謎のRさん改めクラバーRさんと先日、キッチンふじみへと出掛けた。注文した料理が出てくるまでの間クラバーRさんが、キッチンふじみの店内の雰囲気が、子供の頃良く母親と行ったレストランに似ていると言って懐かしがっていた。
聞くとソノ店は男鹿の駅前にあり、出掛ける時には必ずと言って良い程寄って、決まって天ぷらうどんを食べていたらしい。クラバーRさんが語る懐かしい話を聞き、B食クラバーも一緒にソノ時間&空間にタイムスリップ&ワープ。クラバーRさんの想い出を、疑似体験した様な気分になった。
ハード面で気になったのが、ヤタラと縦に長い店舗だと言うコトと、入り口に水槽があって、ソコで魚が泳いでいたと言うコトだった。縦に長い店と言うのは珍しい気がする。
『ビルとビルの間に挟まれ、それらのビルよりも昔から存在する老舗の細長い店は、人がすれ違うのも困難で、なんとかお客さんにも優しい作りの店に改造したい。…そんな願いを叶えるために、1人の匠が立ち上がった。』
等と、劇的なリフォームの前後を紹介するTV番組のナレーションが頭に浮かぶ。入り口にあったと言う水槽は生け簀だろうか?金魚ではなく、確かに魚が泳いでいたと言うコトであったので、もしかしたらお客さんから注文があったら、水槽の中の魚を捌いて提供してくれる、腕の良い板さんがいる店かもしれない。玄関の暖簾をくぐったら、『えぃ、ぃらっしゃいっ!!』と元気な声が、店内一杯に響く様な、そんな店だろうか。
無限に想像が膨らむB食クラバーは、耐えきれずに何て名前の店か聞いてみた。店の名前はファミリーレストラン園。…園。なんて思いっきりの良い名前だろうか。大概は園と言えば、楽園とか公園とか動物園とか、園と言う文字の前に、ソコがドンナ園なのかを指し示す単語がくっつき、名前で自己紹介をしている。園ダケではソコがドンナ場所なのか、説明するコトも難しい。既存のドンナ園でもない、或いは全ての園を包括していますよと言う意味で、シンプルに園と名乗っているのかもしれない。
ますますファミリーレストラン園のコトが気になったB食クラバーを、しかし制する様にクラバーRさんは言葉を続けた。自分が子供の頃のコトだから、今もある店かどうか解らない、と言うのだ。軽くダメージを受けたB食クラバーは、帰宅後早速インターネットで情報を探してみたが、コレと言ったモノにヒットしない。堪らなくなったB食クラバーは、とある男鹿方面に詳しそうな方に聞いてみるコトにした。
残念なコトにと言うか、その方は知らない様であったが、その方以外に、自分が知ってるよ!とか、知り合いに聞いたらトンカツが美味しいって聞いたよ!とか言ってくれる方々が出現。ファミリーレストラン園が、現在も存在し続けていると言う情報を得るコトが出来た。
そのコトをクラバーRさんに伝える。途端に瞳がキラキラと輝き出す。ソレを見て微笑みを返すB食クラバー。2人の間に言葉はいらない。次の行き先は決まった。♪2人の行き先は♪ひとぉつぅ〜
秋田市内は晴れ。しかし秋田市外へ出ると強烈な雪に見舞われると言う状況に遭遇するコトの多い、最近のB食クラバー。コノ日もそうだった。男鹿に行くために海岸線を車で走る。そのフロントウィンドウに、白い雪は強烈に吹きかけて来た。もう3月も1/3を過ぎようと言う頃なのに、好い加減雪にはソロソロ遠慮して貰いたい。
男鹿駅前に到着。いつもは店を探す場合、地図等を利用したりするのだが今回は、クラバーRさんが子供の頃に来ていた店だと言う心強さがある。迷うコトもないだろう。自然とクラバーRさんに従った。…クラバーRさんの記憶が間違っていたら、目も当てられないが。
久しぶりに男鹿の駅前に立ってクラバーRさんは、あ、このスーパーまだある!ココでコアラちゃん焼きを食べた!など、目に映るモノ全てが懐かしいと言った風情で歩き始めた。子供の頃の気分を甦らせているソノ様子は、とても楽しそうだった。そして程なく、ファミリーレストラン園は見つかった。
通りを歩いていて目に入ったファミリーレストラン園の看板。しかしソレだけでは肝心の、どの程度縦に長い店なのか解らない。ソノ全貌を知るためにB食クラバーは、4車線をまたいで道路の反対側へと行ってみた。目に映るのは、もの凄く細い建物であるハズ…。そう信じて疑わなかったB食クラバーの目に映ったのはしかし、特に細さを感じるコトのない、フツーの間口の店構えだった。
