店  名
 もんて   #2
食べた日
2005/12/15
住  所
 秋田県秋田市東通6丁目1-21
営業時間
 
電話番号
 018-832-8344
定休日
月曜日

モンテステーキセット
モンテステーキ
モンテステーキセット
豚ロースカツレツトマトチーズ焼き \1,250
豚ロースカツレツトマトチーズ焼き アップ
牛ヒレ肉ステーキ \1,150
サラダ
スープ
看板

前  説

 B食クラバーの、ステーキを食べたい!熱はまだまだ続く。義兄のオゴリで、高級なレストランでステーキを食べても、だ。おごって貰ってなんだがアノ店のステーキは、白く大きい皿の真ん中に、チョコンとした風情で肉が乗っかっていて、義兄の様なアッパークラスには丁度良いのだろうが、B食クラバーの様なミドルあるいはダウナークラスには大袈裟すぎる。

 何て言うかこう、あんなフレンチな感じじゃなく、黒い鉄板の上で、焼かれて油の滲んだ肉がイツまでも、その熱を失わない様な、アメリカンな感覚のステーキが食べたくて仕方ない。ココでB食クラバーが言っている、アメリカンとフレンチの違いが、果たして一般的にも通用するモノなのか解らないが、とりあえずこのページ内ではそう言うコトにしてみたい。

 そんなB食クラバーのステーキ食べたい熱と反比例する様に、秋田市内ではステーキ店が次から次へと閉店して行く。秋田市ではその、ステータスシンボルとでもされていそうな、ワシントンホテル内のガスライトまでもが、閉店に追い込まれている状況で、一体ステーキを食べたくなったら秋田市民としては、ドコへ行けば良いのだろうか?と、途方に暮れる。

 例えば、全国ドコを探してもガスライトって店は今後存在しません!位のコトだったら、多少の諦めも付かないではないが、他の都道府県では元気に営業しているらしいコトを耳にすると、秋田市民とステーキの、意外な程の接点の無さと言うのが実感できる。ヤハリ秋田市民的には肉よりも、魚貝類の方が良いと言うコトだろうか。

 もうステーキ屋って、某高級店しか思い浮かばないよなぁ〜。でもソノ店って高級って位だからソンナに気軽に行けないしなぁ〜、と思っていた近頃、以前閉店していたステーキ宮が復活した。何故復活したのか疑問な感じも残るが、とりあえずコレで、リーズナブルなステーキ店は確保出来た。今度からステーキを食べたければ、宮の一番高いヤツでも頼めば、B食クラバーのステーキ食べたい熱も満足するだろうかと思いながら過ごしていた、2005年の年末。ソノ情報は突然の様にB食クラバーにもたらされた。

 イツモの様に気だるい午後の仕事中、やる気もないし気分転換のツモリでハッキリとは憶えていないが、仕事に関係ある情報を得ようとインターネットで作られたバーチャル世界を探索中、ふいにそのページは、B食クラバーの操作するPCの画面上に表示された。何とソコには、ズ〜ット昔から変わらずに、美味しいステーキを提供し続ける店が秋田市内にある、と言う様な記述がされていた。

 ソンナに前から、ソノ場所にソンナ店があったなんて初耳のB食クラバーは我が目を疑う。念のため、秋田の生けるグルメガイドであるトコロの女王様に、こういう店の存在を聞いたんですが、実際のトコどうなんでしょうか?えへえへ。と、お伺いを立ててみると、なにやら、美味しい店だったよー!って言う反応が。ハッキリ言ってもう我慢できない。次の外食先はもんてでっ!と気持ちを固める。コノ決心は、何があっても揺らぎそうもない。



