店  名
 仕出し 三喜
食べた日
2007/07/19
住  所
 秋田県秋田市楢山愛宕下8-16
営業時間
11:00〜14:00 夜不明
電話番号
 018-833-2609
定休日
 

83ポの看板
223ポの看板
店外観
天ぷらそば
そば
天ぷら

前  説

 そばや有ります。徒歩83ぽ。

 と書かれた看板の写真が、女王様から送られて来た。…徒歩83歩。何と言う中途半端さ加減。あ、いやコノ場合逆に正確だと考えるべきなのか。

 ソノ写真は、緑の原っぱの上に、純和風の立て看板がポツ〜ンと寂しげに佇んでいる様な画角で、コレが写真で、しかもメールで送られて来たと言う事実を無視するならば、江戸時代の風景の様にも感じられなくもない。

 高貴なる女王様のコト。もしかしらNASAで極秘開発中のタイムマシンに乗り込んで、実際に過去から写真を送って来たのかもしれないとか一瞬思ったが、背景に写り込んでいる一軒の家が、どっからどう見ても現代の建築手法によるモノなので、そんなワケ無いかとようやく状況が整理できた。

 どうやらコノ写真に写っているのは現代のモノらしいが、ソレにしてもコノのどかすぎる風景には、一体ドコに行けば巡り会えるのだろう。返事がスグに貰えるワケ無いよなーと思いながらも、お伺いを立ててみると、返事は意外な程早くやって来た。

 太平川沿いに行き止まりの橋がある。ソノ上流へ123歩。

 マタもや謎めいたメッセージが送られて来た。時代がかった風情と絡めてコレら一連のモノが、戦国時代に埋められた埋蔵金の在処を指し示す古文書の様にも感じられて来る。

 東へ20歩。北へ10歩。光と影を結び、時告ぐる、高き山羊の向かいし眼に、我を納めよ。

 …なーんて、湖の底に沈められていた古代ローマの神殿を、白日の元に晒してしまいそうな暗号を思い出してしまう。太平川沿いの行き止まりの橋と言うのは一体ドコにあるのだろうか。一口に太平川と言っても端から端まで一体何キロあるのだろうか。

 ソノ川に行き止まりの橋…。探せない。絶対に見つけられない。相変わらず女王様からもたらされる情報にはヒントが少ないよなーと思いつつメールを読み返すと、愛宕と言う文字が見て取れた。

 愛宕と言えば秋田市の真ん中辺では無いか。ソノ付近の一体ドコに、あんなノドカな風景が広がっていると言うのだろうか。やっぱりアレは江戸時代からの…と、性懲りもなく考え始めた時、そう言えばソノ辺に、ず〜っと長い間工事中になっている橋があるのを思い出した。

 あぁっ!あの辺なのかっ!!と頭の中では大体の場所がつかめたのだが、感情的に納得出来ない。秋田駅から程近くの場所に、あんな風景が広がっているのだろうか。


Comment

 古来、百聞は一見にしかずと言われているし、あれコレ頭の中であぁでも無い、こうでも無いと考えを巡らせてみたトコロで、解決の糸口は見つけられない。実際にソノ場へ出掛けてみるのが一番であろう。最初に送られて来た、83歩の看板がドコにあるかの見当はつかないが、行き止まりの橋の方は場所が解る。ソチラから攻めてみるコトにした。

 行き止まりの橋に到着。あぁソレにしても、さっきから行き止まりと繰り返していると、『行き止まりの杉並区』を思い出す。コノ歌を十八番にしているウクライナの銀狐は、一体今ドコで何をしているんだろう。

 ってなコトを考えながら辺りを見回すと、謎のそば屋への看板は、アッサリと見つかった。ソコには223ポと書かれている。前時代的な立て看板と、ソノ背景に見え隠れする近代的な構造物であるトコロの橋やガードレールとのコントラストに、少々めまいを感じながら歩き始めてみた。モチロン1歩1歩、数を数えながら歩いたのは言う迄もない。

