実は何を隠そう、って言うか別に明示的に隠したりしているワケでは無いがB食クラバーは、キレンジャー同盟でも作ろうか?ってな位のカレー好きだ。カレーとラーメン。コノ、何か食べ物を…と問われた時に、誰しもが真っ先に思い浮かべるであろう2大人気国民食とも言えるメニューの2つ共が好きな辺り、B食クラバーのステロタイプさ加減と言ったら、目も当てるコトが出来ない。
東京に住んでいた時は言わずもがな。秋田でも何軒かカレーの美味しい店を発見し、ウハウハ気分で過ごしていたB食クラバーに、ソノ情報は青天の霹靂の様に響いて来た。秋田市内にエチオピア料理を出す店があり、ソコのカレーがウマイ!と言うのだ。店名はブルーナイル。アフリカの、いや、人類の生命と豊穰の源であるナイル川の名を冠した店は、ソレだけで期待値が高い。
トコロで、エチオピアに住む方、エチオピアに知り合いがいる方など、エチオピアに造詣が深い方々にとっては失礼なコトこの上ない話だが、B食クラバーはエチオピアと聞いても、多分アフリカのドコカにある国!と言う知識しか持っていない。って言うかこんなコトを知識と言うのも憚られるコト間違い無いのだが、己の無知さ加減にホトホト呆れ返りながら、とりあえず地図上でソノ場所を探してみた。
日本人的には、同じアジアと言うコトで少々親近感のあるサウジアラビアやイエメンと、紅海を挟んだ向かい側にあるコトが解った。カレーってのはインドの料理で、日本にはイギリス経由で入ってきたモノだと思っていたが、何故エチオピアでカレー?とか、自分の拙い知識で無謀にも理由付けを試みていたが見つけられず、しかしソンナにアジアに近い場所にあるのなら、エチオピアでカレーってのも、全く不思議じゃないのかもな、とか思うコトにした。
まぁ、一時イギリスは世界の半分を支配下に置いていたし、日本にも広まったぐらいだからエチオピアに伝わっても不思議じゃない。って言うか、エチオピアではカレーって言わない香辛料を使った料理なら先祖代々、伝統の味として受け継がれているのかもしれない。エチオピアの方々にとっては、インド=カレー?フフン!って、鼻で笑われるのかもしれない。
ソノ歴史や背景を解き明かすのも大切なコトだと思うが、知識も教養も人並み以下のB食クラバーとしては、どう考えても、脳味噌で処理できる限界を超えそうなので、とにかく美味しい料理が食べられる!と言う部分に限定してのみ、対応して行った方が良さそうだ。そしてソノベクトルこそがB食クラバーにとっても、キレンジャー同盟にとっても幸せなコトだと思いたい。
ブルーナイルでエチオピアのカレーを食べる。コレがB食クラバーにとっての至上命題と、いつの間にかなっていた。
一番最初にブルーナイルの評判を聞いたのは、カナリ前のコトである。実際に訪れるまで一体どれぐらいの月日が流れたのだろうか。日曜日はやっていない、夜遅くまではやっていない、タップリ時間のある時に行ってみるべきだ、スンゴイ民家だ等、実際に行ったコトのある人の体験談や、そうでない人の憶測まで含めて、色々な情報を得たのだが、それらを頭の上ダケで色々と組み合わせる遊びの時間は終わった。某文豪だって、本なんか読んでないで街へ出掛けよう!と言っているではないか。ヤハリ、100の風聞よりも1つの実体験の方が価値があるのだ。外は大雪だケド、出掛けてやるぜ♪ヘ〜イヘヘイ!と、何年間かの思いと共に出掛けてみた。
自分の車にカーナビなど装備していないB食クラバーは、事前に調べた地図を脳味噌にインプットした。コノ、人間カーナビ(と言っていいモノかどうか)の精度はカナリ低く、1つ信号で停まる度、1つカーブを曲がる度に徐々に劣化していくのだが今回も、何回も道を間違えながら、ようやく辿り着くコトが出来た。いつものコトだが、まともに行けば目を瞑ってても簡単に行けるトコロを、自分が勝手に複雑化していたのは言うまでもない。苦心の末辿り着いたブルーナイルは、ヤッパリ簡単な場所にあった。
和風な住宅の前に駐車場があり、ソノ敷地内にブルーナイルはある様に見えた。和風な建物はアマリにも厳然たる日本住宅で、エチオピアとは全く結びつかなかったため、ブルーナイルにゴク接近した場所に車を停めて入店してみたが入るなり、瞳の印象的な女性店員さんに、ソコ全部駐車場ですからと言われ、改めて車を入れ直した。スンゴイ民家だと言う風聞は、正しかった。
