『秋田の星』と聞いて人々は何を、或いは誰を思い浮かべるだろうか?オレ流を貫き通す野球監督、NBAに挑戦し続けているバスケットボーラー、ラグビーで世界選抜に選ばれたウィング、ババヘラアイスのバラ盛り名人、元家出少女の作家、毎朝ニュースの解説をしまくる人…辺りがチラッと考えたダケでも思い浮かぶが、最近では怠け者を怒り続ける超神なんかもアリかもしれない。
そんな数多輝く秋田の星々の中で、一際高いトコロにありながらも強烈な輝きを放ち続けている星がある(B食クラバーにとって)。ソレが良川先生ことジョニーこと、ギバちゃんこと柳葉敏郎だ。
欽ちゃんファミリーかと思いきや、実はスッゴイ硬派な劇団のメンバーで、様々な才能がぶつかり合う原宿の歩行者天国でも、一際異彩を放つパフォーマンスを繰り広げつつも、人々の注目を浴び続ける存在だったとは。
人の良い良川先生が時折見せる鋭い眼差しや、オープニングでの華麗なダンスステップ、ハガキを読み終えた後袖口に帰る時に行うバク転が素晴らしい放物線を描く理由がソコにあったのかと、コレはもう納得せざるを得ない。
笑顔の優しい、人の良さそうなキャラだったヤング柳葉敏郎も、今ではスーパー人気俳優の織田裕二に犯人を確保させたり、キムタクに融資をお願いされる立場に迄登り詰めた。そんな柳葉敏郎を、秋田の星と呼ばずに何と呼ぶべきか。って言うか、人の良い、ヤングだった頃に付けられたであろうギバちゃんと言うニックネームも、酒豪、怒りっぽい曲がったコトが大っ嫌いってキャラが認知されている現在、イマイチ似合わなく無いだろうか?現在の立場ならば、せめてギバさんって呼ばれるのが相応しい。
で、そのギバさんが、どうやら秋田に家を建てたらしい。子供の教育は、環境の良い秋田で行いたいと言うのが理由とか。サスガ。東京で身を立てたにも関わらず、秋田のコトを決して忘れず実行する辺り、男気を感じずにはいられない。ギバさん!あんたぁ〜素晴らしすぎるぐらいの男、いや漢だよっ!
…無鉄砲にも不用意にも盛り上がってしまったが、秋田で生まれ、東京で身を立てた後生まれ故郷に戻ったギバさんの歴史をまとめた『ギバちゃんの部屋』なる展示場が、大仙市刈和野の温泉施設、ユメリア内にオープンしており、しかもソレは無料だと言う。ギバさんを秋田の星として崇め奉るB食クラバーも、コレは行かない手はない。いや、いかずになるモノか!
と、謎闘志も燃え上がってしまったが、時間的にはソノ近辺でお昼をとらないと非常に行動が厳しい事態になるコトが発覚。残念ながらユメリア近辺での食事処を知らないB食クラバーは、少々足を延ばしたついでと、同じく大仙市にある土間人ダイニングへと行ってみるコトにした。ソコで満腹になってから、ギバさんの部屋を堪能しようと言う算段である。
国道13号線から105号線へ入って暫く走ると目的地、土間人ダイニングに到着する。105号線に面したコノ店は、モチロン人気店なのだろう。土間人グループって言うか、角館近隣に点在する料亭大切グループのイタリアン担当食事処。
美味しい料理を提供してくれそうな雰囲気バンバンなコノ店の、更にランチがB食クラバーの食指を動かす。ソレと言うのもコチラのお店、10種以上あるメニューの中から、自分の好きなモノを2種類頼むコトが出来る!と言うモノ。
まぁ、毎回の食事が2人分です!とか、いつも2種類以上口にしないと食事をしたと言う気分にならないんだ、とか言うブルジョワの方にとってはどうでも良い話だろうが、2食分食べる胃袋&財布のサイズを持ち合わせていないB食クラバーにとってコレは、コノ上無い程極上のラグジュアリー。誰かと行ってシェアすれば2×2になったり3×3になったり夢の様な組み合わせが実現できる。…5×5だと人数の方が多すぎになるのだけれども。
現在は印刷されたメニューの上にシールで料理が追加されており、全部で15種類のメニューが存在する。ソレにドリンクも付くのだが、コチラの方はなんと怒濤の13種類!全部のメニューを1回で制覇するには、え〜っと…。…。…何人で来れば良いのだろうか?今回はクラバーRさんとの同行。
