年に1度位、B食クラバーが無性に食べたくて仕方なくなるモノ。ソレが牛タン定食だ。炭火で焼かれた分厚い牛タンは、所々に大きい切れ目が入っていて柔らかく、非常に噛み切りやすい。
牛タンには麦飯が合う。牛タンを食べたいんだからゴハンはどうでも良いんじゃない?って思いがちだが、ゴハンに麦が入っているかいないかでは大きく違う。風味付けともチト違う、なんだろ、ゴハンがくっつき過ぎない感じも良いし、コレにとろろが組み合わせられるのも最高だ。
麦のチョット乾いた感じと、とろろの粘り具合。あぁーもう想像したダケで、いくら口を閉じていてもヨダレが隙間から出て来てしまう。牛タン+麦飯+とろろの組み合わせってイツからあるのか解らないが、コレを考えた人は天才だ。特許を得ても良いぐらいではなかろうか。いや、与えるべきだっ!
…などとイツモの様に加熱&暴走気味なのは、今年の春に中三で行われた全国味百撰の会場で出品されていた牛タン定食を食べなかったコトに起因しているのは間違いない。
秋田市内で牛タン定食を提供してくれている店は何軒かあり、ソノ全てにB食クラバーは行ったワケではないが、どれもが本場、仙台のモノと比べるとハッキリ違う。
まず肉がソレほど柔らかくないし、麦飯でもありはしない。テールスープを出してくれる店もあるケド、ヤッパリ仙台の牛タン定食と比べるとっ!
ソノ点全国味百撰には、本場のお店利久が出店しているし間違いない。牛タン定食を食べて、ついでに牛タンカレーも食べるのが(後日ね)、イツモのB食クラバーのセオリーだったのに。中三秋田店の閉店に伴い、秋田にいながらにして本場の牛タンを気軽に食べられる機会って、もう無くなるのだろうか。あー返す返すも!
などと考えていた悔しさがピークに達した頃、秋田市の国道沿いに最近オープンした店に、もう行かずにはいられない!今日のランチは牛タンでなきゃイヤ!と、欲しいオモチャの前で泣きながら暴れる子供の様な心境に陥った。
炭火焼きされた牛タンの写真が大きく貼られた看板と、ソノ名前から本格派の印象を感じずにはいられない店、『杜の都』が目的地だ。
店内はお座敷とカウンター。通路を隔てて右側がフツーの小上がりで、左側が個室気味な掘りゴタツ形式。
高まる期待を抑えきれず、メニューを見る。目的は、仙台やわらか牛タン焼き\1,200(ランチタイム価格)だ。いつものB食クラバーならば\1,000以上も昼ご飯に払うなんて考えられないが、今日は特別だ。だって牛タンを食べるんだモノ。
いつの間にかB食クラバーにとって牛タンは、誕生日のケーキ、クリスマスのチキン、お正月のおせち料理並にステイタスが上がっている様だ。いやむしろ、なんだったら牛タンこそがハイエンドであるべきか。
ランチメニューは他に日替わりと、黒潮・親潮と名付けられた海鮮丼、更に比内地鶏親子煮定食なんてぇモノまであった。ハッキリとは解らないが、海鮮丼には三陸の海の幸、おそらくウニなんかがメインでてんこ盛られていそうでヨダレが出まくり。
更に比内地鶏も提供している辺り、秋田と宮城の名物大集合!的な印象を受けてウハウハだ。なんだったらもうココで、萩の月とか喜久福とか笹カマとかぬれオカキとか志ん子餅とかも売ってしまったら良いのに!とか思ってみたり。
少々待って牛タン定食の到着。炭火焼きした牛タンが冷えない様にと、黒い石の上に乗っかっている。コレはウレシイ心遣い。皿の上には牛タンの他、白菜漬けと味噌漬けが乗っていて、テールスープと更にとろろが付いている。
パッと見パーフェクツ!に見えて頬は紅潮し、瞳にはハートをいくつも飛ばし、来る日も来る日も考えるのはアノ人のコトばかり!でもソレがワタシの全てなの!と言い切ってしまう女子中学生の様に舞い上がってしまったが、残念ながらゴハンがまるっきりの白で、麦飯で無いコトに気が付いた。
コノ残念さはまるで、母親に逆さ吊りにされて冥府を流れる川に浸けまくられると言う、大変な思いと引き換えに不死の体を手に入れたのにも関わらず、母親が持っていた部分、つまり川の水に唯一浸からなかったカカトに敵の矢が当たって命を落としたとされる、神話の世界の英雄の様だ。
コノ話を聞いたB食クラバーは、片足ずつ持てば良かったのに!と思ったりもしたが、神話の世界に登場する神々は、皆どこか抜けていて面白い。人間よりも人間らしい。ソコが愛される所以だろうか。
秋田じゃぁアレだろうか。麦飯にソレ程のステイタスが無いのだろうか。誰も興味を示さないから、麦飯を提供する店ソノモノが無かったりするのだろうか。秋田で麦飯やってます!的な店はタマに聞くが、大体健康にモノスゴク気を使っている飲食店です!ってアナウンスしていそうなトコロがなんともはや。
メニューを見るとコチラのお店、夜は牛タンと比内地鶏の串焼きで飲める店っぽい。ゴハンが麦飯では無かったコトを惜しみつつ、一杯やるのも1つの方法かも知れないな。