雪の秋田を車で移動する。窓から見える白い景色もキリストの生誕を祝っている様に感じ
られ、ビバ☆ホワイトクリスマス!なんだったら雪よ、イツモより多く降ってくれ!オーレイ!
とか思ったりして、遅まきながらも、ようやくクリスマスをエンジョイする気分がB食クラバーに
訪れた。
秋田に住んでいるからか、ビューホテルと言うか秋田のホテルは殆ど利用しないB食クラ
バーは、ヤケにホテル内の構造に詳しい方の後を付いて歩いていた。その人は秋田市中心
部に住んでいて、B食クラバーの貧困な考え方に従うならば、絶対にホテルを利用する必要
など無いハズなのだが、何故詳しいのかってコトは、今日がクリスマスだけに神のみぞ知る
と言ったトコロであろうか。
ホテルに到着するまでは、1Fにあるラウンジの辺で食べるのかなと思っていたのだが、そ
の方の発言により、12階にある高いトコロで(地上からの距離も値段も)食べよう!と言うコト
になった。さすがホテルに慣れている方は違う。一体何故コンナに…と、相変わらずB食クラ
バーの中では、ミステリーゾーンのオープニングの様に、グルグルと疑問が渦を巻いている。
とココで、12階で高い!なんて言っちゃってる自分が何ともはや。比べるべくもないが、東
京では40階50階の展望レストランなんて当たり前である。そんなトコでしょっちゅう食事をして
いた人間が12階を高いと感じる辺り、すっかり秋田に根を下ろした生活をしてるんだなと実感
してる…と言って良いモノだろうか。
先にエレベーターを降りた方々が、和洋中とある中、どの店にするか悩んでいた。ココまで
来てどの店にするか決まっていない辺り、コノ会社の現状を如実に、そしてモノの見事に凝
縮していると、コレは言い切ってしまって良いだろう。ココはヤハリと言うか、ホテルに慣れた
方の一言で、チャイニーズに決まった。一体何故…と、もう良いか。
当日出社していたのは6名だったので、A〜Cまであるランチを各2人前ずつ注文して、皆で
シェアしよう!と、ありがちな線に落ち着き、和やかなムードを醸しだしていたのだが、何げに
メニューを見ていたB食クラバー1人だけが、他の人達とは明らかに違うオーラを発し、ワナワ
ナと震えていた。
小龍包発見!と、本宮ピロチの漫画の擬音に使われる様な、ヤケに力強い毛筆によって
書かれたソノ文字が、4段ブチ抜きドコロか、2ページ見開きの迫力を伴い、B食クラバーの目
の前で激しく点滅を繰り返している。金太郎もビックリしているに違いない。
何故かコノ時まで、ビューホテルのチャイニーズで小龍包!って発想が全く浮かんでこなか
ったのだ。それ程迄にB食クラバーの生活にとって、ホテルは無縁だと言うコトの現れか。逆
にココまで来ると、コンナにホテルと無縁で良いのか自分よ!って気にもなって来る。
やや落ち着きを取り戻したB食クラバーは、このチャンスを逃すわけにはイカン!と、勢いよ
く、しかし小声でお伺いを立ててみた。するとチョット考えた後、良いよ!と言う返事が帰って
来た。勝訴!建物の奥から小走りに駆けてくるその人は、両手でそう書かれた紙を手前に
広げている。嬉しさのアマリ涙を流している様だ。そんな光景が目に浮かぶ。
1つの蒸籠に4ヶ入っていて、2つ頼むと2ヶあまるんですが…と、イカにも数が合わないコト
に困っている素振りを見せているB食クラバーに向かい、『じゃ、その2ヶ食べて良いよ!』と
言う、GOOD
NEWSが飛び込んで来た。コレぞマサに神の福音か。先程の紙にはよく見ると、
全面勝訴!と書かれていたか。
さて、小龍包。今迄秋田で食べたモノは只の小っさい肉まんだったり、ぺちょーんと凹んで
いてスープもチョットしか入っていなかったり、箸で摘むと破けたりして、スープのタプタプさを
味わいたくて仕方ないB食クラバーにとっては到底満足できるモノではなかったが、さすが
ビューホテルのチャイニーズ、B食クラバーが待ち望んでいた、外から見ても中身はスープで
イッパイですよ!って様子が解る、皮がパンパンに張った、タプタプのモノがやって来た。
出来るならもうちょっと、本気で舌が火傷しそうな位熱くても良かったのだが、フツーに食事
を楽しむ場合、コレぐらいがギリギリの線であろう。ソコまで熱いモノは、マニアにでも任せて
おけば良い。って、そりゃあ〜一体誰のコトだ。
ようやく自分の食べたい小龍包にめぐり会えて感涙にむせぶB食クラバーの横では、小龍
包にタレも付けず、御飯の上に乗っけて食べてる人が多数派。って言うか4名。かろうじてB
食クラバーの正面に座った人が、カラシを付けたりタレに付けたりして食べていたが、それで
もB食クラバーの見よう見まねであるコトは想像に難くない。
そう言えば小龍包を注文しようとした時、『小龍包って一体なんだ?』ってな声がドコからか
聞こえた様な気がしたのだが、マサカなと思い、スルーしていた。が、コレはどうやら現実の
出来事だったらしく、察するに他の人達は小龍包を食べたコトが無さそうであった。食べたコ
トがあっても数える程で、自ら進んで食べたい!と思ったコトは無いらしい。
こんな人達に小龍包を食べさせるのは得策でない。何よりせっかくの価値を持った小龍包
に対して失礼である。一般的な社会人であれば、2ヶ余った小龍包を食べる際、例え最初に
良いよ!って言われたとしても取り敢えずもう1度断ってみたりするモノだが、何も言わずにB
食クラバーは、残りの小龍包を一気に口の中に入れた。
|