前 説
2年位前からであろうか？B食クラバーKが職場の後輩から聞いたと言うその店の風評が心をずっと鷲掴みにしていた。
とにかく量が多い！らしい。どれぐらい量が多いのか、味はどんなモノなのかが気になって、B食クラバーKに何度も聞いたのだが、B食クラバーKもその店には行ったコトが無く、おそらく職場の後輩に聞いても、それ以上の情報は帰ってこなかったのだろう。量が多い店と言うコト以外、何も解らぬまま、時間は過ぎ去っていった。
その間何度か、力食堂の前を通りかかり、入ってみよう！と思ったのだが、いつ行ってもノレンはしまわれていて、休日は店も休みなのだろうとか、午前中だけで終わりなのだろうと言う憶測だけが先走る状態が続いた。
さらに、タクシーの運転手や、肉体労働系の方々が良く利用する店らしいと言う噂迄解ったがココまで。一度も行ったコトがないのに、力食（りきしょく）なんて略称を勝手につける程、心の中では身近に感じていたのだが、行きたくても行けない店と言う共通認識が、B食クラバーの間に意外な程大きく横たわっていた。
Comment Session #1
遅れて夏期休暇を取り、10連休を満喫中のB食クラバーKから、ディナーをしよう！と電話があった。どこへ行こうかと色々考えを巡らせていたトコロ、B食クラバーKの瞳がキラリと光る。今日こそ力食へ行くと言う、力強い意思を感じた。
果たして今日は営業日なのか？そして営業時間は何時までなのか？と不安に思いながら車を走らせたためか、それとも夕方の交通ラッシュと重なったためか、力食迄の道のりは非常に長いモノに感じた。店の前にはヤッパリというか、1台のタクシーが停まっていた。噂は正しかった。昼間だったら佐川9便とか、クロネ5とかの車も止まっているに違いない。
その時点でのお客はタクシーの運転手1人。カレーとラーメンと言う、絵に描いたような期待通りのメニューを食べていたようだが、既に食べ終わるトコロ。1番大切な量を確認出来なかったのは残念だが、それはもうすぐ解るコトだ。
メニューは、ラーメン、丼モノ、定食と、コチラも絵に描いた食堂風。何を食べようか迷ったが、チョット前から酢豚を食べたかったので、酢豚定食を頼んでみた。B食クラバーKは、唐揚げ倶楽部を主催しようかと言う程の唐揚げ好きなので、迷わずに唐揚げを頼んだ。
次にやってきたお客は、会社帰りのサラリーマン。店の勝手は分かりきった様子で、1人で水をコップに入れ、新聞を手に取り、ホルモン定食を頼んでいた。ヒョットしたらコレが、1番のおすすめメニューなのかも知れない。
待っている間にも、小学生の女の子を連れた家族。パッとみ食べ盛りの高校生らしき息子を連れた家族等がやってきて、客層のオールマイティーさを感じる。で、酢豚到着。絶対に大盛り（って言うか特盛り）が入りそうなカレーの深皿に、なみなみと酢豚が注がれている。注がれているって言うのは、あんの中に具が浮いている状態。酢豚の新しい可能性を感じずにはいられない。それとは別にどんぶり飯、味噌汁、お新香がついてきた。
期待通りのボリューム。しかし残念ながら、主役のハズの豚肉が、その皿には、5切れ位しか入っていなかった。正確な表現を試みようとするならば、それは酢野菜。主役と脇役の交代劇が大胆に、そして鮮やかに行われていた。
ピーマン・ニンジン・タマネギで腹一杯になる。そして何故かカマボコが入っていた。酢豚にパイナップルが入っているのは邪道か否か？って話題にしたコトがあったのだが、そんなのとるに足らないコト、と感じざるを得ない。コレからは、カマボコと酢豚の関係について激しく議論を交わさなくてはならない。って言うか誰も信じてくれそうもない。他にもコンナ店があるのなら、誰かに教えて欲しい位だ。
B食クラバーKの頼んだ唐揚げ定食が到着。これ何人分ですか？って位の数の唐揚げが皿の上に乗っている。その数およそ20。（実測不可能なため近似値。）そして、その唐揚げと同じ位の体積でキャベツも乗っかっている。4人家族の夕食に丁度良い位に感じる。さすがのB食クラバーKも、コレには目を点にしていた。
20コもあるんだから1コ位くれるだろう、と思って待っていたが、そんな気配は一向に感じられない。業を煮やして自分からお願いしてみた。コチラは、とても柔らかく、ジューシーで美味かった。B食クラバーK、当たりを引いたようだ。
隣の一見高校生らしき人は焼きそばを頼んでいたが、その量たるや、ゆうに3人分はあろうかと言う位であった。彼はその他に定食を1つ頼んでいた。いくら食べ盛りだからって言っても大丈夫なのだろうか？と、人ごとながら心配をしてしまう。しかし、もし見事に食べ終えたとしたら、彼の心は、何かを成し遂げた！と言う達成感でいっぱいになるだろう。
