このトコロ、年に1度か2度のペースで山形県の庄内地域に出掛けるコトの多いB食クラバーは自然、酒田市や鶴岡市の情報を集めるコトが多くなった。
酒田市は何だか街並みも綺麗で、中心部に至っては面白い様に区画整理されまくっており、B食クラバーが以前住んでいた、江戸川区の葛西辺りを彷彿させる感じも気に入っていたりする。
近代的な建築と、山居倉庫の様な古くて歴史のある建物が同居し、ソレら2つが、現代の生活に於いても区別されるコト無く使用され、役立っている辺りも良い感じだ。古さと新しさが調和している街。B食クラバー的には酒田市にソンナ印象を持つ。なんでB食クラバーはコンナにも山形県の庄内地域が好きなんだろう?って改めて考えてみると、とある1つのコトが思い浮かんだ。
B食クラバーは宇宙旅行に何か一つ、自分の好きな食べ物を持って行けるとしたら何にする?って言われたら、迷うコト無く枝豆!って即答する程の枝豆好きだ。その枝豆の最高峰と目される、だだ茶豆が日本で唯一栽培されている地域がココ庄内だと言うのも、全くの無関係では無いだろう。
コンナ風にB食クラバーの心を捉えて離さない酒田市の中で、更にB食クラバーの根っこの部分からをシッカリ&キッチリと両手で押さえているのが、酒田港を望む、さかた海鮮市場の2階にある、海鮮どんや とびしま。
コチラの一押しは、10種類モノ新鮮な魚貝の刺身が船盛りされている、ソノ名もズバリ、刺身船盛膳。コレが何と\1,050と言う、B食クラバー的には見逃すコトの出来ないリーズナブルな価格で提供されていると聞いた日には、枝豆よりも先ずはコッチでお願いします!って言いたくなる程、食べてみたくて仕方ない。
刺身船盛膳以外にもメニューはモチロン沢山あり、ソノ全てが新鮮でリーズナブルと言うコトで、とびしまはイツ出掛けても行列必至!の人気店だとのコト。残念ながらと言うか当然と言うか、刺身船盛膳は一日何食だかの限定品で、早い内から並ばないと食べるコトはおろか、姿を拝むコトすら出来ない人気メニューだと言う。
食べたい!今、無性に刺身船盛膳が食べたい!酒田情報を調べる度に、とびしま情報を見かける度に、ソノ思いは切なく募る。
そして今回、平日に山形県と言うか新潟県に用事が出来たので、とびしまで昼ゴハンを食べるコトにした。朝ちょっとユックリ目に秋田から車で出掛ければ、お昼前にはとびしまに辿り着く計算だ。まぁ多少は混むのだろうケド、平日だしソレ程の人出でも無いだろう。絶対に刺身船盛膳は食べられるハズ!との目算の元、秋田県を出発した。
…とびしまでお昼ゴハンを食べるタメに、出発時間を調整したフシもあるが。
何度か酒田市を訪れ、地図上ではコノ道路の方が簡単だろう!って思いながら進むも、結果的にはより複雑なルート選択をしていたコレまでのB食クラバー。
県道○号線沿いにあるから間違わない様に、国道の一番手前の分岐点から県道に入れば、一本道だし間違わないだろう!と思って進むのだが、大概にしてソンナ道路は、途中で90度曲がって細い道になっていたり、他の道路と合流してソノ道路の番号が表示されていたりして見失っていた。
そんなコトを何度か繰り返す度、徐々に精度が上がっていくB食クラバーの脳内酒田市ナビ。そんなワケの解らない道路を走るよりも、メインの国道を走りつつ、大きな交差点を数回曲がるダケの方が、簡単だし結果的に早く目的地に着くコトに気が付いた。(…その曲がるポイントを間違えたら目も当てられないが。)
最早来慣れた感のある酒田市で、道を見失うコト無く目的地に辿り着いたのは初めてだ。ホラ、酒田市のアソコでさぁ〜、なぁ〜んて不意に話しかけられても、あぁっ、例のアソコね!と、慌てるコト無く対応できるかもしれない。
