青森県には多くの日本一がある。子供の頃から知っていたのは、リンゴの収穫量日本一。大人になってから知ったニンニクの収穫量日本一。比較的最近知ったのは、日本一早寝早起きな県民であるコト。
ニンニクはともかくとして、リンゴとか早寝早起きなんかは秋田ももちょうっと頑張ればどうにかなるのではないかって気がして少し悔しいと言うか、なんとも言えないモヤモヤが。そんなやるせない気分を抱えて過ごしていたある日のコト。青森県には更に別の日本一があると聞いた。
いや、もう、イカの漁獲量とかジュースの年間購入金額とか、ソンナ程度のモノじゃ驚きませんぜ!的に大仰に構えているとソレは、日本一の幹周を持つイチョウの木だと言う。しかし、幹周が日本一だからなんだってんだと、ソノ時のB食クラバーはアマリ興味を惹かれない。
様々な色に紅葉する木々の中で、B食クラバーが好きなのはイチョウとカエデだ。イチョウは黄色く、カエデはオレンジや赤に、それぞれコレ以上無い!って位鮮やかに発色する感じが好きだ。
秩父宮競技場にラグビー観戦に良く出掛けていたが、毎年ちょうど早慶戦が行われる11月23日(勤労感謝の日)頃だと、神宮外苑から正面に絵画館を望むイチョウ並木の光景が好きで好きでたまらなかった。
アスファルトすら覆い隠さんバカリに積み重なったイチョウの葉。辺り一面、頭上も足元も真っ黄色って言うか、日が差し込むと黄金色に輝く。切れ間から見える青空。遠くに見える絵画館。ソノ場に立った瞬間、B食クラバーのお気に入りスポットとしてブックマークされたのは言う迄もない。
そんなイチョウ好きのB食クラバーが、日本一のイチョウだからってどうなの?ちょっとやそっとのコトじゃ驚かないよ?と思いながらネットで検索をかけてみると、秋の透き通った光を浴びて、眩しいぐらいに輝くとても大きなイチョウの木の写真が表示された。
!。神宮外苑にあるイチョウ並木に並ぶ全ての木に付いた葉っぱをワタクシ1本でまかなってますよ!って位の葉の量と、今迄黄色だなんて言っていてゴメンナサイm(_ _)mと、黄信号が頭を下げて謝りそうなぐらい眩しく、明るく輝くソノいちょうの木に、B食クラバーは一瞬で心を奪われた。
コノ木を見たい!紅葉の季節に観たい!と思うB食クラバーであったが、イチョウのある青森県の深浦町迄は結構遠いし、樹齢千年を超えると言われるコノ木は、千年を超えても尚朽ちるコト無く存在し続けていると言う理由もソコにあるのではないかと想像してしまうのだが、秋田や青森で他のイチョウの木が落葉を終えてもマダ、色づかないコトが多いらしい。
11月の終わりから12月の始めに掛けての頃にようやく見頃を迎えるなんて、神宮外苑のいちょう並木と時期的には同じだが、場所が青森となるとチョット話は変わってくる。その頃の秋田や青森では、初雪観測なんて当たり前。ヘタをすると除雪車が出動する程雪が降り積もっているなんて事態も当たり前だからだ。
過去には、周辺が真っ白な雪に覆われているのに、イチョウの木の葉っぱダケが、青々と生い茂っていたコトもあったらしい。
恐るべし、日本一のイチョウの木。我関せず!とバカリに、周囲に惑わされるコトのないソノ威風堂々っぷりは、マサに日本一の看板に偽り無し!と言っても差し支えないだろう。
一年前にも観に行った時は完全に時機を逸していて、イチョウの葉はドコをどうやってカラーバランスやコントラストを変えてみても、疑いようも無く、間違えようも無い程強い緑色の葉に覆われていてガックリと肩を落とした。
ソレでも、垂乳根のイチョウとも呼ばれている程に見事な風格を持つイチョウの木には魅せられたが、やはりイチョウがソノ実力を余すコト無く発揮するのは、黄色くカラーリングされてコソだ。もう一度四季を経験し、黄色く色づいたと言う正確な情報得たB食クラバーは、改めて青森県深浦町まで出掛けてみるコトにした。
本来ならば、イチョウに対して強烈に日差しが当たる午前中の内に着きたいトコロであるが、色々な事情によりソンナに早くから起きて活動するコトが出来ないB食クラバーは、午後のマダ陽が高い時間帯に辿り着くのが精一杯。そんなワケでお昼ゴハンは、時間帯的にもチョウド良い感じで以前から気になっていた、八森にある白神森海に寄ってみた。
一年前にも寄ろうかどうか迷った白神森海での気になるメニューは、ソノ名もズバリ、お魚定食。アマリにダイナミックで直球勝負なネーミングに、普段から吾郎の球を受け慣れている寿君も、思わず怖くてビビってしまうんじゃないだろうかとヤヤ心配に。
一般的に魚がメインの定食と言えば、焼魚定食とか煮魚定食とか刺身定食なんて名前で提供されると思うが、コチラのお魚定食は、ソノ全てを網羅した上に魚のフライまで付くと言う、マサにall that fish dish!お魚定食以外に名前の付け様が無いぐらい、全力でどう言う料理なのかを自己紹介している。
