新屋に『キッチンまる』と言う名のイカす洋食屋があると聞いたB食クラバーは、何かのついでで店の前を通りかかった時、あっ、ココの店のコトなのか!と、場所を確認出来た喜びに満ちあふれていた。コノ後何年も、店の暖簾をくぐるコトが出来ないとも知らずに…。
B食クラバーが外食する際、ドコに行こうかと一番最初に考えるのは、まず最近出来た新しい店。美味しそうだったり、面白くてネタになりそうだったり、何かスグに消えて無くなりそうだったり等、B食クラバーに新しい情報と体験を少しでも与えてくれそうな店を優先してしまう。
二番目は、自分が今何を食べたいか?と言うコト。以前はラーメンが食べたい!って思うコトが多く、出掛ける先もラーメン店が多かったのだが、最近はそうでもない。って言うかドチラかって言うと、ラーメン店は避けている部分が大きい。
以前はアンナにラーメン好きだったのに!と、自分でも驚いている部分は少なくないが、4〜5年振りにひいた風邪がヤタラと本格的で、ナカナカ治らないコトと、もしかしたら関係があるのかもしれない。(ラーメンには抗風邪ウィルス作用があるかの様な表現をお詫びします。)
で、色んな料理ジャンルの中から洋食が食べたい!って思った時、更にソノ中から『キッチンまる』に行こう!って思える迄には、多くの選択肢を経てからでないと辿り着けないタメ、実際に出掛ける機会も少なかった。
が、ソレよりもヒドイと言うかスゴイのが、B食クラバーと『キッチンまる』の相性の悪さだ。何度も出掛けているのでドレが最初のコトだったのか定かではないが、定休日じゃないハズなのに店が開いていなかったり臨時休業の紙が貼られていたり、開いてても駐車場が満車だったりの繰り返しで、もしかしてもう営業していないのだろうか?と思いつつ、性懲りもなく出掛けてみるとようやく営業してて、やった!遂に食べられる!って思ったのも束の間、窓から店内の様子を覗くと、B食クラバーが持っている洋食屋のイメージには似つかわしくもない様な大人数の高齢な方々によって、まるで宴会みたいな様が繰り広げられていたりして諦めてみたりと、とにかくB食クラバーと『キッチンまる』には縁がない。
憧れのアノ人と仲良くなるコト!なぁ〜んてあたりを除くと、B食クラバーの人生史上、最大最悪の縁の無さを感じていたと言っても、無論言い過ぎではない。
今日行って食べられなかったら、もう諦めるか…。と、駅で時々しか見かけない、気になるアノ人への想いを、まるっきりの独り相撲で捨て去ってしまおうかと、ヤサグレ気分でクラバーRさんと共にランチタイムに出掛けてみると、『しばらく休みます』の紙が貼られていた。
あぁヤッパリ…。所詮結ばれぬ運命だったのね…と、こぼれる涙を人差し指で拭いつつ、ソレでも逞しく人生の次の目標探しへと(次の飲食店ね)気持ちを切り替えようとするとクラバーRさんが、貼り紙があったのは隣の店じゃないだろうかと呟いた。
えっ?まさか!と思いつつも、キッチンまるへの想いを簡単には捨て去るコトの出来ないB食クラバーがもう一度確認してみると、やはりクラバーRさんの言う通り、張り紙されているのは隣の店だった。
しかし、まだ自分とキッチンまるとの縁遠さを捨て切れていないB食クラバーは、恐る恐る店の扉に手を掛けてみる。すると、扉は簡単に開けるコトができ、スグに女性の店員さんと目があった。
マダ大丈夫ですかと、ソレでも自信なげに聞いてみると、B食クラバーが何度コノ店とすれ違い続けたのかなんて全く知らぬ素振りで(当たり前だが)、良いですよ、どうぞ!と迎え入れてくれた。
やっとキッチンまるの料理が食べられるぅ〜!と、今日コノ日を迎える迄に、何年かかったか的なコトを思わず口走りそうになったが、あ、スイマセン、今のシャックリです。みたいなムードに巧みに変換しつつ席に着いてみた。
B食クラバーがキッチンまるに惹かれたのは、シェフが帝国ホテル出身だと聞いたからだ。帝国ホテルと言えば、東京に住んでいた頃のB食クラバーがよく利用していたトコロで、って言っても別に宿泊していたワケではモチロン無い。友達との待ち合わせや、トイレを借りたり等の、ホンの些細なツマラナイ用事で利用させて貰っていた。
今思えば恐ろしい話だ。チョット良い服着てるみたいケド、コナイダまで鼻水でも垂らしていた様なガキンチョが、世界のエグゼクティブが打ち合わせに使ったりするラウンジで、恐らくソノ空間にいる中で一番レベルの低い、最低な話をしたりしていたのだ。今もう一度やって見ろ!って言われても怖くて出来ない。(なんせ一歩足を踏み出す度に、おぉ〜、フカフカだよコノ絨毯!とか言って騒いでいた位なので。あぁ〜、当時の関係者全ての方々に頭を下げて回りたい。)
