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店内に入り、食品を売ってるコーナーを丁寧に丁寧に観察する。一周して見つけられなか
ったB食クラバーは、ヤッパリ無いのかぁと上を向いて溜息を付いたトコロ、漆黒の宇宙空間
を持った背景に、白い宇宙服が浮かぶパッケージを発見！よく見ると下の方には扇形に写
った地球が、青いアースライトを放ち、輝いている。左上には『Astronaut』の文字。ついでに
OFFICIALなんて文字も赤に白抜きで書かれている。
コレが宇宙食アイスに違いない！と確信したB食クラバーは、迷わずに手を差しのばして
みた。NASA仕様と日本語で書かれたラベルには、宇宙食アイスでは無く宇宙食バナナと
書かれていた。フト横を見ると、色の違うラベルがあったので、続けて手にしてみる。しかし
今度は宇宙食ストロベリー。更にその横にあったのは宇宙食シナモンアップルだった。
何と言う品数の多さ。孤独な宇宙空間で食事するアストロノウツにとって、バナナとかスト
ロベリーとかって言う単純な味だけじゃ飽きるぜ！って言うコトの証なのか。シナモンアップ
ルと言う複雑そうな味覚にはそそられる。だが、肝心の宇宙食アイスだけが無い。
これらを買ってしまおうかとも思ったが、宇宙食アイスを食べる前にその気が無くなる可能
性も否定出来ない。その本末転倒さ加減には、あばれ8っちゃくのお父さんだって呆れて涙
が出てくるに違いないと思って止めた。食べ物のコトになると時々ブレーキが効かなくなるB
食クラバーだが、あの涙には勝てない。
そして後日、今度はもう1軒のビレッジバンガードへと行ってみた。すると！イキナリ目に飛
び込んできた宇宙食アイス！それはアマリにも唐突すぎて、感動も感傷もへったくれもあり
はしなかった。別な捉え方をするならば、B食クラバーと宇宙食アイスの出会いは、必然で
あったと言うコトなのだろうか。
コチラの店には、他の宇宙食はストロベリーしか無かったのが残念と言えば残念だが、
B食クラバーの目的は、あくまでも宇宙食アイスなので、むしろ望むべき結果と言ったトコロ
か。指先を伸ばし手に取る。ソノ瞬間は、子供の頃の夢が半ば叶った様な、そんな気持ちで
胸がいっぱいになった。
”すぐ食べられます”。”水分を除去した宇宙時代の新しいアイスクリームです”。”常温
で保存でき、冷やさずにそのまま食べられます”との注意書きに、サスガ宇宙食！と心が
躍る。勢いのままにひっくり返して裏を見てみると、賞味期限2006年2月と書かれている。
一生食べられるモノでは無いのか！と気付き少々ガッカリ。控えめに宇宙食アイスとスト
ロベリーを1ヶずつ買ってみた。
パッケージを開けてみる。その中には薄く白い紙に包まれた直方体が！紙には2つの切
れ目が入っており、ソコから覗ける中身は、ブラウン・ホワイト・ピンクの3色によって構成さ
れていた。おそらくチョコ・バニラ・ストロベリーと3種類の味がするハズである。色が違うだけ
と言う可能性も残されているが、オフィシャルなアストロノウツ仕様である。そんな子供騙し
なコトはあるまい。
見た目は軽石。質感はチョーク。こんなモノがホントにアイスクリームなのかと半信半疑
のまま、思い切って口に入れてみた。ちょっと固く、でもキメの細かい麩菓子の様に感じられ
る。唾液に溶けると、アイスクリームの様な食感となって口の中イッパイに広がった。ヤハリ
と言うか、3食それぞれに違う味がする。恐るべきNASA仕様。歴代のアストロノウツも満足
していたコトだろう。
宇宙食アイスにようやく巡り会えた嬉しさで感無量なB色クラバー。アメリカ最初の7人の
アストロノウツであるアランシェパードやジョングレン、ゴードンクーパーも食べたかもしれな
い味。誰もが世界一のパイロットと認めながら、望まれなくその座につけなかったチャック
イェーガーが食べたくても食べられなかった味。（その時代からあったモノかどうかは解らな
いが。）そう思うと誰かと、『ガムあるか？くれよ、あとで返すから。』なんてやり取りをしたく
なってしまう。（映画『ライトスタッフ』の中でチャックイェーガーが喋るセリフ。）
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