ソノ淀みの無さ。各年代の学校や部活、社会人になってからも環境が変わる度に繰り返さなければならなかった自己紹介を、自分もコレ位ブレ無く出来ていたら、もしかしてモノ凄くワンダフルなライフをエンジョイ出来ていたんじゃないだろうかと想像せずにはいられない。(いや、逆にひかれるパターンもあるか。ソノ可能性の方が大。)
店内へ入り、券売機の前に立つ。一番目に付くトコロにお魚定食のボタンがある。ヤハリ、お客さんに一番食べて欲しい料理なのだろう。他には親子丼・ラーメン・うどん・カレー・ハンバーグ・パスタなど、チョット通りがかりにココでゴハン食べようか?って思った人全てが、必ず何らかの料理に落ち着くコトが出来るだろう程メニューは幅広い。
ほぉ〜っと見とれていると、カレー・ハンバーグ・パスタ辺りには売り切れランプが点灯していた。只今お昼12時をホンのチョット回ったバカリ。この時間帯で売り切れ?と少々疑問に思ったモノの、今回の目的はお魚定食なので、大勢に影響はない。
券売機にお金を入れ、ボタンを押そうとしたB食クラバーの指先が不意に止まる。金額が\900と表示されていた。あれ?聞いた話じゃ\800だったんだケドな?と疑問に思ったモノの、今更他に変更も出来ないし、ボタンを押すしかB食クラバーに出来るコトはなかった。
カウンター越しに店員さんに食券を渡し、席に座る。白神森海は日本海に面して立っていて、大きな窓から日本海を見ながら食事するコトが出来るので、是非共ソノ席で食事をしたい!と思っていたのだが、海を向いて並んでいるテーブルには、奥様達のグループが座っていたので、諦めるしかなかった。ソレでも窓が大きいので、どの席からでも水平線を楽しみながら食事を楽しめる。
晴れ渡る日本海の青空を見ながら、今日は絶好のイチョウ日和だなと思っていると、程なくして料理はやって来た。フツーは1枚テーブルがあると、ソレに対して向かい合った2人分の料理を乗せるコトが出来るが、白神森海のお魚定食では不可能だ。1枚のテーブルに対して1人分の料理しか乗せるコトが出来ない。
トレーに乗って運ばれ来たのは、ほっけの開き、イカの刺身、じゃっぱ汁、おしんこ、イカの塩辛、マカロニサラダ、煮物小鉢。コレだけでも充分盛り沢山な内容なのに、更にアジフライとカレイの煮付けが別皿で運ばれて来た。
話には聞いて知っていたモノの、実際目の前にして驚きを隠すコトは出来ない。マサに魚料理パ〜ラダァ〜イス!土曜の夜はロマンチックに更けていく♪…いや、今は夜じゃないし、今日は土曜日でも無いのだが。
目の前に広がるコノ光景を、もしサカナ君が見たのなら昇天確実!イシちゃんが見たとしたら、まいうー連発!ヒコマロが見たら…ワケの解らない変体修飾語をつけた後、やっぱタイとかヒラメとかマグロとかバフンウニとかじゃないとな、なぁ〜んて贅沢三昧なコト言い出しそうなのでご遠慮願おうか。とにかく、普段はアマリ自ら進んで魚料理を食べないB食クラバーの心の奥底まで、白神森海のお魚定食は見事に鷲掴みにするコトに成功した。
まるでバイキング料理店にでも来たかの様な錯覚を覚えたB食クラバーは、一体どれから食べようかと大いに迷う。ヤッパほっけの開きからか?ソレとも体に優しそうなカレイの煮付けか?とか思いつつじゃっぱ汁を見てみると、ソコにはハタハタが一匹まるごと入っている。
ヤッベェ〜コレどうする?と、ヤヤ魚に押され気味なB食クラバーがマカロニサラダを見ると、なんとソコにもツナの様なフレーク状態の魚が入っていた。魚が使われていない料理はお新香と煮物小鉢ぐらいだが、煮物小鉢にはワカメかコンブらしき海草が使われている。
ドレもコレもが海からとれたモノを食材としている料理バカリで、どうしたモノかと取り乱したB食クラバーは、とりあえず心を落ち着かせるタメにも、お新香へと箸を向かわせた。
肉厚でジューシーなほっけの開き。サッパリしたカレイの煮付け。小学生の頃大好きだったアジフライ。どれも食べてて幸せな気分にさせてくれる。ほっけの開きは居酒屋に行きたての頃、必ずと言って良い程頼んでいた料理なので、その頃の気分もなんとなく思い出してしまわなくもない。
コレだけの料理が並び、果たして食べ切るコトが出来るのだろうか構えていたのだが、気が付くと全てをキレイサッパリ食べ切っていた。なんだったらオカワリが欲しい!とさへ思える位だ。
安い値段で魚をタップリ食べたいと思ったら白神森海だな!とは思ったが、秋田市からだと若干遠いし、お昼の時間帯しか営業していないのが残念だ。高速道路の無料化が実現すれば、もう少し食べに来る機会が増えるだろうか。