午後6:30位だったので、ヒョットしたらもう閉まってるかも知れないと思いながら、車で出掛
けた。この季節、この時間帯では辺りは真っ暗だ。おっ、アソコか?って胸を躍らせたトコロ
は、しかし焼き鳥の屋台だった。もちょっと先かな?って思いアクセルを踏み込んだ瞬間、白
い蛍光灯に照らされて妖しい輝きを放っている、ヤケにキレイなガラスケースが目に付いた。
潰れた総菜屋か?と考えた瞬間、車の進行方向からは死角となる部分に、黄金色の物
体を見た様な気がした。そう言えば、まあ女王様は『何にも、肉が置いてない肉屋』と言って
いた。まさかでもココじゃないだろ。ココは潰れた総菜屋だよ。って思いながらも、潰れた総
菜屋なら何故電気がついている?と、コナンの様な直感が閃き、引き返してみると、先程の
黄金色は、なんだかフライっぽいモノに見えた。
ココなのか?ココで良いんですか?と、決して答えが返ってくるコトの無い、空虚な問いを
自分自身に繰り返し、再びリフレインされる『何にも、肉が置いてない肉屋』と言う、まあ女
王様の言葉に背中を押され、車を降りてみるコトにした。幸い辺りには人影が無い。もし違っ
た場合、『あれ〜っ、このガラス、珍しいなぁ。ブツブツ』等と独り言を呟きながらソノ場を立ち
去る、何てコトする必要は、もちろん無さそうだ。
店内に入ってみると、ホントに死角になる様に計算し尽くされたとしか思えない場所の、
パソコンラック並のスペースに、それらはあった。まあ女王様の話では、メンチカツとコロッケ
とレバーフライがメインの店と言うコトだったが、それしかなかった。いや、正確には2段構成
になっていた下の段に、ポテトサラダ等があったのだが。
なんかフツー、トンカツとかハムカツとかウズラ卵の串揚げとかありそうじゃないですか。
恐るべきピンポイントメニュー。しかし今回はコレらを買いに来たのだから、何も言うべきでは
無い。店の正面を向いて、既に主役の座を明け渡したコトにマダ気付いていない様子のガラ
スケースを見てみると、1度も肉なんか陳列したコトありません!って言ったら誰もがたやす
く信じ切れる程にクリーン♪クリーン。なにもかもにも呆気にとられながらメンチカツとレバー
フライを頼むコトにした。
パソコンラック並のショーケースの奥には、一体何のタメですか?と言う疑問が溢れ出す
のを押さえきるコトが不可能な程の広大なエリア。昔はこの厨房(らしきトコロ)も、現在は空
になっているショーケースを埋めるために活躍していたのかも知れない、と言う平凡な想像
を働かすのがやっとである。
その広大なエリアの片隅にラジカセを発見したなぁと思ったら、ドコからともなくコノ店の主
であろう、カーサンが視界に飛び込んできた。前もって、まあ女王様からスーパーメークだと
は聞いていたのだが、予想を上回る出来。人って言うよりも、1枚の浮世絵が風に吹かれて
登場してきたのかと思った。
何から何までが浮世離れしているコノ店の(ホントに)片隅で、自分を試す様に注文をして
みた。それは非常にスムーズな流れの中で行われていたように思ったのだが、お釣りを貰
う時、『ごめんね、時間掛かっちゃって。』と、全く予想だにしない言葉が発せられた。
これで時間が掛かっているって言うのなら、フツーの状態ならば、お金を出した瞬間にお
釣りが出てきそうである。客が財布を開けたソノ一瞬の内に、客が出すであろう金額を予想
するのだろうか?何だったら、お金を渡す前にお釣りが来るのかも知れない。もしそうだとし
たら、ウルトラクイズの早押し問題の時には、是非一緒のチームになりたい。って言うか、
お釣りが発生しない様にキッチリ渡せゴルァ!ってコトなのだろうか?多くの突っ込みドコロ
と、幾つかの謎を抱えたまま、店を後にした。
まあ女王様が、『熱々を車の中で頬張る。』と言っていたのを思い出し、用事もあったので
近くのTSUTAYA迄車を移動した。早速メンチカツを食べる。熱々を通り越して、口の中がヤ
ケドしそうな程であった。一口食べる毎に口の中でハフハフ。あっと言う間に車のウィンドウ
が曇る。何か変なコトやってるんじゃない?って思われそうな感じがして冷や汗タラリ。
味の方は手作り感バッチシで良い感じ。欲を言えばタマネギをもうチョット炒めて欲しかっ
た。若干ソースをかけたくなる。そしてモヒトツ買ったレバーフライ。とにかくレバーフライって
食べ物があるコトを初めて知ったし、一体どんな味がするんだろう?と、はやる心を抑えなが
ら食べてみると、うんめーっ!です。他に言葉はありません。レバーってフライにすると、こん
なにもウマイものだったのか!と認識を新たにした次第。貧血気味だったコトが、ナイスアシ
ストしたのかも知れません。
今迄、ネットで色々な食べ物を知って食べてみたけれど、ココまで味覚とハートをキャッチ
されたのは初めてです。こんな食べ物を紹介して頂いて、まあ女王様に感謝すると共に、
B食倶楽部やってて良かったぁ!と心から思いました。
さて、今回買わなかったコロッケの味と、普段のお釣りを渡すスピードを確認するため、
近い内にマタ行くコトは確実。って言うか、顔見知りになる恐れアリ。
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