もう\100だすと全品大盛りになる様だが、そんなの頼む人いるのだろうか？量は普通で良いから、もう\200〜\300位安くしてもらった方がウレシイ。
それぞれ4人家族の夕食分に相当する量の食事を胃袋に納めた我々は、1人でおそらく7人分に相当するであろう量の食事をしている高校生を横目に、店を後にした。
中 説 at 07/05/07
最近のB食クラバーには野菜分が足りない。仕事中に晩ゴハンを食べるコトが多いせいで、どうしても野菜が足りなくなるのだ。パンや弁当を食べてみても、野菜ってのは端っ子にほんのチョットあるぐらいで、その量の少なさにはB食クラバーの体も、もっともっと頂戴よっ！と、毎夜々々身悶えを繰り返す始末。
以前はキャベツを買って来て会社の流しで包丁を握り、千切りなんかをしたコトもあった。しかし、キャベツの他にニンジン、パプリカ、タマネギ、ミニトマト等ドンドン野菜が増えていき、最終的にボール一杯分ぐらいのチョットした野菜サラダが出来上がった瞬間、B食クラバーの中で何かが弾けた。
一体自分は何をしているんだろう。サラダを作りに会社に来ているのか。コノママでは会社で自炊を初めてしまいそうだ。自炊が始まったら最後、会社に住み着いてしまうのではないだろうか。トイレのB食クラバーさんとかって都市伝説が生まれやしないだろうか。そう思った次の日からB食クラバーの食事は、非常に粗末なモノへと変わっていった。
1袋\100前後で販売されている食パンやミニロールパンを、バターとかジャムとか何も付けずに食べてみたりカップ麺を食べてみたり、小学生の子を持つ親なら毎日の様に、そんなコトしてはいけません！ってお小言をたれている内容ソノモノな食事を、毎日々々繰り返す。
人間は炭水化物ダケでは生きられない。タンパク質も必要だと、いくら呑気な人生を歩んでいるB食クラバーだって知っている。だから、仕事が休みの時に外食とかする場合は、肉＆魚最優先の食事をしてしまう。そうして一番後回しになった結果、必然的に野菜が足りなくなってしまうのだ。
チンケな人生を、周りの皆様方に支えられてどうにか今迄歩んで来るコトが出来たB食クラバーの人生に於いて、今無性にカレーが食べたい！って禁断症状が発生したり、夜中に突然牛丼が食べたくなって飛び起きたり、さっきTVで見たラーメンがどうしても頭から離れない！って言う様な出来事などは何度も発生したコトがあるが、まさか野菜が食べたくて仕方なくなる瞬間が訪れるなんて、想像もしていなかった。
人間は炭水化物ダケでは生きられない。タンパク質も必要だし、繊維質もカロチンもビタミンB1だって必要だ。そのコトに気付いたのは、先日焼肉の食べ放題店を訪れた時だ。さぁ、日頃足りていない動物性タンパク質を、今日コノ日で10倍取り戻す程食べてやるぜ！と鼻息も荒く乗り込んだモノの、何故かソノ日一番多く食べたのは野菜。皿に各種の野菜を山の様に盛り、気が付くとソレを3度も繰り返していた。
ソレでお腹一杯になり、肝心の動物性タンパク質の摂取は、ホンの僅かに止まった。ソノ日以来、自分の体が野菜を欲しているコトを知る。思春期の激情に身を任せるヤング達の様に、マサに貪る様に野菜を体に取り入れたくなる日が突然やって来る。ソレが今日だった。
Comment Session #2 at 07/05/07
仕事中、お腹が空いた様な気がした。しかし不思議と、何かコレを食べたい！って思うモノが浮かばない。実はソンナにお腹空いてないのかもなって思いながらお菓子を軽くつまんでみると、あっと言う間に量が減っていく。なんだ？ヤッパリお腹が減っているのか？でも食べたいモノ思い浮かばないぞ！と思った時、天からのびて来た光が、胸に突き刺さった様に感じた。ソレを伝って囁き声が聞こえて来る。食べたいのは野菜だ。野菜分が不足してるんだ。
現状を認識出来たB食クラバーだが、既にお腹はお菓子で一杯。サスガのB食クラバーも野菜用の別腹は持ち合わせていない。こりゃー明日にするしかないなと、至極当たり前の考えを抱く。野菜分の不足を完全に満足させるには自分で何かを作るのが一番なのだが、コノ時のB食クラバーの野菜分不足による禁断症状は、極限にまで達していた。
