全国的に最高気温の記録を更新し続ける2007年夏の日本列島で、B食クラバーの食欲は止まらない。正確に言うと、自分が欲する以上の量のゴハンを食べ続けている。夏と言えば大概の人は暑さに辟易して食欲が無くなり、ソレにつれて体重も減って行くと言うパターンが多い様な気がするが。
尋常じゃない自分の食べっぷりに、もしかして餓鬼でにでも取り憑かれているんじゃないかとか、お腹の中に虫が住んでいるのではないだろうかとか思ったりして焦ったりもするが、あながちソレらのコトも的を外していないんじゃないかと思え、更に背筋を冷たい汗が走る。そして今日も、驚くべき食べっぷりを披露してみせるコトになる。
金谷うどん店がどうやら閉店した様だ。麺もナカナカだったし、なりよりアノごぼう天のカリカリ具合&サイズがたまらないよねって思っていたダケに残念なコトこの上なかったが、ヤハリ通りと店舗を隔離する様に設置されている板による囲いが、店の繁盛に対しての障害になったのだろうと、浅はかながらも考えてみた。
しかしどうやらソコに最近、ラーメン屋が出来たっぽい。相変わらず通りと店舗は囲いで隔てられている。どんな立地でも開業を決意するチャレンジャーっているモンなんだなーとか思って漠然と通り過ぎ様としたトコロ看板に、『唐揚げラーメン』と言う文字が見て取れた。
思わず移動速度を落としてしまうB食クラバー。知っている人は知っているだろうし、知らない人は知らないだろうが、B食クラバーは、唐揚げ倶楽部でも主催しようかと思う位の唐揚げ好きだ。唐揚げラーメンと書かれた文字に、反応出来ないハズがない。(否定の連続)
唐揚げとラーメンの組み合わせと言えば以前、手形の通りにラーメン道場と言う店があり、ソコの唐揚げが好きで良く通っていた。…クラバーKが。コノ店の何がソンナにクラバーKを惹き付けるんだろうと気になってはいたが、ソノ内ラーメン道場は閉店し、クラバーKがヤタラと残念がっていたコトを覚えているので、喜ぶだろうかと思いながら、早速知らせてみた。
だが、時代は移ろいゆくモノ。コノ不確かな世界で、永遠に変わらないモノなんてありはしない。今やクラバーKの嗜好は完全につけ麺へと推移し、もはや唐揚げラーメンなんて言葉には反応しなくなっていた。
数年振りに会った昔の恋人に、よりが戻るだろうかと何げにカマをかけてみてもすっトボケた表情で返されてしまった様な、ソンナ切なさに似た気分を、まさかクラバーK相手に感じてしまうとは!
悔しいだとか悲しいだとか、そんなマイナスの感情を払拭するには食べるに限る。食べるトコロから始めようじゃないかと、受験の神様の最終回でも語られていた。
唐揚げラーメンの落とし前は唐揚げラーメンで!ソノ舞台にはコノ店、くま蔵以上に相応しい存在などありはしない。クラバーRさんと共に出掛けてみた。
店の外観も何も変わっていなかったので、ぱっと見チョット金谷うどん店っぽい。店内の様子にも変わっている印象をソレ程受けなかったし、スリッパに履き替えるスタイルも一緒なので、意外とカナリ金谷うどん店っぽい。
あーアマリ変化無いんだなーとか思いながら座席に腰を下ろす。ふと、漬け物セルフで食べ放題です、と言う文字が目に入った。いやーホントに金谷うどん店と変わんないなーとか思っていると、お店をオープンしませんか?と言う趣旨のポスターが貼られているのに気が付いた。
コレこそマサに、金谷うどん店でも貼られていたモノ。ソレが証拠にソノ中には、盛岡や大館では現在でも営業し続けているらしき金谷うどん店の模様が紹介されている。どうやらコノ店は金谷うどん店同様、熊さん製麺所直営店の様だ。
そりゃー違いがあるワケ無いよねと、やや落ち着きを取り戻すB食クラバー。もしかしたらコノ店舗は、今後も新しい麺料理店の開業を提案し続ける、熊さん製麺所のアンテナショップ的スペースなのかもしれない。だからコノ店の名前はくま蔵なのか!と、ようやく両者の関係性に気づいてみた。
メニューを見る。くま蔵の一押しはモチロン、文字通りの看板メニューたる唐揚げラーメンだ。コレを食べるためにココに来たのだから、迷う必要など一切無いハズなのだが、唐揚げラーメンの下に書かれた、あつあつつけ麺の文字が、B食クラバーの心を惑わせる。
