最近は何故か、職場で肉体労働をする日が多いB食クラバー。元来が鉛筆よりも思いモノを持ったコトがない生活をしており、職種だって本来は、一日中椅子に座ってバカリの、どちらかと言うと肉体労働よりも頭脳労働派で、(最近は頭脳労働力も衰え気味だが)端で見ている分には、頭脳労働派よりも肉体労働派の方が働いている!って言う風に見えたりするワケで、チョット髪が薄くてギョロリ目玉の人が、和傘の上で鞠を転がしている人を指さし、『コレでギャラは同じでぇ〜っす!』とか言ってギャグになる辺り、額に汗する姿は、誰の目にも勤労!って言う具合に映るってコトだろうか。
そんなワケで図らずも、肉体労働を重ねるB食クラバーは疲労も困憊。額どころか前身汗だくになりながら働いているのに、誰も『頑張っているね!』とか言ってくれない辺り、若干罰ゲームっぽい。とか思いながら、でも何に失敗したワケでもないし、この果てしないマイナス思考はどうにかならないモノか。
今日も一日の労働を終え、少し休んだ後にB食クラバーの体が欲したモノ。ソレはシャワーで汗を流すコトでもなく、風呂上がりにキューッとビールをやるコトでもなく、お茶の間食堂の唐揚げを食べるコトであった。B食クラバーの他にコノ様な気持ちになる人が世間に何名位いるのか解らないが、極めて少数であるコトは間違いないであろう。消費しきったカロリーを求めていたと言うコトであろうか。
しかし、お茶の間食堂は昼間しか営業しておらず、食べるには明日まで待たなければならない。お茶の間食堂の唐揚げがベストだと思っているB食クラバーとしては、他の唐揚げで気を紛らわそうにも、そんなコトしたら余計にお茶の間への憧憬がつのるダケだ!と判断し次の日の朝まで、悶々とした気分で浅い眠りを貪っていた。
晴れて次の日、クラバーKを伴ってようやくお茶の間食堂に見参。イツモなら誰かに唐揚げを注文させて、自分は違うモノを注文し、互いにシェアしあう方法をとるのだが、今日ばかりは唐揚げが食べたくて仕方のないB食クラバーは、久しぶりに自分でも唐揚げを頼むのであった。
※…え〜っと、ココまでお茶の間食堂のコトしか出て来ませんが、いよいよ次から風月堂の話になる…ハズです。
一晩中想い、恋い焦がれた唐揚げを胃袋の中に納めた後、大変なコトに気が付いた。コノ後何をしたい!とかって言う予定も希望も何もなかったのである。人としてコレは一体どうしたモノか。情熱も欲望も唐揚げのみに注がれていたと言うコトであろうか。しかし、(一応)健康な社会人が、コンナ日の高い内からなんにも出掛ける用事がないなんて許されるコトであろうか。否、許されるコトがあろうハズもない。
まだ思春期の熱さを胸の内にくすぶらせていたヤンガーデイズなら、コンナ時は当て所無いドライブに出掛けるのが基本と言うモノだろう。そう思いながら、一番無理なく遠出できる場所を頭の中で検索し始めると、そう言えば矢島町の風月堂って店に美味しいロールケーキがあるって聞いたコトがあるなと思い立ち、ロクに住所も知らないままクラバーKを引き連れて出掛けるコトにした。
本荘方面にアマリ出掛けたコトのないB食クラバーにとって、矢島町は実は初めての体験。そんなトコへ住所もウロ覚えで、かと言ってカーナビを持っているワケでも無い車で出掛けるのはカナリの無謀であるのだが、B食クラバーが所有している携帯会社はau。auにはEZナビウォークが付いている。コレを利用すれば何とか辿り着けるだろう!と言う甘い考えの元、車はヒタスラに矢島町へと向かって南下し続けた。
矢島町に到着。実はココに来る迄にも道を間違えていたのだが、ソコはソレ無かったコトにと言うか、気にしない方向性で。確か駅の近くにあるんだよなと思いながら、まずは矢島駅へと車を向かわせた。しかし、ココまでは順調だったモノの、ココから先が解らない。駅前に着けば解るんだろうとか、案内図があるんだろうとか、非常に楽観的に考えていたのだが、手がかりが何も無い現実を目に、うなだれるしかなかった。
だが、ココからが文明の利器、EZナビウォークの出番である。颯爽と取り出し、必要なデータを入力してみたのだが、小さい液晶画面に表示される小さい地図範囲では、ドコが何を指しているんだか、サッパリ解らない。EZナビウォークを片手に車を走らせるB食クラバー。いや、EZナビウォークを助手席に座っているクラバーKに持たせて、だ。当たり前でしょ、そんなの。道交法違反だし。
え〜、ココから何分迷って、どれ位車で移動したのかは書きたくもないし思い出したくもない。散々走った道路を地図上に展開し、ようやく当てはめてみると目的の場所は、矢島駅から徒歩数分の場所にあり、ソノ店の前を車で何度も何度も何度も通過していたのであった。
一気に脱力感に包まれるB食クラバー。只付き合っているダケのクラバーKの心中は、計るべくもない。看板も出ていない店の中に入って、ようやく風月堂と言う文字を発見し、安堵の溜息を漏らした。
さて、ロールケーキを買おう!と思い、ショーケースを見る。しかし、他のケーキはイッパイあるのだが、肝心のロールケーキが見当たらない。あれっ?違ったかなぁと冷や汗を流しながら店のカーサンに聞いてみると、本荘の店では売っているんだケド、ココでは暑い夏の間は販売していません!と言う返答であった。
…マジですか。せっかく散々道に迷いながらようやく辿り着いたと言うのに何と言う仕打ちかと、もしもコノ世に神様がいるのなら訴えたい気分であったが、普段無信心なクセにコンナ時だけ引き合いに出されるなんて、神様にとってはたまったモンじゃないし、向こうから願い下げだろうし、何よりも全てが自分の準備不足から来ているのだから、誰かのせいに出来るハズもない。
店のカーサンは親切にも、本荘店の場所を教えてくれていたのだが、己の行き当たりバッタリさ加減にウンザリしているB食クラバーの耳に入るハズもなく、せめてせっかく来たのだからと、数種の焼き菓子を買うのが精一杯であった。
精も根も尽き果て、気力を無くした格好のB食クラバーは、帰りに本荘で店を探すでもなく秋田市内へと辿り着いた。
帰宅し、ヘトヘトになりながらも買って来たスティック状の焼き菓子を食べた瞬間、コノ美味さは何!と思い、ヤハリ本荘の風月は、避けて通るコトの出来ない店であると思い知った。今度行く時は、万全の準備をしたい。
ソノ後しばらくしてから、本荘にあるセゾン風月に辿り着くコトが出来た。不正確な地図と、大ざっぱな正確のコラボレーションによる探索作業は想像を絶する程困難だったが、なんとか店を発見するコトが出来た。店を見つけるまでに、同じトコロを2周したってのは気にしない方向性で。
前回も通ったトコロを、やっぱりココだよねっって言いながら探したのだが、見逃していたソコに店はあった。見つけると、いかにもケーキ店らしい店構えなのだが、車で通ると見逃してしまう白さと言うか透明さと言うか。ま、何を言っても自分が捜し出せなかった言い訳にしかならない。自分の、店を探す能力の低さに涙も枯れ果ててしまいそうだ。
とにかく、目的だったロールケーキを食べるコトが出来たので、全ては良しとしようと思う。