最近はチョットあまり関わりがないが、以前はカナリ密接なお付き合いをしていた人がいる。モチロン会社上での話だが。周囲にラーメン好きで知られたソノ人が、一番好きだと宣言していたのがコノ店かぜだと、コレまた当時同僚だったラーメン女王に聞いた。
一頃、やたらラーメン女王と共に、秋田市内のラーメンを食べまくっていたのだが、それでもナカナカかぜへと行く機会は訪れなかった。いや、どちらかと言うと、敢えて遠ざけていた様な、ソンナ印象がある。
色々な事柄を整理してみるとどうやら、ラーメン女王とソノ人は、食の好みがイマイチあっていなかった様だ。だから、ラーメン女王はソノ人が一番だと言うかぜには行きたくなかったと言うのが、真相だ。
それでも、人間と言うのは欲深い生き物。市内のめぼしいラーメン屋は取り敢えず一周したよなぁ〜と思った我々は、タマには変わったモノが食べたよね。それじゃあかぜに行ってみるかと、ようやく重い腰を上げ、足を向けるコトにした。
人の好みはソレゾレだから、B色クラバー的にはココが1番美味い!と迄は思わなかったのだが、コノ店がベストだと思う人は一杯いるだろうなと思わせるのに充分な美味しさだった。今迄ココに来なかったのは失敗だったね、的にラーメン女王に話を振ってみると、それでも何だかイマイチ納得していない様な表情を見せた。
もしかして食の好みがあわないんじゃなくて、性格が合わないんじゃないだろうかと思って、口に出してみようと思ったが、すんでのトコロで踏み止まった。ややこしい人間関係のもつれに、首を突っ込みたくない。もしココで何か嫌なコトを聞いてしまったら、次にソノ人と会う時、必ず思い出してしまうに違いない。難しいコトは考えたくない。人生、気楽に行こうよ!と、今思うとソノ時初めて、B食クラバーの基本的なライフプランが設定された様な気がする。
その当時から、らーめん亭は少しダケ店のある場所を移動して、現在に至っている。何度か来ていたのだがそれでも、ココ2〜3年は足が遠ざかっていたと思う。
クラバーRさんが風邪を引いた。治りかけてはいる様だが、油断は禁物。ココは最後に決めの一手が必要だろうと、辛いラーメンを食べて、体を内側から温かくし、その熱でもって風邪のウィルスを完全に死滅させよう!と考え、科学的根拠がゼロの思い込みを抱きつつ、最近アマリ行っていない、かぜのラーメンを食べるコトにしよう!と、出掛けるコトにした。
尤も最近は、科学的・医学的根拠が全く無くても、有名人の口からあるコト無いコト語らせるのが許されているらしいので、B食クラバーとしても、気持ちがカナリ楽になってしまっている。…みのもんたは大丈夫か。
かぜの一番人気は、あんかけ醤油ラーメンと言うのが定説らしい。壁に大きく木の板が貼られていて、通常のメニューはその中に書かれているのだが、あんかけ醤油ラーメンはソノ中には無く、チラシの様なモノが作られて、ソレが壁に貼られている。ソノ様子から、比較的新しめのメニューなのであろうコトが想像される。
コノあんかけ醤油ラーメンには辛さレベルが、辛なし・小辛・中辛・大辛と4種類あり、ソレゾレを好みで選べる様になっている。ココは一発大量の汗をかいて体を温かくし、風邪ウィルスを寄せ付けない、なんだったら風邪ウィルスが入って来た瞬間に死滅する様な、そんな丈夫な体を作ろう!と、科学的・医学的根拠ゼロの考えが頭を過ぎり、B食クラバーは大辛を頼んだ。
B食クラバーの考え方で行くと、一番大辛を食べるべきであるクラバーRさんはB食クラバーの意に反し、何故だが中辛を頼んだ。しかしココが、その後の2人の運命を大きく左右するコトになろうとは、その時のB食クラバーはまだ、知る由もなかった。
あんかけ醤油ラーメンが到着した。コノあんを良く見ると、あんの中に唐辛子のカケラが泳いでいるのを見つけるコトができる。中辛と大辛を比べてみると、ソノ量にはヤハリ、大きな違いがある様だ。そう言えば大辛って食べるの初めてかな?って思いながら、同じ様にあんの中に唐辛子が浮いていた蒙古タンメン中本のコトが思い出されたが、マサカあんなコトは起こらないだろうと、気楽に食べ始めるコトにした。
辛さが喉に心地良い。舌を、胃袋を、体全体を唐辛子が刺激する。白菜・玉ねぎ・もやし・キャベツ・人参・タケノコ・うずら・ねぎ・きくらげと、10種類入った具の味わいも、ソレに比例して増していく様だ。と、一瞬箸が止まる。テーブルの上に置いていた片手に、何か冷たい液体が落ちて来たのだ。なんだろう?もしかして雨漏り?とか思ったが、今日は雨なんか降っちゃいない。おかしいなと思うB食クラバーの片手に、再び液体が落ちて来た。
注意深く観察するとソレは、B食クラバーの顎を伝って流れる汗だったのだ!美味しくて全く気付いていなかったのだが、アマリの辛さに悲鳴をあげた体が、チョットB食クラバーよ解ってくれよ!と、熱烈に示していたサインだったのだ!
それからのB食クラバーは、只々辛さとの勝負になった。辛い食べ物を前に、毎回繰り返されるコノ所業。一体B食クラバーが何をしたと言うのか。何の仕打ちですか!と思わなくもないが、辛いモノを食べると汗をかくと言う、自分自身の生理システムを忘れてしまっているのが全ての根元か。
3歩あるくと忘れるニワトリ頭の持ち主が主人なのだから、体の方だってたまったモンじゃない。いいかげん憶えてくれよ!と、呆れられているのではないかと思うと、只々コメカミを押さえる以外に出来るコトは無い。
どうにか食べ終えたB食クラバーだが、流れ出る汗が止まるトコロを知らない。食べ終わってから店を出る迄に、更に数分の時を要した。ようやく店を出たB食クラバーだがソノ後、ドコカの店に寄ったりする時に、体が熱いモノだから、冬用の防寒上着を身に着けずに出歩いたりしていた。
ソレぐらい、B食クラバーの体は熱かったのだ。一昔前の藤井孝のギャグを思い浮かべて頂ければ、ソレがソノ時のB食クラバーの状態を表すのに一番相応しい。(『ホット!ホット!!』ってヤツ。)
家に帰ったB食クラバーが、いやぁ今日も美味しいモノを食べたね!って喜んでみると、なんかチョットいつもとは体の状態が違う。汗かきすぎたからかなぁ〜とか思い、何げに額に手を当ててみると、物凄く熱く感じられる。
いや、マサカねぇ〜と、軽い気持ちで体温を計ってみると、体温計は平熱以上を示している。えっ!?と思った瞬間、体に力が入らなくなった。大汗をかいた後、防寒具を着ないで出歩いたせいで、風邪をひいてしまったらしい。
風邪をひかない様にと辛いラーメンを食べに行ったのに、コレでは本末転倒も甚だしい。薄れて行く意識の中B食クラバーは、今度から辛いモノを食べる時は、中辛以上は食べないようにしようと誓った。…コノ決意がいつまで持つのか怪しいモノだが。