マサカこのタイミングで、クラバーKに覚えさせられたつけ麺を食べたくなるなんて!クラバーKの影響を振り切る目的も兼ねて唐揚げラーメンを食べに来たハズなのに。あぁソレなのに。
結局クラバーKの呪縛からは逃れられないと言うコトだろうか。ドコ迄行っても、クラバーKの掌で踊らされているかの様だ。受け入れられずに苦悩するよりも、アッサリと受け入れるコトで立ち向かおうと決意し、つけ麺を頼むコトにした。クラバーRさんは唐揚げラーメンを頼む様なので、唐揚げを食べたい!と言う当初の欲望もきっと、叶えられるに違いない。
オーダーする時になって驚いたのだが、コノ店のつけ麺には2通りの金額設定がある。\700と\900。別にソリャー麺の量の違いだろうとは誰しもが思うトコだろうが何と、麺1玉(300g)と2玉(600g)が\700で、3玉(900g)と4玉(1200g)が\900と言う風に振り分けられている。(ついでに温・冷も選べる模様。)
恐るべし、くま蔵。通常ならば麺1玉と2玉で金額に差を付けるトコロだがソレらが一緒で、そして尚かつ4玉なんてボリュームのモノがメニューに存在しようとは。秋田全県の麺料理店の内容を知っているワケでは無いが、4玉で\900なんて、他には存在しないのでは無いだろうか。秋田県No.1の大盛りの店と呼称しても差し支えないだろう。
で、B食クラバーはモチロン4玉になんかサスガに挑戦するワケでも無く、2玉の600gを注文してみた。そして更に、現在はオープン記念と言うコトで、半ライスがサービスで付くと聞いたので、よせばいいのにソレもお願いしてみた。
麺600gで胃袋の許容量を超えるのは火を見るよりも明らかなのに、半分とは言えライスを頼んでしまうなんて。注文する時点で無理だよなーと解っていたのにも関わらず、無料と聞いたからには注文したくてしょうがない自分の貧乏性を真剣に呪う。
さて、つけ麺の到着。大きめの皿に盛られているソノ風情ではソレ程量が多いとは感じられなかったので、なんだ楽勝じゃん!とか思ったのだが、食べ進めるにつれて、3分前の自分、アホ!って言うか、注文した時の自分、いなくなれ!とか言う気持ちでいっぱいに。
秋田名物焼干しラーメンと書かれたノボリが店内外にあり、いつの間に焼き干しラーメンが秋田の名物になったのだろうかと疑問を持ちながら付け汁を飲んでみると、焼き干しの風味がカナリ強く感じられた。
大概の場合つけ麺だと、スープの方に具が入っているモノだが、コチラでは具は麺の上に乗っている。焼き干しの風味を存分に味わって欲しいと言う店側の主張だろうか。
そして、麺は若干平べったい。焼き干しと言い平べったい麺と言い、以前青森県黒石市で何度か食べたラーメン(中華そば?)を思い出した。摘み食わせて頂いた唐揚げはカリッと揚がっていて、歯ごたえがある系。餃子は噛むとスープがこぼれだす気配で成る程、コラーゲンがタップリ入っている様な気がする。
そんなコトを考えつつ、半分位を食べたトコロで、胃袋は充分な満足感を中枢神経に伝えていた。しかしコレを残してしまうなんて、貧乏人の風上にもおけない。
毎日ランチで\3,000くらい払っている金満マダムならば、ワタクシもう結構ですわ。シェフにゴメンナサイって伝えておいて。とか言って店を立ち去れそうなモノだが、貧乏人生真っ直中で、ついでにソコから抜け出す術も持たないB食クラバーには、そんなコトが許されるハズもない。
以降は最早、限界を超えた自分との戦い。マサカ勝てるハズがない。観客の殆どがそう思っている中あきらめずに戦ったスイス戦での日本代表の様に頑張り、なんとか勝利を得た(完食した)。
しかし、食べ終わった直後からウェストのボタンを緩め、夜寝る迄の間にお茶を3杯しか飲まなかったコトを考えると、充分に惨敗だった様な気がしてならないののは気のせいか。
このボリュームは、ディナーにコソ相応しいのではないだろうか。昼の時間帯しか営業しないため、夜に食べられないのが残念だ。そして最初は唐揚げを食べるツモリで行ったのに、結局は存分に味わえなかったコトが無念でならない。