最近八郎潟に、新しいカレー屋さんが出来たとの情報をキャッチしたB食クラバーは、さっそく住所を手がかりにして、頭の中で地図を展開してみる。位置的には太平自動車学校とピットイン真坂の中間位だと言う。
…そんなトコロに、店とかある感じだったっけ?確かアノ辺にあるのは、イチゴの摘み取り体験が出きるトコロと、え〜っと?
B食クラバーのプリン化した脳味噌では、コレ以上のコトは思い出せない。使わないと脳味噌はどんどん衰えていくと聞いたコトがあるが、近頃のB食クラバーの脳味噌は、ブレーキの壊れた自転車で坂道を転がり落ちる様な速度で退化している。その先には、遮断された踏切が待っていそうでコワイ。
そう言えばアノ辺にはドライブインっぽい様な喫茶店みたいなトコがあったなー。あ!そー言やソノ隣に小さい建物があって、壁とか窓なんかにソフトクリームとか書かれてたっけ!あの独特のタッチで書かれた、ソフトクリームってフォントが良い味だしてるんだよなー。でも営業しているトコロ見たコト無いんだケド。
などと、時間が経つにつれて断片的に周囲の光景が思い出されて来る。ソノ様はまるで、潮が引いていった後に、少しずつ顔を出して行く砂浜みないな感じがしないでもない。
あー、そー言やアノ辺には確かガソリンスタンドがあって、ヒョットしてソノ隣ら辺に何か、そう言う施設っぽいのがあったような無かったような。B食クラバーの記憶は、イツまで経ってもドコまで行っても曖昧だ。
ウワサによるとソノ店は『農家のカレー屋さん』と言うらしい。ココは一体どういう店なんですか?って質問が、お客さんからされるコトはマズ無いだろうと思われる、業務形態を冠した珍しい店名。イマイチ他人とコミュニケーションを取る術に優れていないB食クラバーがもし店を出すとしたら同じ様に、説明の必要がない店名をつけてみれば良いだろうか。
例えば『脱サラしたソバ屋さん』とか『元自衛官のカレー屋さん』とか『2番目においしいラーメン屋さん』とか。…って、皆ドコカで聞いたコトがあるな。方向性を変えてみて、『ウルサイ人お断りの喫茶店』とか『香水お断りのラーメン屋さん』もありだろうかと思ってみたが、ソレで結局コチラの店名は何ですか?って聞き返されそうな気がするので、コレだと本末転倒も甚だしい。
店は面倒だから、卵を生産してスーパーとかに卸す業者になるか。『放し飼いして無農薬で育った処女鶏の初めて産んだ1個目の卵です。』って商品名にして。…買う人いるんだろうか。
もしホントにB食クラバーが店を開くなら風呂敷屋が良いな。専門店。大風呂敷の。
2月の終わり。雪の溶けた国道7号線を、車で北へひた走る。そろそろ目的地周辺です…と、脳内カーナビがアナウンスする。時を置かずにB食センサーが、道路の両脇に何本モノ赤いノボリがはためいている光景をキャッチした。
もしかしてコレかな…と思いノボリの文字を注視すると、ソコには白文字でカレーライスと書かれていた。ココで間違いあるまい。しかしソレにしても、随分と派手な誘導だ。中にはご当地カレーと書かれたノボリもあったりする。
体全体に震えが走る。全日本キレンジャー同盟でも作ろうかと言う野心を秘かに抱いているB食クラバーはモチロンのコト、今日の昼ゴハン何にしよう?カレーじゃなきゃなんでも良いんだケドなー、とか思っていた人でさえも、コノ店に入りたくなるに違いない。
店の敷地内と思える場所には民家らしき建物が2軒あり、店舗と隣接する様に作業場兼車庫的な建物があったりする。ソレらの家に住むのが農家の方で、作業場ではなにかと汗を流しているんだろうなーと、見たまんまに何のヒネリもない想像をしてしまうB食クラバー。
オール木貼りの店内からは、その色が明るいので非常に柔らかい印象を受ける。4人掛けのテーブル席が5つ程と、1人用のテーブル席が4つ程。厨房から奥の方にはきっとトイレとかあるんだろうケド、もしかしたら他に個室とかあるのかもしれない。
メニューは野菜カレーとお子様カレーの2品のみ。ソレに数種類の具をトッピング出来るシステムだ。北日本からあげ同好会をいつか作ろう!と狙っているB食クラバーにとって、からあげは外せない。ついでにハンバーグもトッピングしてみた。
ゴハンの量は200g、300g、400g、500gから選べるようで、しかもソレが全て同じ値段だと言うから驚きだ。さすが戦後、食糧増産を目的とした一大干拓事業が行われた地域に隣接する町だけのコトはある。米ドコロ秋田の面目躍如!と言った風情だ。2007年に秋田わか杉国体が行われた時、周辺市町村でウェイトリフティング・レスリング・相撲と言ったパワー系の競技が行われたのは、そう言ったコトと無関係ではないだろう。
で、そう言ったパワー系の競技とはイマイチ接点を持ったコトのないB食クラバーは、ココイチでカレーを食べる時でもゴハンの量を200gにしてしまうチョイ小食人間だが、赤いノボリを目にした時から何かのスイッチが入り、ココではとにかく食べなければなりますまい!と無闇に加速、通常提供される300gでオーダーしてみた。
すると店員さんが、アチラご自由にドーゾ!と店内中央を示す。全く気にしていなかったのだがソコには、野菜サラダ・漬け物・デザート・スープなどをお好みで取るコトの出来るビュッフェエリアがあった。自由にとれると聞いてB食クラバーのやる気はマスマス刺激され、(どうせ食べきれないのに)量を控えめにとるコトが非常に困難であった。
見た瞬間に、このカレーは美味しいに決まっている!と脳が判断した。パッと見ダケで味の大体の予測が付くとはB食クラバーも、か18゛ら雄山の域に僅かではあるけれど近づいたと見て良いだろうか。ソロソロB食のBを、美に変える時が来たのかもしれない。
カレーを月に見立てるなら、三日月状にルーが盛られ、残った部分にゴハンが盛られている。そう、思わず月を想像してしまったB食クラバーは心の中で、ムーンカレーと呼んでも良いなとか勝手に考えていた。
ルーの部分には、揚げられたナス・ピーマン・カボチャが乗っかっている。コレが野菜カレーのベースで、更にB食クラバーの注文した唐揚げとハンバーグがトッピングされている。人参とタマネギはルーの中に、僅かに形を留めているに過ぎない。解らなかったが、もしかしたらジャガイモも同じ様な状態だったろうか。
一口食べる。あれ?思ったよりも何て言うか少し物足りない様な…とか思ったのだが、食べ進める内にソンナことは忘れていった。野菜の旨みと甘味が十二分に出ていて、ソレで辛さをアマリ感じないなと思ってしまった様だ。しかしソノ辛さも、程良い感じで口の中を刺激し始める。
振り返ると最近は、本格インドカレーや、イタズラに体を刺激する程の辛さのカレーばかりを食べていて、こう言う、日本的に王道なカレーライスを食べていなかったと思い当たる。自分で作る時すら、辛さしか追求していなかった。
コレでゴハンがもう少し、表面ツヤツヤ系だったら良いなーと思ったのだが、それでもアッと言う間に食べ終わってしまった。しかし、サラダやデザートを食べてると、今日はコレでストップです!とお腹からサインが発せられた。
今度来る時はゴハンは200gにしよう。そしてサラダとデザートを今回よりも多く食べよう!と思った。何故ならコレらサラダやデザートも、コチラの方が営んでいる農業によって生産されたモノに違いないからだ。