野菜を山盛り食べたい！って言う思いが、山盛りの食事と共に野菜を食べたい！って言う方向に、時間の経過と共にシフトして行く。山盛りの食事と野菜。B食クラバーの中でソノ両方を満足させてくれるのは、力食堂しかあり得ない。明日は力食堂で野菜炒め定食を食べるぞ！と胸に刻み込み、ようやく落ち着いて眠るコトが出来た。
久しぶりに訪れる力食堂。駐車場にはタクシーや運送会社の車が並び、何ら変わったトコロはない。期待通り大盛りの野菜定食を提供してくれるに違いない！と高ぶる心を抑え、野菜炒め定食下さい！と口にしてみた。喋った後で気が付いたのだが、いつもより心なしか声が大きかった様だ。
しばしウェイティングの後、野菜炒め定食到着。一晩中夢見ていた、絵に描いた様な山盛りの野菜炒め定食に、躍動するB食魂。いつもだったら、こんなスンゴイ量食べきれないよ！とか思うのだが、今回はコノ山盛りを待ち望んでいたのだから、そのハズもない。
キャベツ、タマネギ、ニンジン、ピーマン、モヤシと少々の肉。気分的にはモヤシの替わりにもっと大量のキャベツが欲しかったのだが、元々の量が多いのだから、ソレ以上は望めない。冷や奴と味噌汁、そして何よりも生卵が付いているトコロが見逃せない。
野菜炒めを大量に箸で摘み、一気に頬張る。程良い味付けのタレと、野菜から溢れる水分が口の中に広がる。コレコレ！コレを待っていたんだよ！と、誰に言うワケでも無いのに思わず口をついて出そうになる。無心に野菜炒めを食べ続ける。
生卵は最初から割られた状態で小鉢に入って来たので、もしかしたら野菜炒めを生卵に付けて食べたら美味しいかもしれない！と思い立ち、早速やってみた。スキヤキ風に食べてみようと言うワケだ。コレも新しい発見だね！と思いながら食べる。しばらく食べ進んだ後、御飯にもかけて食べたいよね！って思ったので食べてみたら、そっちの方が断然美味しかった。…変わったコトせずに、最初っからこうしとけば良かったよ！と激しく後悔する。ゴハンに生卵って、どうしてコンナに合うのだろか。日本人に生まれて良かった。
野菜を充分補給し、ようやく落ち着きを取り戻した頃、1人のお客さんが入って来て、肉うどんとミニカレーを頼んだ。ミニカレーは\200で、おそらく肉うどんのサイドメニューとして食べるには丁度良い量なのだろうと考えていると、そのお客さんのトコロに運ばれて来たモノを見て、B食クラバーは絶句する。
あのー、ソノお客さんが頼んだのって、ミニカレーですよね。でも今持って来たソレってミニじゃないフツーのカレーなんじゃないですか？って言いたくなる様なボリュームのカレーがテーブルに置かれ、そして注文したお客さんは何の躊躇いもなくソレを口に入れた。
このサイズのカレーを、例えば\450とかで出している喫茶店とか平気でありそうだ。あのテーブルに見える、あのボリュームでミニなんだとすると、フツーのカレーは一体どれ程のボリュームがあるのだろうか。フツーのカレーは\550で提供されている様なので、単純に金額の割合を量に換算するならば、ミニカレーの2.5倍に相当するハズだ。近い内に両者を比較してみたいが、ソレには充分に体調を整えて臨まなければならないだろう。
トコロで、以前は夜も営業していたのだが、現在は昼間しか営業していない様だ。夜にコソ食べたいボリュームなので残念でならない。しかしソノ替わり大盛りが+\50になった点は見逃せない。まぁ、滅多に増量したい気分にはならないだろうが。
中 説2 at 08/11/18
数年間の長きに渡り、B食クラバーズの間で禁忌とされていた力食堂のカレーライスとミニカレーの謎。
コレは最早コノ世がいかにして始まったのかと言う問題と共に、永遠に証明するコトの出来ないテーマなのかと思い始めていたのは昨日までのコト。
今日のB食クラバーは、呆れる程にアッサリ＆サッパリと、コノ世の心理を悟ったかの様な心境で、カレーライスとミニカレーの謎を解くべく、力食堂へと車を向けてみた。
Comment Session #3 at 08/11/18
昼下がり。力食堂の駐車場は、イツ行っても満車状態だ。近くのオープンスペースにチョコッと路駐させていただいて、ソノ間にカレーライスとミニカレーの謎を解こっかなー？なぁ〜んて考えた人がいたかどうかは解らないが、一台の車が取り調べを受けていた。ソレを見たB食クラバーはシバラクの時間、全く無意味で無目的なドライブを敢行した。
最初に力食堂に到着してから十数分後、ようやく駐車場に空きを見つけたので車を入れるコトが出来た。コンナに車が一杯停まっているなんて、店内は一体どれ位混んでいるんだろうか？と、ヤヤ興奮しながら扉を開けてみると、テーブルの埋まり率は50％強程度。スンゴイ肩すかしを喰らった気分だ。テーブル1卓＝車1台では無かった。