余裕を持った広い造りの店内は、4人掛けのテーブルが6卓と、後は小上がりも6卓程だったか。窮屈な印象は全くない。イタリアンダイニングと言えども日本人たるモノ、お座敷は必要不可欠なモノなのだ。ちなみにワタクシB食クラバーも、テーブル席と小上がりがあった場合、何故か知らねど小上がりを選択してしまうのは、自分の体に脈々と流れ続けている日本人の血によるモノなのか。
ドリア・鶏竜田揚・つけ麺・スパゲッティと、沢山並ぶメニューの中で一体何を選んだら良いかと考え込むB食クラバー。思い返せばココ一週間余り、喉の渇きにも似た症状で、胃袋がカレー分の不足を訴えかけ続けていた。ならばココはカレーにすべきか!メニューを見るとソノ名も21世紀カリーと言う、ホンの10年前ならばコレ以上無い位の近未来感を抱かずにはいられない名前のカレーが載っかっている。
カレーに合うのは何だ?やっぱりコノ味玉らぁめんか!とか思ったトコロで我に返る。カレー&ラーメンって組み合わせは生まれてからコレまでの間、何度も何度もソレこそ数え切れない位食べている。ココは1つ、目先を変えた組み合わせで行くべきであろう。とすると…ってコトで考えたのが、若鶏の竜田揚げ丼&ビフテキとろろ丼の組み合わせ。鶏のヘルシーさと、ビフテキと言う名前から連想されるゴージャスさがたまらない。しかもビフテキにはとろろもかかっている。ビフテキにとろろなんて今迄、試したコトもなければ想像したコトすらありゃしない。一体どんな味で楽しませてくれるんだろうか。
白い椿の花びらを連想させる様な、底の深い白い器に乗って、料理が運ばれて来た。コレにはドンブリと言う言葉は使いたくない。器。匂いでは無く香りと言ってみたり、(商品を)買いますと言う代わりに包んで下さいと言ってみたり、少し言葉を変えるダケで漂うブルジョワ感。あぁ、ありがとうキミ。コレはチップだ。とっておきたまえ。って、コレじゃぁ只の嫌みな成金オヤジか。
早速食べてみる。コレ以上ない庶民感覚の持ち主としては、金持ちの食べ物の代表選手とも思えるビフテキから口にしてみた。非常に柔らかい。タレも嫌みがない程度に甘い。とろろと組み合わせると、アッサリ度が急上昇。あっと言う間に器の中身が減っていく。
鶏の竜田揚げは上顎が焼ける程熱い!って言うコトはないが、程良い温かさでカリッと揚がっている。刻みノリ・ネギなども載っかっているせいか、コチラもアッサリとして食べやすい。2つの器を空にしたトコロで、まだワタクシの胃袋には若干の余裕があります!って言う状態であるコトに気が付いた。ビフテキに唐揚げなのだから、もしかしたら胃がもたれるかもしれない!と思ったのに、まるっきり逆なコノ状態は、食べる前にはハッキリ言って想像できなかった。
試しにクラバーRさんが頼んだ土間人ドリアと味玉つけ麺を食べてみた。土間人ドリアはハンバーグに海老、そしてチーズとボリューム感が凄い。メニューに早い者勝ち!って書かれているのも頷ける。味玉つけ麺も、細い縮れ麺がスープと良く絡み、つけ麺ってチョットぬるくなる感じがヤダよね、ってコトが一切無い。このままラーメン屋を開けそうな程だ。一緒に頼んだドリンクはグレープフルーツジュース。飲んでみてビックリだが、コチラは果汁100%ジュース。全てが手抜き無しの本格派。コレで採算がとれるのかと心配になってしまう。
つけ麺をシェアしている時若干胃袋に余裕がある状態だった為、1ヶしかない味玉を食べてしまおうか…とか一瞬ブラックB食クラバーが目を覚ました。ソノ時、不意にクラバーRさんと目が合った。クラバーRさんの目は優しそうでもありしかし、アンタ変なコトしたらタダじゃぁ済まないよ!と、何もかも見透かした様な視線でB食クラバーを射抜く。味玉を掴もうとした瞬間、背中に冷や汗が走る。反射的に指が横にスライドし、沢山添えられていたメンマを結局口にした。コノ葛藤、よもやクラバーRさんには伝わってはいまい。