しかし、目的地に着いてから駐車場の入り口が解らないと言う落とし穴が。小学生の頃担任の先生が、家に着く迄が遠足ですよ!と言っていたのを思い出す。狙った獲物を目の前にするも、ソコには銭形が仕掛けた最新鋭のセキュリティシステムが働いていて、手を出したくても出せずに悔しがっているルパンの様な心境に。(まぁルパンなら難なく成功するだろうが。…相手は銭形だし。)
駐車場への入り口は見つけられないモノの、出口は見つけられたのでソコを強行突破する作戦に。障害物が全く無い、見通しの良い駐車場だからしたコトだが、駐車場を逆走したコトは何度もあるモノの、出口から入ったのは初めての経験だ。
B食クラバーの後から来た車も、駐車場入り口が解らずに、出口から入って来たので、出入り口が解らなかったのはB食クラバーだけでは無いみたいだ。駐車場入り口と言う指示看板に従って進んだのに、いよいよ入り口と言うトコロで通行禁止の標識があるって言うのは、一体何のトラップだ。
駐車場入り口がもう1つあるコトには、帰る時に気が付いた。コレはアレか。森の中の一本道が途中で二股に分かれる分岐点にありがちな、2つの方向を指す立て看板が、故意によってかあるいはアクシデントによって、あらぬ方向を指してしまうと言う、物語を盛り上げるタメの作戦か。
まぁ何とか無事に車を停めるコトも出来、足取りも軽くとびしまへと向かった。時間は11:15。同じタイミングで入ろうとする1組のグループ。もっと切羽詰まった時間帯ならば、何人たりともオレの前は走らせネェ!とバカリに、ガードしつつも巧みにブロックしながら前に出る所だが、今の時点で12:00迄には45分も時間がある。余裕の笑みを見せて先を譲ったB食クラバーだが、店内に入った瞬間ソレは、氷の微笑へと変わった。
ソコには既に、食券を買い求める人々による30人程度の行列が。しかも列には並ばずに、テーブルに座っている人もいる。察するに、グループで来たお客さんの内、代表の方が列に並んでいる風情である。数えてみるとB食クラバーは、大体50番目の様だった。
甘かった!全ての目論見が、音も立てずに崩れて去って行くのを感じた。小さい粒の様な砂が、強い風に煽られて少しずつ少しずつ形を失って行くかの様だ。ソレに対して、何の対抗手段も見出せないままのB食クラバーに出来るのは、只々ソレを見つめながら、涙を流し続けるコトだけだ。コレぞマサに砂上の楼閣、砂の城。『人生なんて砂の城の様なモノかもしれないわね。作ってもマタ波がさらってしまう。ソノ繰り返し…。』今、B食クラバーの脳裏に思い浮かぶのは、ナタリーの悲しげな瞳バカリなり。
と、いつまでも落ち込んではいられない。気を取り直して、自分が刺身船盛膳を食べられる確率の計算をするコトにした。前もって得ていたデータによると、刺身船盛膳の限定数は15。コノママでは確実に食べられない。絶対に自分が口にするタメに、一体どんな手段を講じるべきか。
病床の母が、どうしても食べたいと言ってるモノで…とハンカチ片手に涙ながらに割り込むか、それとも階段の影に爆弾が仕掛けられてるゾ!と言ってお客さんを追い払うおか!とか思ったが、どう考えたって店員さんも一緒に逃げるだろうから、そんなコトした日には絶対に食べられない。
頭を抱えるB食クラバーをよそに、11:30からのランチタイムの始まりを告げる、店員さん達の号令が響き渡った。まぁアレか、もし食べられなかったとしても、他にも限定で提供されている、とびしま膳とか板さんおすすめ膳とか食べれば良っか!と、やや後ろ向きな発想を主軸に、今後の展開に望むコトにした。