 …214歩で到着してしまった。思いがけない出来事に、やや取り乱すB食クラバー。人はそれぞれに歩幅が違うし、コレも誤差の範囲なのだろう。でも実は、ホントはココでは無くて、もう9歩進んだトコロに店があるのではなかろうかとの疑心暗鬼が首をもたげてくる。

 なにせコノ店に関しては、最初に教えて貰った情報からして謎めいているのだから、B食クラバーがココまで用心深くなっていても、ダレにも責められようハズもない。まぁしかし、店先の看板には0歩と書かれていたので、ココで間違いないだろう。

 次に気になったのが、最初に女王様に教えて貰った83ポの看板だ。一体ドコにあるのだろうと探求心に火が付き、店を通り越して更に先へと進んでみた。マサカこんなトコにアノ看板があるワケ無いよなーと思いながらも、ソノ考えが間違っていないコトが、一歩一歩進むに従って(ありがたくない)確信へと変わって行く。

 遠い昔、暑い夏の午後。戸棚の奥に隠した赤点の答案用紙の存在をスッカリ忘れ、母親と一緒に大掃除をしている最中に段々と思い出して来た時の気分がフラッシュバックする。オカーサン、ソノ引き出しを開けないで。いやお母様、向こうでお父様が呼んでいますよ。あぁ!ママお願いだから何も見なかったコトにしてっ!ソノ瞬間、全身汗だくなのは言う迄もない。

 と言うのも、ソレぐらいB食クラバーはソノ看板がある付近を日常的に通っているのだ。なのに気づかないなんて、そんなコトあるワケ無いじゃない!と思ってみたのだが、ヤハリ83ポの看板は、嘘だろーとB食クラバーが考え続けていた場所にあった。自分の注意力の無さを誰かに指摘された様な気分で、そしてソレが間違ったコトでは無い辺り、腹は立つケドこの怒りをドコにぶつけたら良いのかと地団駄踏みまくり。

 気を取り直して83ポの看板から店迄歩き返してみると、コチラはピッタリ83歩で到着した。やはりコノ店には常に、謎の影がつきまとう。

 黒い木の板と、薄茶色な壁のコントラストが美しい。外から見る窓枠には、太平川に差し掛かる緑が反射してコレも美しい。店内も同様のコントラスト。壁のオブジェやテーブル、お品書きなんかにもふんだんに木が使われている。簡単な言葉を使うとコレは、木のぬくもりとか言うのだろうか。

 太平川に面した方、ツマリ窓側はテーブル席が1つと、2人掛けのカウンター。後は厨房に向いたカウンター席が5〜6席の、割とこぢんまりとした店内。上品な風情で和服を着た女性の方が案内してくれ、外の景色が見えるトコロに腰を落ち着ける。天ぷらそばを頼んでみた。

 茶色い壁からソコだけ切り取った様に見える、窓外に広がる緑色が美しい。コノ緑の正体は実は桜なので、花見のシーズンに来てみたら、さぞや心が打ち震える感動を味わえるに違いない。けどソレってもしかして、予約とかしなきゃ無理だろなーとか思ってみたりする。

 天ぷらそば到着。上品な店構え同様、料理の見た目も非常に上品。日本料理は目で楽しむと言うが、マサにソノ通りとしか言い様がない。透き通る様な輝きを放つ麺には所々、そば殻(だろうか?)が練り込まれている。コチラのそばも風味が豊かでエッジが効いている。食べ応えも申し分なし。

 天ぷらは、ナスとシシトウとエビ。B食クラバー的には、量がもっとあった方が好きだケドなーとか思ったりもするのだが、コノ店でソンナ気持ちは野暮と言うモノ。カリッと揚がった天ぷら達は…、ヤッパリもっと沢山食べさせて欲しいとか思ってみたりみなかったり。

 夜はどうやら飲み屋として営業するらしい。来年、桜の咲く頃、窓の向こうに桜を見ながら飲むお酒はきっと、今までに飲んだコトが無い位に美味しいに違いない。