何でコレが縦に長いんだろう…?と、理解できないB食クラバーは、再び玄関前へと移動してみた。入り口の両脇には、料理のサンプルが並んでいる。ワリと時代を感じさせるソレらは成る程、クラバーRさんが子供の頃から現在に至るまで、脈々と続いているコノ店の歴史を感じさせるのに充分であった。
店内に突入。右から、厨房、カウンター、通路を挟んで小上がりがある。人がすれ違うのも困難な…って感じが全くしない広々とした店内に肩透かし。始めてきたクセに、あれぇ〜、何か違う店に来てしまったみたいだなぁ〜とか思っていると、例えば店が正方形だとすれば壁があるハズのソコに更に空間があり、ソノ向こうにもテーブルと椅子が並んでいた。
コノ目で見るまでB食クラバーは、縦に長い=細いだと思っていたのだが実際は、店2軒が縦に並んだ様な、そんなレイアウトだったのだ。勘違いと言うか、思い違いも甚だしい。思い込みはやめて柔軟な発想力を鍛えないと、自分の脳年齢が、ドンドン上がって行きはしないかと心配でならない。いや、もはや心配する必要も無いのかも知れないが。
店の長さを実感するため、せっかくだから奥へと向かう。コノ部分は右から、予約席の小上がり、テーブル、通路を挟んで予約席ではない小上がりとなっている。そのテーブル席へと足を進めた。
席に着き、店内の様子を探る。古めかしいテーブル。時間の重みを感じさせる木目の茶色。間接照明程度の明るさの店内など、確かにキッチンふじみを彷彿させるモノがある。キッチンふじみにて、ファミリーレストラン園を思い出したクラバーRさんの気持ちも、解った様な気がした。
店内観察バカリしているワケにもいかないので料理を注文する。さすがファミリーレストランを名乗るダケあって、その種類の多さには事欠かない。ラーメン、カレー、洋風な定食、和風な定食、サンドウィッチからアイスなどのデザートに至るまで、メニューは軽く100品を越える勢い。散々悩んだ挙げ句B食クラバーは、美味しいと聞いたカツ定食を注文。クラバーRさんは昔食べた天ぷらうどんと迷ったが、\580と言う低価格もあり、ランチにしてみた。後は再び、幼少時代へのタイムトリップへと話を咲かせる。
壁一面に大きく書かれた鶴の絵。カラーボックスに新聞・雑誌を置いている様子などは、クラバーRさんが子供の頃から変わらずある様で、懐かしさに胸を躍らせていた。洋風の、しかしやや時代を感じさせなくもないシャンデリアやランプ。そして、縦に長い通路を挟んで左右にボックス型の座席がある印象から、なんとなくココが列車の中の様に感じられて来た。そう思うと壁の中に窓があり、外には窓枠型に切り取られた、様々な景色が広がるかの様に想像できた。(…主にシベリアの。)
出て来たランチを見て驚く。とても\580とは思えない程量がある。ワンプレートに、メンチカツ、ハム、目玉焼き、キャベツ、スパゲッティサラダ等が山盛りになっている。そのインパクトが強すぎたせいか、カツ定食はフツーに見えたが、食べ進めていく段階で、ソレは目の錯覚だと言うコトに気が付いた。とにかく量が多い。普段、外食以外ではワリと少食なB食クラバーだが、2/3も食べ進めると、もうお腹一杯になって来た。カツ定食は\900と言う設定だが、量を2/3に減らして\700位で提供して貰えないだろうかとさえ思えてくる。
料理の方は、例えば洗練されていたりとか、ココが珍しいとかそんなコトはないが、伝統的な秋田の味付けのするシッカリした料理。秋田を離れて暫く経過した人が、ココに帰って来たらイチコロになりそうな、そんな印象を受ける。
そんな感じでイチコロになりかけたB食クラバーは、名残惜しいが店を出るコトにした。そう言えば入り口に水槽ってあったかな?と言うB食クラバーの問いかけに、あったよ。空っぽだったケド。と返すクラバーRさん。帰りがけに確認すると、確かに空の水槽があった。昔はコノ水槽に魚が泳いでいたのかと思うと、今は空なのが残念でならない。
変わるモノ、変わらないモノ。世の中には2通りのモノがあると思うが、変わらないモノのエネルギーを、確かに感じさせる店だった。