行ったコトは無いが、以前からソノ存在を知っているフレンドール。何やらメロンパンがヤタラと評判良いらしい。唐突だがB食クラバーは、子供の頃からメロンパンが大好きである。自分の物差し=世間の一般的常識だと信じて疑わなかったジュブナイル。ソレが覆されたのは、人生の春を誰もが謳歌する高校生の頃であった。
お昼に、B食クラバーがヤケにメロンパンばっかし買うコトを友人が気にしていたらしく、ある日ソレについて問い掛けてきた。いや、そんなコト聞かれても特に理由なんか。美味しいジャン!とか答えたB食クラバーの顔を友人は、信じられないモノを見る様な表情で覗き込んでいた。
メロンパンなんてアンナもん、何が美味しいんだ!と、アマリに衝撃的な内容に、正確な言葉は忘れたが、太陽やお星様が動くんじゃなくて、大地が動いてるんだよって初めて、中世の人々が耳にした様な、それ程のインパクトを受けた。自分が美味しいと思っているメロンパンは、世の中の他の人も全て好きなハズだと思っていたのだが、友人の一言により、それはどうやら違うらしいと解った。
それでも今迄の自分を捨てきれないB食クラバーは、この友人1人が嫌いなダケで、他の人々は好きかもしれない!と、僅かな望みを抱いて何人かの友人に聞いてみたが、周りのメロンパンに対する評判も、芳しくなかった。
ついさっきまで、メインストリームの真っ直中にいる充実感に包まれていたB食クラバーだが、実は自分がアウトサイダーだったと思い知らされ、マサに崖っぷち。例えて言うなら親に、実はお前は橋の下から拾って来た子だったんだよ。本当の子供じゃないんだよって告白された位の不安が込み上げてくる。いや、橋の下じゃ寂しすぎるのでココはせめて竹を切ったら出て来た位にしておきたい。(それじゃ上等すぎるか。)
そんな孤独に包まれたB食クラバーは高校を卒業しても、コトある毎に周囲の人に対してメロンパンの印象を聞いてみたが、ヤハリと言うかそれ程の地位を得ていないコトが解った。誰に何度聞いても、メロンパンが低評価だと言う事実を確認するダケだと気づいたB食クラバーは、イツしかメロンパンと自分自身を重ねて見る様になっていた。
以来ドコででも、人目を気にしながらメロンパンを買っていたB食クラバーだが、最近になって、メロンパンの人気が上昇しているらしい気配を感じ取っていた。ちょうど21世紀になってからだろうか。TVやインターネットを見ても、メロンパンが人気だと言われている。コノ変わり様。まるで階段から足を滑らせて転がり回り、気が付いたら量子物理学の壁を乗り越え、パラレルワールドへと迷い込んで来たかの様である。
コノ世界ではメロンパンの評判が高く、大体誰もが好印象を抱いている。高校時代の友人に今会うコトが出来たら、やはりメロンパンは美味しいね!って、判で押した様に口にするであろう。ビバ☆メロンパン!もう元いた世界には戻りたくない。
更にどうやら秋田県には、全国的に有名なメロンパンがあるらしい。ソノ噂を聞き、いてもたってもいられなくなったが、ナカナカ横手市まで行ける機会が無くそのままになっていた。しかしコノ度、ようやくソノ時がやって来た。
人気商品は午前中で売り切れる場合があると聞き、午後の遅い時間に出発する予定だったB食クラバーは直前になって出掛けるのを躊躇った。予約する方法もあると聞いたがメロンパンだけ取っといて下さいって電話するのもどうかと思い止めてみた。しかし、平日ならばもしかしたら大丈夫かもしれないと考え直し、出掛けるコトにした。
フレンドールに到着。カナリ広く明るい店内。商品の数が多すぎるコトに戸惑う。何を買うか吟味するため、店内を3周くらいした。パンと洋菓子を売っている店はタマに見掛けるが和菓子まで売っている店は初めてで面食らう。とにかくメロンパンを買おう!と探したが、残念にも売り切れていた。
カナリ肩を落としながら視線を横に移すと、メロンパンと同じ様な風貌のパンがあるコトに気が付いた。メロンパンと同じ位評判が良いかぼちゃパンであると判明。ソレを買ってみた。もちもちシュー、どら焼き各種、バナナボート、バナナクレープ、その他諸々で\2,000程の買い物となった。良く買ったなぁと思うと同時に、良くコレだけに抑えたなと言う達成感も訪れる。
商品が全て個別包装されているので良いのだろうが、フツーだったらトングを使って商品を掴むトコロが、素手で触るコトに多少の違和感を覚える。って言うか、B食クラバーが気づかなかったダケで、ドコカにトングがあったのだろうか。
食べてみた商品は何もかもが良い感じ。横手市に引っ越したい!と言う気持ちに強く駆られ、抑えるコトが難しい。特にフレンドールの向かいに。