マタしかし、B食クラバーにとって帝国ホテルとは、ゴディバのイメージが強い。当時は今程多くの海外ショコラティエが日本に出店しているワケでも無く、ゴディバがチョコレート界の最高峰!的な位置付けであった。バレンタインなら本命にはゴディバあげとけば間違いなく、しかしソレとは裏腹に、ゴディバの価値を貰う側が解らないと言う残念なパターンに陥るコトも多々あったり無かったり。
B食クラバーはバレンタインやホワイトデーと言ったイベント時以外でもゴディバを良く購入していたが、ソノ際利用していたのが帝国ホテル店だ。いつもレベルの低い話バカリしてスイマセンとか、トイレ借りてまぁ〜す、テヘ!的な贖罪っぽい意識も多分に手伝っていたと思われるが、フカフカの絨毯を歩きながらエグゼクティブとすれ違いつつ高級チョコレートを買いに行くと言う行為に、ヒタスラ酔いしれていた可能性カナリ大。
ソンナ憧れの帝国ホテルの味が、お気軽な価格で味わえるなんて聞いた日には、食べずにいられないワケがない!(否定の連続)震える手つきでランチメニューを手に取ってみるとソコには、ホルモンの煮込み・カツ鍋・生姜焼きなんて言う、帝国ホテルのレストランにハッキリ言ってこんなメニューが存在するのか!と思わずにいられないモノから、ポークカレー・チキン・ハンバーグと、コレらならば帝国ホテルにもあるだろうと思えるモノまで幅広く7種類も記載されていた。
コレにセルフサービスのコーヒーが付いて\750。お得以外の何モノでもない。一体何を食べようかと迷ったが、B食クラバー的に一番帝国ホテルのイメージに近いハンバーグを頼んでみるコトにした。チキンとか生姜焼きとかを食べるだろうなと思ったクラバーRさんは、意外にもホルモンの煮込みを頼んだ。
店はカウンターが8席位と、小上がりに4卓程。帝国ホテル出身のシェフと言う経歴と小上がりが、どうしてもB食クラバーの頭の中で結びつかない。メニューには海老フライやチキンソテーなど洋食っぽい料理が載っているも、壁には焼肉はじめました!!と言う貼り紙があったりする。意外な迄の多様性に戸惑いを隠しきるコトは難しい。
一体どう言う人が作っているんだろう?と気になるも、厨房とホールは壁で仕切られていて、中の様子を見るコトは出来ない。ただ一部、完成した料理を受け渡すタメの空間が壁に空いており、ソコから中を覗くコトは出来る。
壁から切り取った様に見える厨房からは、二の腕の筋肉の厚さが容易に想像出来る程の逞しい後ろ姿と言うか横姿(?)の、シェフの首から下と腰から上の部分しか確認出来なくて悩ましい。モロ見えよりもチラ見えの方が萌える。ソンナ日本人的奥ゆかしさを感じつつ身悶えまくるコトしきり。
ソノ様な態度でいるB食クラバーをあざ笑うかの様に、女性店員さんが料理を運んで来てくれた。(※B食クラバーの主観が多分に入った表現をお詫びします。)黒い鉄板に載っかったハンバーグに、ニンジン・ほうれん草・ポテトの付け合わせ。更に小鉢一品と漬物とライスと味噌汁付き。コレにサラダが付いていれば言うコト無しなんだケドな…と、しかし、人間アマリ多くを望むモノではない。そうして欲張った挙げ句に失敗したコトなど、両手両足で数えても足らないぐらいだと、B食クラバーは身を以て知っている。
遂に帝国ホテルの味が…と思いながら感無量で佇んでいると、ハンバーグからスパイシーな香りが漂ってくる。いや、ハンバーグじゃなくてデミグラスソースから?B食クラバーが所有する簡単な性能しか持ち合わせていない鼻では、これはカレーの匂いなのだが、間違いなくハンバーグか乗っかっている皿から香りが漂って来る。さすが帝国ホテル。食べる前からB食クラバーを存分に惑わせている。
食べてみるとコレが以上に柔らかい!今迄食べたどんなハンバーグよりも柔らかいと感じる。かと言ってスカスカなワケでも無く、肉のボリュームも充分感じ取るコトが出来る。柔らかいケド歯応えの無いハンバーグをB食クラバーは好まないので、キッチンまるのハンバーグの存在は大変ありがたい。
昼に美味しいランチを食べるコトが出来ても、夜は飲み屋に変身しちゃう店が多い中で、コチラのお店は正しい洋食屋さんなので、夜にも食事出来そうな点もありがたい。こんなハンバーグが出て来ちゃったら、海老フライを食べないワケにはいくめぇ!と燃えているB食クラバーであるが、ココまで来た道のりを思い出すと、次は一体イツ『キッチンまる』で食事するコトが出来るのかと心配でならない。