が漂って来る。30分後に印刷屋に回さなきゃイケないから!って言われて、大慌てで作った様な印象がソコ彼処から感じられる。

 隣にあったガンダムクッキーを見ると、コチラはチャンとデザインされた缶に入っていて、ガンダムやシャアやハロが焼き印されている。あぁ、ガンダムまんじゅうがこのクオリティなら言うコト無いのに!と思いつつ両方を買ってしまうのが乙女心か。主催者の陰謀の様にも感じられてならない。今しか買うコトの出来ない(であろう)実物大ガンダムをモチーフとした1/144スケールのプラモデルもどうしようか迷ったが、多分作らないよねと思いつつ購入しないコトにし、1種類ダケ残っていたハロのクリアファイルを買ってワタクシの、今回のガンダムツアーは幕を下ろしたのでした。

 (今思えば、ガンダムのプラモデルは買っておけば良かったかなぁーとヤヤ心残り。)