サスガのB食クラバーも、1人で力食堂を訪れてカレーライスとミニカレーを注文する勇気は無いので、クラバーRさんと同行して謎の究明に取りかかるコトにした。
1人が食べる分としては、カレーライスとミニカレーを注文するなんて完全にあり得ない組み合わせだが、大人と子供1人ずつならまだしも、大人2人で行ってカレーライスとミニカレーを注文するって言うのも何か変じゃないだろうか。力食堂に限ってそんなコトは無いだろうが、しかし料理名にミニと書かれていると、もしかして量が少なかったらどうしよう？って言う気分も浮き出て来て不安にさせる。
そんなワケで若干怖じ気づいた我々は、session#2における先人の例を見習い、ミニカレーには肉うどんを付けますよ？的風味で、『カレーライスと肉うどんとミニカレー下さい！』と、コチラの意図を気付かれない様に、努めて明るく元気に注文してみた。ソノ明るさが、かえって怪しかったかもしれないが。何かやましいコトを隠そうとする時人は、何故声のトーンが高くなるのだろう。
注文を終えて安心した後、改めて店内を見回してみた。仕事途中と思われる女性の方が、マサに今我々が注文した肉うどんとミニカレーを悠然と食べている。木を隠すには森の中。コノ組み合わせで注文する人が多ければ多い程、我々の思惑が外部に漏れる心配はない。
まずは肉うどんが到着した。しかし、カレーとミニカレーのボリュームがどれ程違うのかを確認しに来た我々にとって、肉うどんはアクマでカモフラージュのタメに注文した料理なので、クラバーRさんとB食クラバーのドチラが食べるか迄は考えていなかった。イツまでも店員さんを立たせておくのも悪いし、何よりも我々の思惑が露見してしまうかもしれない！と感じたB食クラバーは、とっさにクラバーRさんの方へ置いて下さいと言う風情で、手を差し出してみた。
その後カレーとミニカレーが到着するが、カレーはB食クラバー、ミニカレーはクラバーRさんと、自然と配分が決まった。早速、カレーとミニカレーの比較調査会が始まった。パッと見た感じ、両者にソレ程の違いは感じられない。2つを並べてみても、コレってひょっとして皿の形が違うダケ？って感じがしないでもない。
ミニカレーのゴハンはお茶碗にして2杯弱。食べ盛りの中高生にとっては物足りないかもしれないが、ヤハリ完全に一食として成立している様に感じられる。ソレに比べてカレーライスの方はややガッカリだよな〜と思いつつ食べ始めると、見たダケでは解り得なかった事実を体感し、スプーンを持つ手が震え始めた。
底の深いカレー皿から、ゴハンが4分の1程度顔を出している他は全てカレールー。こう言った外観の場合、ゴハンは2分の1か、多くて3分の1入っている位だと予測していたのだが、サスガは力食堂。B食クラバーの浅薄な想像力など軽く一息で吹き飛ばしてくれた。何とゴハンは、底が深くて縦長のカレー皿の、端から端までをキレイに埋め尽くしていたのだ！
恐るべし、力食堂。まさかコンナ事態が待ち構えているとは思いもよらず、ゴハンとカレールーの割合を誤って食べ始めたタメ、最終的にカレールーが足りなくなってしまう始末。福神漬けを自分で自由に入れるコトが出来るカレー屋さんに行ったら、ソレって新メニューの福神漬けカレーですか？って聞かれそうになるぐらい福神漬けをタップリとカレーに乗っけるB食クラバーにとって、福神漬けも足りない。B食クラバーにとって力食堂のカレーライスは、マサに誤算の連続であった。
カレーライスとミニカレーの差をコノ目で確認するぞ！と言う高い目的意識があったタメか、最終的に何とかカレーライスを食べ切るコトが出来たB食クラバーであるが、普段だったら完食はチョット難しかったかもしれない。
今度力食堂でカレーを食べたくなったらミニカレーで充分かな？と思ったB食クラバーだが、やはりミニと言う冠が気になって、少々物足りなさを感じてしまうかもしれない。サテどうしようかと考えた時B食クラバーの目に映ったのは、大盛り+50円と書かれた貼り紙だ。
あぁ、それならばミニと言う冠から来る物足りなさも感じずに済むかもしれない。ボリューム的にも間違いないだろう。頼む時にチョット気が引けるかもしれないが、ソコは勇気を振り絞って言ってみよう。
ミニカレーの大盛り下さい！
と。
- 唐揚げ定食 \900
- 野菜炒め定食 \800
- 酢豚定食 \800
- 野菜ラーメン \600
- カレーライス \550
- ミニカレー \200