Comment

実はその決心が揺らぎそうになる程の出来事が、前後してB食クラバーの身を襲ったのだが、そこはそれ、大きな流れは変えられないとでも言うか、ステーキ食べたい熱の前では、何もかもが霞んで見える。その出来事とステーキ熱の強さを比較すると、B食クラバーって幸せな一生を送れるかもしれないなと、自分で自分のコトを思う。どんな出来事があっても全ては、食欲の前に中和されると言うか、昇華するとでも言うか。そんなB食クラバーを見て例えば、義兄ならばスンゴイ可哀想なモノを見る様な視線を投げつけるんじゃないかと思われなくもない。

 とにかく、30年振りと言われる大雪の中、これから数ヶ月に渉って戦うコトになる冬将軍との全面対決に向けソレを、東北人の運命と只々諦め、受け入れるダケではいけない。腹が減っては戦が出来ぬ。パワーをチャージする意味でも、もんてでステーキを食べなければならない。そうすればコノ冬を、難なく乗り越えるコトが出来るだろう!位の気持ちが盛り上がって来た。…実際には、コノ時既に一敗しているのだが。しかも酷い負け方。

 雪の強い夜。車の運転も大変なら、歩くのも大変と言う中、念願のもんてに突入。某鶏のからあげ弁当で有名な弁当屋の角を曲がった隣の場所に、コンナ店があったのかと、その弁当屋のトコは良く通っているのだが、実際に目の前にして感慨に耽る。ただ角を曲がるダケなのに知らなかったなんて!

 店の扉を開ける。ステーキハウスと言うよりも、喫茶店と言った感じのレイアウトが、目の前に広がる。あれ?入る店間違えたかな?とか思わなくもなかったが、ネットで偶然見つけたページの内容と、女王様の言葉が、B食クラバーを後押しする。

 店内に力強く一歩踏み入れる。普通ならばココで、『いらっしゃいませ〜!』とか言う店員さんの言葉が聞こえてきそうなモノだが無音。替わりに、店内に設置された大型TVに映し出されている3のもんたが、顔中をシワだらけにして、クイズの回答者と対峙している声が聞こえて来た。『…残念ッ!』と喋った様に感じたのは気のせいか。

 店の奥に向かって『すいませ〜ん!』と叫んでみても、何の反応も無い。言い方が悪いのかな?と思って、『しみぃましぇ〜ん!』と言ってみても無反応だ。(え〜これ、シティーボーイズのネタです。解らないと思いますが。)しょうがないので、しばらく3のもんたを見ながら待ってみるこコトにした。『もんて』で『もんた』ってのも、何かの縁かもしれない。

 ところでコノTV、今ハヤリの薄型なのは良いが、不思議な違和感が。おかしいなぁ〜と思いよく見てみると、今時の薄型TVは、画面の縦横比が16:9なのに、一体コンナのドコに売ってるんですか?と、疑問が三乗くらい畳みかけそうな程の4:3。さらにソノ前には、今時懐かしい卓上式のTVゲームが並んでいる。TVゲーム創生期、インベーダーゲームとかが流行った頃の、あの黒くて四角いゲームと言うかテーブルと言うか。

 3分位待っていると、シェフらしき店員が、玄関から入って来た。シェフはそれらの環境に接して驚いているB食クラバーを見ても全く動ぜず、良くありがちな、お待たせしちゃってゴメンナサイ!ってな感じで謝りもせず、淡々と業務に戻って行った。

 シェフが持って来てくれたメニューを見ると、一番高いのが『牛ひれステーキ200g』で、確か値段は\2,630だか。他にハンバーグステーキ、チキン、カレーなどのメニューが並ぶ。そう言えば、昔からあるステーキ屋って聞いたダケで、値段は全く知らないまま飛び込んで来たので、コンナ値段に恵まれて運が良かったと言うか、巡り合わせと言うか。懐具合と相談して、\1,150とお値打ち感のある、牛ステーキセットを頼んでみるコトにした。

 ステーキには、サラダ、ライス、スープが付く。最初にサラダが来た。油断すると、食道から胃の形迄が解りそうな程きっついドレッシングとかがあるが、ココのドレッシングは食べやすい。出だしから好調な感じが滲み出る。ステーキの到着。B食クラバーの望み通り、黒く熱々の鉄板の上に、美味しそうな音を立てながら、鎮座している。

