数年前の仕事中、食いしん坊隊隊長が『美味しいシュークリームの店があるんですぅ〜。』と言って来たコトがあった。中学時代の関根勤並にシュークリームが好きなB食クラバーは、まるで末梢神経を刺激された解剖中のカエルの様に即座に反応。無条件反射とはこう言うモノかと、もしその場に中学生がいたら実証できただろうし、神経行動生理学を研究する人がいたら、サンプルを取りたいので是非我がプロジェクトに!って誘われたりしたかもしれない。ちょうど会社に偉い人が1人もいなかったため、その日のオヤツにするべく、食いしん坊隊隊長と共に出掛けるコトにした。
大体どの辺にあるのか聞いてみると、昔B食クラバーが生活圏として活動していた辺りだったので驚いた。かなり昔からその地に存在している店の様だが、当時のB食クラバーは、その時迄全く解らなかったからだ。B食と言うのは、如何に日頃からの地道な調査と、仲間同士のコミュニケーションが大切なのかと解る話でありがたい。
無事にシュークリームを購入。その日のオヤツにしたハズなのだが、一体どんな味と言うか形だったのかすらも、何年も前のコトなので覚えていない。そのママその店の記憶も風化して行き、思い出すコトは無かった。
そんなある日のコト、ユカイさんからスイートポテトの美味しい店があると聞いた。今迄に1度も聞いたコトが無い店だったのでウレシかった。ヤハリ普段からのコミュニケーションは大切である。詳しく調査していくと、昔B食クラバーが生活圏として活動していた辺りだったので驚いた。その辺にそんなに評判の店があるのかと。
ほぼ灰色の脳細胞のみによって構成されているB食クラバーの頭の中で、現実の風景がおもちゃのブロックの様に組み立てられていくと、途中であるコトに気が付いた。何かそう言えば昔その辺に行ったコトがあった様な気がする。薄らボンヤリと記憶が積み上げられて行くその途中、ヒョットして昔食いしん坊隊隊長と出掛けたアノ店か!と、突然ビビッドに記憶が蘇ってきた。
更に調査を続けると、確実に同じ店であるコトが解った。何故今迄忘れていたのか不思議でならないが、思い出した今となっては、イパネマ辺りのビーチに寝そべって優雅にテキーラでも飲んでいるかの様な気分である。
ユカイさんの話によると、スイートポテトは大人気で、午前中には売り切れるコトもある程だと言う。日曜日は休みだって聞いた様な気もするし、コレはちょっと行く機会がないよなと思っていたが、突然その日は訪れた。
平日のお昼に土崎方面に社用ができ出掛けたのだが、スグ済む用事の上天気も良い。このまま会社に帰るのもツマラナイよなと考えるのは人間の本能と言うか自然の摂理。この世に絶対なんて言葉はないと語る人もいるが、コレに逆らえる人もそうそういまい。
せっかくだから、普段行ってみたいケド行けてないトコは無いだろうかと考えを巡らせると、ながい菓子店のコトが思い出された。午前中と言うよりも正午過ぎの時間帯なので、ヒョットしたらスイートポテトも売り切れてるかもしれないが、今日行かなければ暫く行く機会も無いだろうと思い、ながい菓子店へと向かった。
店の入り口には、『シュークリーム』、『スイートポテト』と手書きのポップと言うか貼り紙があって、その手書きさ加減が良い感じ。余計なコトはしていない。直球勝負。シンプル。と言う印象が店先からも感じられ、ヒョットしてココが料亭なら、『素材の味を引き出すコトを心掛けております。』と、捻りハチマキの板さんがうつむき加減で答えてくれるのかもしれない。
いずれしてもコノ2品に力を入れていると言うコトであろう。以前来た時も貼ってあったかどうかはモチロン覚えていない。ショーケースを見て驚いたのは、ほぼシュークリームとスイートポテトしか置いてなかったコト。以前来た時はもちょっと他にケーキとかあったと思ったのだが気のせいか。
両者とも\230と少々高い様な気がするが、今回はスイートポテトだけを買った。覚えていないが、前回はシュークリームだけを買ったハズである。店を出た瞬間、ソッコーで食べようと思ったが、袋に印刷されている文字を見ると、『このままでも美味しいですが、温めるとまた格別な味わいです。』と書かれていたため、断腸の思いで中断。夜、家に帰ってから食べるコトにした。
袋に書いてある通り、電子レンジで1分温めた。全て制作者の作ったマニュアル通り。パティシエの意図したモノと、寸分違わぬ味覚を感じとれるハズである。さつまいもの皮がそのままベースに使われており、食べた感じもマンマさつまいも。長さは10cm位。ユカイさんはイモ好きと聞き及んでいるが、それも納得の食べ心地である。
コレを食べたB食クラバーは口に入れた瞬間、ドコカで食べたスイートポテトに似た味わいだな!と思ったのだが、それが何なのか思い出せない。同じぐらいの大きさでヤハリさつまいもの皮が使われており、もうホントに甘いサツマイモを食べてる様な食感まで一緒なのだが、記憶の中にある方にはクリームが仕込まれていた様な気がする。
ちょっと考えるとスグに思い出せそうな気はするのだが、まるでマトリョーシカみたいに、開けても開けても中から小さい人形が出て来る様で思い出せずに焦れったい。どなたかココを読んだ御奇特な方がいらっしゃって、知っていたら教えて貰いたい位である。
ヒョットしたらラッキョウやタマネギの様に、剥いても剥いても中身は出てこないモノかもしれないし、実は数年前に、ながいのスイートポテトを食べていたのかもしれないが。
後日、クラバーMさんを伴って行ってみたが、先に店先に立ったクラバーMさんは、明らかに戸惑っていた。パッと見、どう考えても普通の民家にしか見えなかったらしい。更に店内に入ると、クラバーMさんが買おうと思っていたシュークリームは売り切れ。スイートポテトはかなり残っていたのだが。スイートポテトでは無くシュークリームが売り切れているとは。いやはや油断大敵である。