秋田市内中心部に、イカス洋食を提供してくれる店があると聞いたB食クラバーは、早速どう言う店か調査を開始してみた。千秋公園のお堀を挟んで、広小路の対岸付近にソノ店はどうやらあるらしい。
店の名前はパセリ。洋食のみならず、和食であっても料理の付け合わせと言うか、ワンポイントなアクセント的に欠かすコトの出来ない、マサにオールラウンドな緑色の植物を思い出さずにいられない。
パセリと言うとツイデに、美しいハーモニーを奏でて聴く人の心を魅了せずにはいられない、サイモン&ガーファンクルが歌って有名になった名曲、スカボローフェアも思い出してしまう。
♪Are you going to Scarborough Fair
♪Parsley, sage, rosemary and thyme,
パセリ・セージ・ローズマリー・タイムと一番最初に聴いた時は、こんなにハーブの名前バカリ挙げ連ねて、ヒョットしてコノ人腹ペコか?とか思ってしまったりしたモノだが。
更にツイデにパセリと言うと、社会人に成り立てのB食クラバーに、パセリを食べるようにと強要して来たO先輩の気持ち悪い笑顔も思い出す。
新入社員歓迎会だか何か、マダそんなに誰とも仲良くなっていなかった頃、良い感じに酔っぱらったO先輩がB食クラバーの前に座り込み、ホボ片づいているB食クラバーのお皿を指さして、『マダ残ってるじゃないの。チャンと食べなきゃダメじゃない!』とか言って、ソレ1つダケ残っていたパセリを指さし、オラ、食わなかったらどうなるか解ってんだろうな!と言うオーラを無言の内に醸し出してB食クラバーにプレッシャーをかけていた。
ソレまでパセリって言うモノは、西遊記に於ける猪八戒か、ロバートに於ける山本ぐらい、あってもなくてもドッチでも良いかなーって感じの存在でしかなかったのが、突然乗り越えなければならない高い高い壁に。
コレを食べなければ今後、コノ会社の中でB食クラバーは言うコトを聞かないヤツ!とか言う烙印を押され、回り中から総スカンを喰らってしまうかもしれない。そうなったら最後、入社したバッカリのB食クラバーの将来は、早くもお先真っ暗だ。
パセリを食べるべきか、ソレとも新天地を求め退職願を書くべきかと考えたホンの一瞬後、O先輩は『美味しいのにぃ〜』と言ってパセリをひとつまみした後口に入れたかと思うと、あっと言う間に向こう側の、ヤタラと盛り上がっているグループの方へ行ってしまった。
あっけにとられたB食クラバーは、只々ソノ場所で立ちつくす。(って言うか座っていたんだケド。)パセリを食べなくて済んだし、言うコトを聞かないヤツとも思われなかったらしいと、ホッと胸をなで下ろす。
しかしコレ、確実に詰まんねーヤツ!って思われたろうなーと、そんなコトの方が気になってどうしようもないB食クラバー。その後、O先輩とは職場の至るトコロで接点を持ったが、結局最後の最後まで腹を割って話せる仲になれなかったのは、ヤッパリ第一印象によるものだろうと思われる。
そんなコトを思い出しつつ、パセリへとランチに出掛けてみた。
地図で確認した辺りを歩いてみたが、ソレらしき店は見つからない。一瞬、アレ?何て店だっけ?と、店名まで忘れた様な気分になってしまうのは、やっぱりパセリって言う名前に対してB食クラバーが抱いているイメージと、全くの無関係では無いだろう。
ココじゃぁ行き過ぎだよなーと振り返ってみると、広小路に面したトコロから角を曲がって少し歩いた場所に、パセリはあった。通りに面して、じゃなくって、少し曲がったトコロにあるって言うのも、ますますB食クラバーが抱くパセリって名前から来る印象にピッタリだよなーと思いながら、ドアを開けてみる。