 ナイフとフォークを通す。すんなりとそれらが通る。一口噛みしめると、驚く程柔らかい肉との出会いに感無量。コレだーーー!と、B食クラバーの体温が3度程上昇する。B食クラバーの味覚に、見事にジャストフィットする。

 今迄、色々なトコロで、ソレこそカナリ値の張る店でもステーキを食べてきたが、それらを合わせてもB食クラバー的にNO.1である。他の店では、例えば半分くらい迄食べ進めると、肉が冷めたり固くなったりと、多少なりともなったりするが、コノ店ではそんなコトは無い。最後まで柔らかく、そして熱いステーキを食べる事が出来た。ま、B食クラバーの舌はあくまでB級で、真に味を知る人から見れば、話にならないって言われるのかもしれないが。って言うかコンナ書き方をしたら、もんてにとって失礼な話だが。

 満足した食事を終えた後、コーヒーが運ばれて来た。あれっ?コーヒーなんか頼んでないよ!とか思いながら、壁に貼られたメニューを見てみると、コーヒー付きって書いてある。表の看板に喫茶&レストランって書かれている位で、出て来たコーヒーも、コクのある本格的なモノだった。このステーキにコーヒーも付いて\1,150。B食クラバーの中で『もんて』の存在が、一気に大きくなって行った。満足するステーキにめぐり会えなかったB食クラバーに、一筋の光が射して来た。



中  説     at 08/12/24

 数ヶ月に一回の割合で訪れていたもんてだが、最近は1年ぐらい行っていない。もんてに出掛ける度に段々欲求が高くなっていったB食クラバーは、比例する様に値段の高いステーキを頼んでいたが、ソレが何て言うかコノぉ、イマイチB食クラバーの感性にフィットしなかったのが原因だ。

 なんか味落ちたのかなぁとか、B食クラバーの舌がもう、もんてのステーキでは満足出来ない様になってしまったのだろうかとか色々なコトを考えている内に、何となく足が遠のいていた。

 しかしある日、全てがB食クラバーの勘違いと思い違いのコンボアタックだったコトが判明した。B食クラバーが美味しいと感じていたのは値段の高いステーキではなく、上記Comment内でも書かれている様に、\1,150のステーキだったコトに気が付いた。

 フレンチのメインで出てくる高級なステーキよりも、屋台の焼きそばの方が心の底から正直に、一点の曇りもなく美味しいと胸を張って言える位の貧乏舌の持ち主だと言うコトを、他ならぬ本人がキレイさっぱり忘れていたのが、もんてからB食クラバーが遠ざかっていた原因なのかと思い、気が付くと両手と両膝を地面に置いて突っ伏した体勢で涙ぐむ。

 コノ事実を以て、B食クラバーって言うのは決してぶれない軸を持った人間だととるか、コレ以上1cmも伸びしろの無い人間だととるか、ドッチを取っても成長の余白が全くなくて、人間として非常に残念な状態の様な気がしてならないのでなるべく考えない様にしたい。

 流れる涙の量が多すぎて、太陽の光すら感じるコトが出来なかったB食クラバーだが、とりあえず事実を再確認するトコロからやりなおしてみよう。ココからリセットした気分で生きて行けば良いじゃない!と決意し、もんてで改めて\1,150のステーキを食べるコトにした。


Comment Session #2 at 08/12/24

 ソレは、クリスマスイブの夜だった。世間的には、ローソクの灯りの元で何万円もするコース料理を楽しみつつシットリとワイングラスを重ねてみたり、あるいは派手なイルミネーションとカクテル光線が交錯する中での賑やかなパーティなんかをしたりなんかがメインストリームなんじゃないかと思われる中、B食クラバーはクラバーRさんと共に、\1,150のステーキの味を確かめるべくもんてにいた。

