おくすりやさんカプセルガム

 

販売者名
オリオン(株)

住 所

大阪市淀川区三津屋南2-10-1

初めて食べた日
2003/09/26
TEL.

 

 

前 説


 夏の終わりから秋の始まりにかけて、と言っても今年の夏は最初っから終わりっぽかっ
たが、B食クラバーの勤める会社の改装工事が行われた。正確には解らないが、10年単
位の築年数の古さを感じさせるその佇まいは、この会社の先行きの不透明さを感じさせる
のに充分であった。

 そんな会社であるが、どう言う理由かでリフレッシュが完了。パッと見、ドコカのビル内の
オフィスって感じがしないでもない。今は落ち着いているが、改装終了日と、当時抱えてい
た仕事の締め切り日がパーフェクトにシンクロ。追い込みをかけて只でさえ忙しいトコロに、
改装に伴う諸々の業務が発生。あの時期は自分が一体何をしていたのかさっぱり覚えて
おらず、気が付くと改装と通常の仕事が両方終わっていたのはどう言うコトかと、もしタイム
マシンがあるのなら、当時の自分をじっくり観察してみたい気分の今日この頃。

 改装終了後も何かと慌ただしかったが、ようやく落ち着きを取り戻し、仕事の息抜きにネ
ットサーフィンなんかも出来る様になったある日のコト。とあるページを画面に表示したまま
その時のB食クラバーを誰かが見ていたら、不自然な程硬直していたハズである。その瞬
間、背後に偉い人がいたら、『何やってんだゴルァ〜!』と怒鳴られ、ココがアメリカだった
らそれを理由に1秒後には『You Fire.』と冷たく言い放たれていたコトであろう。日本で、し
かも偉い人がいなくて良かったと、心の底からホッとしている次第である。

 しばらくの間、まるでフリーズしたかの様に画面に表示されていたのは、『正論丸』。お腹
のお薬、『正露丸』のパッケージそのままのデザインで、傍らには『ウソ、ホラ、ゴリオシに』
と書かれている。うっかり屋さんが見たら、間違いなく薬と間違えて服用しそうであるが、コ
レはカプセル薬の形をしたガムが中に入っている駄菓子である。メーカーではコレをカプセ
ルガムと称しているが、このセンス。心が打ち震える感覚を押し留めるコトが出来ない。

 また、パッケージの力強さに、ワケの解らないコトを申し述べる人物と対峙した時でも、コ
レを噛めば一溜まりもなく相手を論破できる無限の可能性も感じずにはいられない。

 そのページには他に3種類の同様なモノが表示されており、そのどれもがB食クラバー
の心をクリティカルにキャプチャー。どうしても手に入れたい。思春期のほとばしる激情を
抑えるコトが出来ずに、情熱の赴くままに身を任せる若者の様な心理状態に陥る。

 駄菓子なら駄菓子屋で売っていそうなモノであるが、最近は駄菓子屋もドコにあるのか解
らない。何軒かコンビニやスーパーを捜索したが見つからず、さてどうしたモノかと思ってい
たトコロ、女王様から『我発見せり!』の第一報が入った。

Comment


 それは週末の定時過ぎ。そろそろ仕事も終わりに差し掛かったし、帰り支度を始めよう
としていた時間帯のコトであった。どうやら『この店かしや』で見つけたらしい。『この店か
しや』と言うのは秋田市内に存在する、若干メルヘンチックな外観を持つ、スーパーの様
なお菓子屋である。お菓子の他にはカップ麺やジュース等しか売られていないコノ店に
は、数年前、東京から帰って来た頃に何度か行ったコトがある程度だが、最初の頃は、
この店は菓子屋じゃなく天国かも?といたく感激していたのを今でも覚えている。

 次の日からの休日を利用して『この店かしや』に行ってみよう!と思っていたのだが、女
王様からコノ様なお知らせを聞いた後ではジッとしていられない。マッハで帰り支度を済ま
せると(気分的に)ターボチャージャーが発動。あっと言う間に『この店かしや』に到着した。