白と黒の落ち着いた印象の店内。大きめの黒いテーブルが数卓とカウンター。天井を見ると、蛍光灯に(恐らく)和紙で出来たカバーがかけられてている。コノ店内の雰囲気では、ゴハン食べた後油断すると眠くなりそうだよなーと思いながらメニューを広げる。
本日の日替わりランチが、ふわとろオムライス・衣さくさくカキフライ・あつあつ牛丼・若鶏の唐揚げおろしソース・和風ハンバーグおろしソースと5種類もあった。金額はどれも\880。ドレもコレも食べてみたくてしょうがなく、当然のコトながら迷いまくる。こう言う時は大概金額も決め手の一つになるのだが、全部同じ金額では選ぶポイントにもなりはしない。
オムライスと唐揚げの、ドチラにするか悩む。オムライスは『ふわとろ』で、唐揚げは只の鶏じゃなくって『若鶏』だ。しかも、おろしソース。最終的にはソノおろしソースが決めてとなって、若鶏の唐揚げを頼むコトにした。
改めてメニューを振り返ってみると、『ふわとろ』だの『あつあつ』だの『さくさく』だのと、妙にコノぉ何て言うかメニューを見る人間の食欲をソソるシズル感タップリの冠が付いていて、ドロンジョを演じる深キョンの如く悩ましい。パセリのメニュー名を考えた人は、電通辺りの一流コピーライターなんじゃないだろうかと思わずにはいられない。
若鶏の唐揚げを頼んでみたが、おろし以外にもタルタル・デミグラスと3種類のソースが選べると言うコトで更に迷う。おろしソースが決め手となって若鶏の唐揚げにしたハズなのに、一体何を迷う必要があるというのだろうか?と思いながらも、チトお腹が空き気味だったので、サッパリしたおろしソースよりも、コッテリしているであろうタルタルソースを選んだ。
チナミにコチラ、パセリのおろしソースには玄米黒酢が使用されており、更に揚げ物には大豆胚芽の油を使用しているらしい。ソノ効果でコレステロールの吸収を抑えるコトが出来るのだとか。最近健康に気を使いたい人が増えていると思うが、なんとも嬉しい心遣いだ。
若鶏の唐揚げタルタルソース添えが到着した。食べやすい大きさの唐揚げが6ヶ、皿の上に乗っかっている。大きめのお茶碗と言うか小さめのドンブリに入ったゴハンとみそ汁に漬物が付く。(サラダと果物も!)コレを見た瞬間、アレ?ココって洋食屋じゃなかったっけ?と言う小さな疑問が、B食クラバーの更に小さな胸に沸き上がって来た。
良く見ると料理はお盆の上に乗っかっているし、箸で食べる感じだ。ヒョットして洋食屋じゃないんだろうか…と思えて来た。って言うかソモソモ、一体何故パセリのコトを洋食屋だと思ったのだろうか。
改めてメニューを見返してみると、オムライス・ハンバーグ・カレー・チキンカツ・ナポリタン・ペペロンチーノなど典型的な洋食の他に、おぼろ豆腐・ナス田楽・湯葉のお刺身など、和風の料理も多いコトに気が付いた。
コノ様にイカス料理を出してくれる店を、和食屋とか洋食屋とか分ける必要はない。イカス店はイカス店だ。そう言えばヤングだった頃のB食クラバーは、映画とか音楽とかのジャンル分け制度に疑問を持っていたんだよなーとか思い返し、母娘であろう店員さんが、笑顔でイカス料理を作ってくれる店、ソレがパセリだとB食クラバーは思うコトにした。
トコロでコノ店パセリでは、ランチだけではなくて夜についても\880前後で食事できると言うのがありがたい。ランチが美味しくて良いなーって思っても、夜になるとメニューがガラリと変わったり、飲み屋にチェンジする店が意外と多いので、派手にナイトライフをエンジョイする機会の少ないB食クラバーにとっては非常にありがたいお店だ。
コレからはパセリと言う言葉を耳にした時、真っ先にコノ店のコトを思い出すに違いない。