最近は自らの体が渇望するままに、野菜炒め定食クラバーへと変身しつつあるB食クラバー。コレはアレだろうか。サイヤ人からスーパーサイヤ人に変身する過程の現れなのだろうか。放っとくとコノママ、スーパーサイヤ人3や4に迄覚醒してしまうのか。
だとするとソノ最終形態として辿り着く先に待つモノはなんなのか、非常に気にならなくもない。って言うかスデに、B食クラバー→つけ麺クラバー→野菜炒め定食クラバーへと、変身を重ねている様な気もするが。
まぁしかし、間違ってもB食クラバーに『覚醒』ってコトはあり得ないだろうし、そもそもソノ言葉自体が似合わない。B食クラバーに似合うのは、居眠りとかウッカリとかソンナ、どちらかと言えば負のイメージを背負った言葉達だ。考えるにコレはアレか。年をとると肉よりも魚が好きになるって一般的に言われている現象とイコールなのだろうか。
以前TVで見たコトがあるが、国会議員の先生方は、お年を召していても肉を好んで食べる方が多いらしい。70歳を過ぎていても、お昼はトンカツです!って方の数が、結構多かったと記憶している。ココが他の同年代の方々と違い、エネルギッシュに活動できる秘訣なのかも?ってテーマだったハズだ。
翻ってB食クラバーは、自らの意志でアマリ好んで魚を食べようとは思わない。(一時期、狂った様にサンマを食べまくっていた時期はあったが。)そんなB食クラバーも、年をとるにつれて魚が好きになるのだろうか?と、漠然とした疑問みたいなモノは持っていた。
しかしマサカ、肉も魚も飛び越えて野菜好きになってしまうとは、魔導師バビディですら予測できなかったに違いない。まぁもっとも、アレぐらい高度な位に属している方が、不確定性の産んだ私生児(ですらない)かもしれない、全くの一庶民であるトコロのB食クラバーの存在なんか、気にも留めていないのだろうが。
そんなワケで最近は、野菜炒め定食の情報を集めてバカリのB食クラバー。必然的に食堂、ドライブインって辺りがソノ主な中心となる。食堂はともかくドライブインって言うのは、B食クラバーが今迄ソレ程興味を抱いていなかったジャンルだ。ありふれているからコソ簡単に通り過ぎ、それゆえに新鮮な魅力を伴って今、満を持してB食クラバーの前に現れた。
ソレら集めた情報の中、土崎の国道沿いにある菊屋と言う店の評判が良いらしい。野菜炒め定食があるかどうかの情報は得られなかったが、美味しいと聞いては黙っていられない。
隣接する旅館菊屋で営んでいるのが、お食事処菊屋。旅館の御飯やドライブインの御飯。今迄の人生で色んな人に聞いた意見をまとめた投票箱があったと仮定してソレをひっくり返してみると、ドチラについてもソレ程美味しくないよねって票の方が多いだろう。だからコソ、幹線道路に面した絶好のロケーションにあるコノ店を、現在まで素通り出来ていたのだ。しかしコレからは、違う明日が待っている。
広い店内にガッシリとした作りのテーブルと小上がり。厨房は丸見えで、大きめのTVが設置されている。何の素材も与えられずにドライブインを絵に描いてみると、多分今目の前に見えているコノ光景と、ソレ程の違いなく仕上がるだろう。店内はしかし隅々まで清掃が行き届いている風情がうかがえて、成る程、旅館でやっているんだなぁ〜と言う気配りが、そこココに見え隠れしている。クラバーRさんと同行。
店に入ってスグ、日替わりランチの案内が目に入る。春の海鮮祭りを開催中で、刺身定食や海鮮丼も押している。しかしソノ中に、野菜炒め定食は見当たらない。まぁイチオシメニューの中には無いかと思い席に着く。テーブルに設置されているメニューには、野菜炒め定食が掲載されているハズだ。…しかし!