 何年ぶりかで訪れる『この店かしや』であるが、この店内に目的のモノがあるのかと思う
と正に天国にいる様な気持ちになった。女王様から店内のどの辺に置いているのかも聞い
ていたのだが、浮かれているせいかナカナカ発見できない。はやる心を抑えるために、店
内を一周してクールダウンを試みた。2周目、遂に発見。砂漠を一週間彷徨った後、オアシ
スを発見した旅人の様に、むさぶる様にそれらを手に取った。

 まず最初に正論丸。インターネットで写真は見ていたが、実物を見た時の感慨はひとしお
である。写真で見た通りに正露丸にソックリで、それ故に店先であるにも関わらず笑いが込
み上げ、抑えるのが難しい。自然回帰主義者であれば、笑いたい時には素直に笑え。何を
無理する必要がある!と声高に叫び出したいトコロであろうが、常識的な社会生活を行うた
めにはそんなコトは言ってられない。

 パッケージの裏側には効能が書かれており、それには『うそ、ほら、ゴリオシを言いたい
とき等思いっきり主張したいときにぜひどうぞ。』と書かれていた。なんたるコト!ウソやホ
ラやゴリオシを言う人に対抗するために服用するモノかと思いきや、自分がそう言う発言を
したい時に服用するモノらしい。コレはチョット意外であった。全てを正論に変化させる、コレ
はコレで夢の様なカプセルである。

 気を取り直して次の商品を手に取る。インターネット、電話のしすぎに『ソーシン』。レトロな
パッケージにはレトロな御婦人の絵が描かれており、彼女はチョット苦しそうに額に手を当
てうつむいている。裏面の効用には、『長電話、TVゲーム、インターネットのしすぎ等の気
分転換にぜひどうぞ。』と書かれている。レトロな絵柄も相まり、彼女がインターネットやTV
ゲームをしすぎている様には見えない。となると電話しか考えられないが、一体どれほどの
時間電話をし続ければ彼女の様な症状が発生するのか?以前、毎日の様に長電話しまく
っていた頃には、耳が痛くなったり、腕がだるくなったりしたのは思い出したのだが。

 続いて、悲しいときに『アスカラC』。コレまたレトロな顔立ちの御婦人が、レトロなヘアスタ
イルでレトロな服を着ている。彼女が着ている緑色の服は、工場の作業服を思い浮かべさ
せ、何故か、あゝ野麦峠と叫ばずにはいられない。彼女が見つめているのは、コレまたレト
ロチックな朝日。『失恋したとき、仕事でミスしたとき等今までの苦い思い出を忘れたいとき
にぜひどうぞ。』と書かれているが、一体彼女がどう言った理由で何を忘れたいのか、傍観
者としては知る由もないが、只々一刻も早く立ち直って欲しい。それを願うバカリである。

 最後に、人前で出てしまうときに『ガスデター10』。効用としては、『緊張してつい出てしま
うとき、おイモを食べたとき等お尻のしまりの悪いときにぜひどうぞ。』と言うコトらしい。この
パッケージには、タートルネックの薄手のセーターを着、首元にはパールのネックレスを飾
った、一見して誰もが深窓の御令嬢だと解る女性が描かれている。

 顎に右手をかざし、何かを悩んでいる風情の彼女だが、その理由はガスであるコトは明ら
かである。彼女の右肩のあたりに吹き出しがついており、その中には『ぷーっ』と書かれ
ているのだが、コレはもう致してしまったと言うコトであろうか?コンナ純情可憐そうな彼女
に、それってひどい仕打ちじゃないですか?と同情を禁じ得ないが、例えば、どんな素敵な
アイドルスターでもトイレに行くんだよ!と夢見がちな中学生達に現実を認識させるには役
に立つであろう。そのために彼女が頑張っているのだと考えると、自然に応援したくなって
しまう。コレからも彼女には、コノ崇高なる役目を続けていって欲しいと切に願う。

 今回発見できたのはコノ4つダケであるが、もう4種類あるコトが判明。ユメナール・救人・
る〜る〜る〜・カイベンと、名前を見たダケで高揚した気分を抑えるコトが難しい、粒ぞろい
の商品達である。今後は、彼らとめぐり会えるコトだけが、B食クラバーの心の糧になるだろ
うコトは間違いない。

各商品共 定価\20    この店かしや価格 \16