カナリの数のお客さんがいる中、全くと言っていい程混乱が起きないのは、店員さん達のフットワーク&連携が良いからだ。自分の守備エリアはキチンとこなし、マークの受け渡しもスムーズで、店員さん達全員が1つの有機体の様に機能して、コノとびしま劇場を演出しているかの様だ。日本代表のサッカーもかくありたい。
などと、少々現実を逃避しつつお客さんに出されていく料理達を見守っていると、全員が全員、刺身船盛膳を食べてるワケでは無さそうだ。前述した他の限定メニューであるトコロの、とびしま膳・板さんおすすめ膳なんてぇのも次々に売れている。コノ割合で行くと、もしかしたら刺身船盛膳を食べるコトが出来るかもしれない!と、淡い期待を抱きながら、コレから先1人も刺身船盛膳頼むな!って念じると言う、非常に内向的な作戦に打って出てみるコトにした。
いよいよB食クラバーが食券を買う番。そして、刺身船盛膳は無事に注文するコトが出来た。B食クラバーのテレパシーは、こう言う少々、後ろ向きな願い事の時に威力を発揮する様だ。ジェダイにはなれないが、シスの暗黒卿になれる素質は充分過ぎる程あるに違いない。
食券を買ってスグ、横のカウンターに移動して自分が注文した分の出来上がりを待って席に着く。まぁセルフサービスシステムなのだが、2人組で来ていて1人が席取りをしつつもう1人が並んでいる場合、1人で2人分の料理を持って行かなくてはならない事態が発生する。そんな場合どうするのかなぁ〜と思ってみていると、親切にも店員さんが1人分を持ってテーブルまで運んでくれる。お客さんが力の弱そうなお年寄りなんかだったりした場合は、ソノお客さんが本来持つ分まで運んでくれてる。カナリの柔軟性を持ったセルフサービスシステムだ。
そしてようやく、刺身船盛膳を頂く時間がやって来た。船の上には、タイ・シメサバ・サーモン・マグロ・エビ・タコ・ブリ・ホタテ等が並び、舳先部分にはサザエが鎮座すると言う素晴らしさ。あぁ!コレらの刺身を食べるタメに、はるばる秋田から移動して来たかと思うと感慨も深い。
お刺身は、ソノどれもが明らかに新鮮!美味!普段\100回転寿司の、商品名はそうと書かれてはいるけれども実際は何の身だか解らない刺身を食べているB食クラバーにとっては、本気で涙とホッペタがこぼれ落ちるかの様で、コンナ料理を\1,050で食べられるなんて酒田市民はウラヤマシイ!人生の隠居後は酒田市に住民票を移したい!とまで思えてしまう。タマゴをギッシリとお腹に抱えた甘エビを見た日にはもう、ありがた涙もチョチョ切れる。
食べている途中で食券販売カウンターの方を見ると刺身船盛膳のトコロに、今日の分は終わりましたと張り紙されていた。どうやら現定数は20食だった様だ。ギリギリ食べられたコトに感謝したい。
並んでいる時は、チョット高いケド板さんのおすすめ膳でも良いから食べさせてくれ!と思ったモノの、冷静に考えてみると、お頭付きの鯛の刺身が豪快に盛られてるケド、アノお頭は一体どうしたら良いんだろう?って冷や汗カキまくると思うので、刺身船盛膳にありつくコトが出来て本当に良かった。
B食クラバーは美味しい物を食べた場合、充分に一食分の量を食べたとしてもお腹が満たされなくて、腹減りモードを継続する場合が多い。今回もキッチリ一食分食べたのにも関わらず、足りなくて足りなくて仕方ない。
こう言う時はデザートだ!とバカリに、コチラも珍しいイカスミソフトを食べてエネルギーを補充。コレから新潟へ向かうタメのガソリンとした。