メニューを端から端までくまなく探してみてもひっくり返してみても、ドコにも野菜炒め定食なんて文字は見つけられなかった。うっわマジかよ!と思いながらも、じゃぁ一体何を食べれば良いだろうかと考える。カツ丼・エビフライ定食・海鮮丼って辺りに心がトキメクが、どうせならばココでしか味わうコトの出来ないモノを食べてみたい。店長のオススメって書かれている上に店名を冠している菊屋御膳を選んでみた。菊屋御膳は天ぷら・刺身・小鉢・ミニそば・御飯のセット。
料理の前にマズお茶を頂いたのだが、コノ器の大きさにビックリする。御飯を入れるお茶碗サイズの器にお茶が入って出て来たのだ。ソノ風情たるや、3〜4年前にカフェオレボウルなるモノが流行ったと思うが、マサにソレ。まぁ比べると若干小さい感じはするが、飲むためには両手を添えて持ち上げなければならない。
もし商談でコノ店を利用してお茶を飲んだ場合、なんだかとってもとっても可愛くなり過ぎちゃって、後で断りの連絡を受けたらどうしよう?との心配が脳裏を過ぎる。片手で飲む場合には親指を茶碗の上辺に当て、薬指と小指辺りを茶碗下部の高台にかけて飲むしか無い様な気がする。ソノ図を想像すると、なんとも豪放磊落な、戦国時代の武将を思い浮かべてしまう。
鈴虫が輪唱する草むらで、『本日の貴候らの武勲には、お館様も大満足されておる!今宵は飲め飲めっ!!無礼講じゃぁ〜っっっ!!!』と言うお達しが出て、地べたにあぐらして酒盛りの開始。家臣の一人がドジョウ掬いでもやれば、ヤンヤの拍手喝采が巻きおこる。
なぁ〜んて光景が頭に浮かんだりもしたが、まぁココは戦場では無いし戦国時代でもないし、ドジョウ掬いもよく解らないし商談の席でもないので、丁寧に両手を添えて飲んでみた。
菊屋御膳の到着と共に店員さんが、味噌汁とか漬け物なんかがアチラにあるので御自由にどうぞ!と教えてくれた。味噌汁替わりにはミニそばがあるし、菊屋御膳がスデに結構なボリュームなので必要ないかなーとか思ったが、食べられるモノならば食べねばなるまい!と思ったので、結局取りに行った。
味噌汁を掬ってみると、ホタテの貝殻がオタマに収まって出て来た。コレはもしかして探せば貝柱を得られるのか!と思い何度も何度も何度も掬ってみたが貝殻しか得るコトが出来ず、結局諦めた。貝柱が得られなかったので、替わりに刻みネギをタップリかける。タイミング良く、コレで終わりでぇ〜すと運ばれて来たブロッコリーにミニトマトを乗せ、今日のお昼の、完成です!
クラバーRさんは、少し遅れて席に着いた。ナカナカ帰ってこないなぁ〜と思いながら待っていると、席に座ったクラバーRさんは、おもむろに味噌汁の中に箸を突っ込み、中からホタテのヒモを取り出した。会心の笑みを浮かべるクラバーRさん。輝く笑顔。クラバーRさんはソノひもを、B食クラバーの味噌汁に入れてくれた。B食クラバーの笑顔も輝く。こうして微笑みの輪が少しずつ、少しずつ広がって行ったなら、世界はもっと、眩しいモノになるのだろうか?
なす・ししとう・かぼちゃ・エビの天ぷらに、マグロと(あれは)ヒラメ(だろうか?)の刺身。小鉢は貝柱と数の子の和え物。この貝柱以外の部分が味噌汁に入っているのだろうとココで気付く。天ぷらはカラッと揚がり、マグロ・ヒラメ(だろうか?)は柔らかく食べやすい。御飯もB食クラバー好みのツヤツヤさ加減。このグレードで\850とは、胃袋も財布も大満足だ。
途中サラリーマン2人連れが、入って来くなりロクにメニューも見ないで『ざるそば出来る?』って店員さんに話しかけたトコロ、はい出来ますよと店員さんが返していたので、どういうモノが出るのか気になって見ていた。と言うのも、メニューにはざるそばが表記されていないからだ。かけそばが\550、天ざるが\850。果たしてどんなモノが出てくるのか…。
運ばれて来たのは、まるでザルの上にチェダーチーズでも乗っているかの様に、コンモリと盛られたそば。アマリの量に、一体いくらするんだろうかと気になる。まさかアレで\550ってコトはないだろう。\650?とか気になって気になって、食べ終わったのに席を立つコトが出来ない。
挽きたて・打ちたて、茹でたてと言うのが美味しいソバの条件で、モチロン食べ終わるのだって早い方が、江戸っ子の粋ってモンだ。菊屋御膳を食べ終わった後、さぁコレからどれぐらい待てばいいかな?って考えた3分位後に、サラリーマン達はお勘定!と言って店を出て行ってしまった。
粋だねっ!って江戸っ子なら思うのかもしれないが、B食クラバーは唖然とする。マジですか!と思う間もなく、お2人分で\1,100になります!と聞こえて来た。どうやらかけそばの値段で食べるコトが出来るらしい。しかし、かけそばでも麺があんなに出てくるのだろうかと言う疑問が残る。こう言うのを裏メニューと呼ぶのか。
謎は解決したし、さぁ店を出るか!と思った時一番奥の座敷を見ると、1人のサラリーマンが座ったまま眠っていた。東京の通勤電車の中では見慣れた風景だが、まさか食堂の中で目にするなんて。確かアノ人は、B食クラバーがテーブルに着く前からアソコに座っていたと思うが、ソノ時既に眠っていたかどうか定かではない。
3分で食べ終わって出て行く人や、座ったまま眠りこけている人。全てを包括している様なコノ光景は、微笑ましくも温かい。菊屋の懐の深さを知ると共に、コレからめぐり会うであろう他のドライブイン系の食堂への思いも同時に募る。菊屋には、是非共夜も営業して欲しいと思うのは、B食クラバーの勝手な願いだろうか。