商品名
ガラムマサラ

製造者
東ハト

初めて食べた日
2005/07/19

前 説

 誰かに見られている!

 コンビニ内をウロウロしていた時、明らかにB食クラバーを見つめる視
線を感じた。熱く、鋭く。しかしソレは、フツーの視線では無く、いつもと
は違う非日常的な気分が伝わってくるものであった。前髪の長さが1mm
違うダケでも、家の近所をホンの5分ですら歩くのが嫌な程自識過剰な
思春期の女子高生の様でもあるが、それを考え過ぎ、或いは気にして
いるのは自分だけ!と言い放つには、ヤケにリアル過ぎ、無視するコト

は出来ない。


 ヒョットしてイツモのアノ人が、ようやくアタシに気づいてくれたのかしら!あの人がアタシ
を見てくれているのかしら!な〜んてハッピーと言うよりも、やや脳天気さと共にストーキー
チックなモノを感じさせる考えは20世紀のノスタルジーで、着々とデストピア化が進む21世
紀の現代にあって、誰でもいいから襲ってやろうと言う考えの元、ナイフを片手にした人や、
誰でもいいから日本人を捕まえ様と考えている、とある国の人々だったりするかもしれない
ので、いつまでもウキウキ浮かれてなんかいられない。幸せな考えと不幸せな考え、相反
する2つのメタファーを表裏一体に感じながらソノ方向へと、恐る恐る視線を投げ掛けてみた。

 黒光りした肌と、キラリ零れる白い歯。そして獲物を探しているハ
ンターの様なギラギラした、明らかに日本人とは違う表情でB食ク
ラバーを見つめる視線の持ち主がソコにいた。怪しさを雰囲気で察
知したB食クラバーは、一瞬の躊躇の後、慌てて視線をそらした。

 デンジャー。頭の中にはソレしか思い浮かばない。あぁ〜、コンナ
時の自己防衛法ってどんなんだっけぇ〜!と、焦れば焦る程、 ガ


チャピンが師匠でムックが弟子だとか、ガッツポーズの元祖はガッツ石松だとか、コンナ場
面では何1つ役に立ちそうにないムダ知識バカリが脳裏を過ぎる。

 コンナ時はジタバタしたって始まらない。開き直ってソノ視線と、真っ向から対峙してみる
コトにした。すると、ソノ正体はスナック菓子のパッケージに印刷されたインド人らしき2人の
男女であるコトが解った。刺す様な気配ながらも、何か尋常ならない違和感の正体は、彼
らが実際の人間では無く、絵に描かれたキャラクターだったコトであった。

 なんだ絵かよ…。自分の神経衰弱振りに辟易しながら、手に取ってみた。

Comment


 このパッケージの絵柄には何か見覚えがある。って言うか、宇宙人と言えばグレイ!って
言う感じでB食クラバーの記憶の中に巧妙にインプリンティングされた、イメージの中のイン
ド国民の姿なのだろうか?自分の記憶に関する漠然とした不安を抱きながらパッケージの
裏側を見てみると、ソコには踊るマハラジャと書かれていた。怪しげな笑顔で鋭い視線を投
げつけている見覚えのコノ2人組は、ムトゥの出演者だったのだ!道理で見覚えがあるワ
ケだ。
(文章中にまるでB食クラバーがムトゥを鑑賞したコトがある様な表現があるコトをお詫びします。)

 怪しげな視線に引き込まれるまま導かれるまま2つを購入し、帰宅した。しかしその帰り
道、B食クラバーの思考の80%を支配したのは、何故今頃ムトゥなんだろうかと言う疑問で
あった。一番安直に考えられるのは新作映画が作られるってコトだが、今のトコロそんな話
は聞いたコトがない。
(文章中にまるでB食クラバーがインド映画にやたら詳しい様な表現があるコトをお詫びします。)

 圧倒的に情報が少ない中で、あれこれ思案を巡らしてみても始まらない。コレが解決しな
いからと言って、明日も同じ様に朝はやってくるし。そんな取るに足らない問題も、食べて
みれば解決するだろうと考え、(って言うか実際は考えるコトを止めたのだが)早速袋を開
けてみた。

 スパイシーな香りと共に中から出て来たのは、ポリンキーの様な
外観を持つ三角チップス風スナック菓子。開けた瞬間、宙返りをし
ながら馬車に乗ったり、なんでもかんでもヤタラ早口で会話しあっ
たり、唐突にダンスシーンが始まったりと、B食クラバーの持つ、
単純すぎるインド映画への印象が、次々と走馬燈の様に駆け巡っ
て昇天寸前。


 早速1つ食べてみる。ガラムマサラの名前通り、何種類ものスパイスの味と香りがB食ク
ラバーの5感ドコロか6感までをも刺激する。ガラムマサラはカレー粉では無い!それも知
らずにカレーを語るとは100年早いわっ!はぁ〜はっはっはっは!と、文字通り片腹を抑え
ながら笑っていたのは海原雄山だったか。

 海原雄山と山岡士朗の終わり無き食べ物ウォーズも、その香辛料の名を冠したコノお菓
子を食べれば、一気に解決したかもしれない。日本のカレー粉の味付けとは明らかに違う
このスナック菓子。親子問題に限らず、どんな問題が起こっても、コレを食べれば即解決!
って言うかダンスをすれば解決!ビバ・マサラムービー!と、B食クラバーの頭の中もイン
ド一色。アジアのイメージカラーは黄色で、それは黄色人種と言われる所以なのかと思っ
ていたのだが、コレを食べるに至り、カレーの色なのか!と思い立った次第。

 やはりZEROを発明したインド国民は偉大だなと、敬意を表しつつナマステ。