気を取り直して再度入店。今度は笑顔の印象的な男性店員さんが迎えてくれた。エチオピアらしいと言うかアフリカらしいと言うかラスタカラーとでも言うべきかとにかく、エキゾチックな置物やカラーリングのテーブル、天井に貼られた蛇の皮、壁に設置された(多分)豹の毛皮など、日本のモノとは懸け離れた内装に圧倒されながら席に着いた。
メニューは日替わりランチとアクスムセットと言うのがあり、アクスムセットがカレー。チキンとビーフの2種類あるが、個人的にアフリカのイメージに近いチキンの方を頼んでみた。改めて店内を見回してみると、至る所にETHIOPIAの文字が氾濫している。その中で、何故か入り口のトコロに鏡餅があるコトに気が付いた。あらゆる文化の統合。もはや時代はボーダーレス。カップ麺のCMでは無いが、国境を用意しているのは各国の政府ダケであって、ソコに済む我々にとっては、国境なんて必要無いモノなのだと感じる。
料理が到着するまでの間暇だったのでメニューをチェックしてみると、ダチョウとかワニとか言う文字が目に入った。日本では普段食べ慣れないコレらの肉も、彼の国では日常的なモノなのだろうか。そう言えば学生時代の友人が、(現在では全く音信不通だが)ワニの肉食べたい!と一時期騒いでいたのを思い出す。秋田でソンナの食べられる店あるワケ無いだろ!とか思っていたのだが、友人はブルーナイルのコトを言っていたのだと、今になって思う。ソノ後の消息は知らないが、食べるコトが出来たのだろうか。
アクスムセットが到着した。2切れのピタパンとカレーの入った器。カレーの中には煮込まれたチキンとゆで卵が入っている。と、ココでピタパンについて何の知識もないB食クラバーは、ピタパンを千切りつつカレーを載っけて食べると言う愚挙を敢行!そりゃナンの食べ方だっつーの!と、今になって振り返ると、顔中から火が出る程恥ずかしい。本来ならばピタパンを2つに割り、ソノ中に具を入れて食べるのだそうだ。何も知らなかったとは言え、穴があったら入りたい位である。
そんなコトはさておき、ブルーナイルのカレーは、普段食べたコトのない味わいのモノだった。最近のB食クラバーは、ほんのチョット辛いモノを食べたダケで大量に汗をかく性質を持っているのだが、ココのカレーを食べてもそうなった。以前ならば、色々な風味が感じられるよね、と、涼しい顔で言ってのけていたハズだよなと、スプーンで簡単に捌ける程柔らかいチキンを食べながら思った。
ヤハリ味付けは日本人向けにアレンジしているんだろうなと思うが、ピタパンではなくライスにするコトも可能な様なので、次回来店時はライスにしよう!と思った辺り、自分の中の日本人が確認できてウレシイと言うか何と言うか。って言うかソノ前に、もう1回ピタパンを頼んで正しい食べ方をするべきだろっ!って思わなくもない。
何年間も待ち望んだカレーを食べ終え満足したB食クラバーの目にソレは、突然飛び込んで来た。コノ店のメニューにはチーズケーキもあるみたいだが、東京の某有名店のモノを特別に提供しているらしい。何て店のモノかは解らないが、特別に!とか言われると食べないワケにはいかない。カレーで満腹だったハズなのに、見る見る内に別腹が作成されて行く。
柔らかいチーズケーキ。ソレは何故か、ほんのりと温かい。チーズケーキと言えば冷たいモノと相場が決まっていそうなモノだがコレ如何に。その線から探って行けば、どの店なのかは意外と解き明かしやすいかもしれない。等と思ったりする。
会計を済ませたB食クラバーが去り際に玄関脇をフト見ると、サンコンのサインがあるコトに気が付いた。…何故ココにサンコンのサインが?サンコンってエチオピア人だっけ?いや、ギニア人だよな?とか、最近TVで見ないケド、今何やってるんだろ?とか、そう言えば元々何やってる人だっけ?とか、色々な疑問が浮かんでは消えて行った。
ブルーナイルは色んな意味で、最後までB食クラバーを楽しませてくれた。\2,000のセットメニューがあるのだが、今度は夜に、ソレを食べに来ようと思った。ユッタリした気分で。