 クリスマスについてB食クラバーと同じコトを思っている人が多いのかどうか、もんての店内に他にお客さんの影は見えなかった。特にクリスマスのオーナメントやリースなんかでデコレーションされているでもなく、クリスマスメニュー的な貼り紙すら店内には無かった。

 ん〜。もんては軸がぶれてないね。浮き足立たないね。変わらないね。と、自分の人間性をもついでにフォローする気分で席に着くと、一ヶ所だけ以前とは大きく変わっているコトに気が付いた。

 店内に鎮座している薄型の大型テレビが、以前の画面比4:3のモノではなく、今時の16:9のモノに変わっていたのだ!大きさもかなりのモノで、確認したワケでは無いが、100インチ位はありそうな気がする。家電店以外で60インチのテレビが収まっている風景を見たコトが無いので解らないが、もしかしたら60インチ位なのかもしれない。

 いずれにしても、コンナに大きなTVを買うコトが出来るなんてコノもんてと言う店、B食クラバーの想像以上に儲かっているのに違いない。

 とココで、もんてのTVが変わったコトに刺激されたか、B食クラバーの中で何かを変えたい!と言う気持ちが湧き起こって来て、ソレを抑えるコトが出来ない。

 もんてには今日、\1,150のステーキの味を確認しに来たのだが、ソレすら変えずにいられない。チェンジ!そう、雄弁な某国新大統領も声高らかに訴えている。You can change. I can change, too!

 …気が付くとB食クラバーは、豚ロースカツレツトマトチーズ焼きを頼んでいた。牛→豚。ステーキ→カツレツ。しかもトマトチーズ焼きと、焦りすぎて何もかもを一気に変えすぎてしまった感を拭い捨てるコトは出来ない。

 B食クラバーはイツだって、基本的には保守的な判断を下す人生を歩んでいるがコノ瞬間、誰かがB食クラバーの体に乗り移った様な気がしないでもない。今ならばドンナ無理難題を言われたとしても、Yes, we can!と答えてしまいそうだ。

 しばし待ってスープ、サラダの到着。コレらについては量も具材も味付けも、大きな変化は見受けられない。そしてメインがやって来た。明らかにステーキとは違うそのルックスに、今更ながら不安を覚えつつフォークを入れてみる。すると!

 見た目の厚さからは想像出来ない程に肉がベリーテンダー。コノ厚さでコンナに柔らかい秘密は何なのかと気になって仕方ない。一口食べてみる。カリッと揚がった衣の中に柔らかくてジューシーな豚肉が。そして表面を覆う濃厚なチーズが口の中で溶けると、ホンノリとトマトソースの味が現れる。

 最終的に口の中にはハーブの香りが残ると言う、こう言っちゃぁ失礼だが、鉄板焼きとは思えない繊細さ。ハーブには詳しくないので一体何が使われているのか解らないが、オレガノとかイタリアンパセリとかなのだろうか?

 コレぐらいで繊細だなんて言っちゃってチャンチャラおかしいぜ!って思う人は世の中に沢山いると思うが、B食クラバーにとっては初めてのコトで、改めてもんての虜になってしまった。何かを変えたくて仕方なかったアノ衝動は、今の自分の気持ちが時空を超えて伝わったモノだったのだろうか。

 チナミにクラバーRさんが\1,150のステーキを頼んでくれたのでソレを味見すると、まさしくコレが、B食クラバーの心を揺さぶったステーキだと思い出すコトが出来た。高級フレンチよりも屋台の焼きそば。高級ステーキよりもお手頃ステーキ。新しさの認識と基本の確認。コノ2つを今日という日に味わえたのは、B食クラバーにとって何よりのクリスマスプレゼントの様に感じられた。

 振り返ってみると、もんてでは今迄ステーキばっかり食べて来たが、今日のコトもあったので、コレからは他のモノも色々と食べてみよう。もしかしたらココの海老フライこそが、B食クラバーの心を満足させる味なのかもしれないし。