ニッポンのバーガー 匠味
Extra!

 

 

住 所

 

初めて食べた日
2003/10/05
TEL.

 

 

営業時間

 

前 説


 フト考えてみたら、最後に食べたのはイツのコトか解らないが、少なくとも年単位でファー
ストフードを口にしていないコトに気づいた。以前は何かあったらファーストフード。何もなくて
もとりあえずファーストフード。ってな感じだったのだが、コリャ一体どう言うコトだ!と思わな
くもない。そんな、ファーストフード界のモードに潔く取り残された格好のB食クラバーである
が、1枚の写真に目が釘付けになり、視線を逸らすコトが出来なかった。

 その写真には、『コレがニッポンの味。コレが技の冴え。』と、日本人ならば誰もが心をくす
ぐられるに決まってる文句で宣伝されているハンバーガーが写っていた。その名も『匠味』。
戦後、日本が国際社会に復帰するに辺り、あらゆるジャンルで海外には勝てなかったが、
活路を見いだしたのが、技術革新並びに技巧を施した工業分野。

 物量に対し技術力で勝負を賭けると言うのは産業のみならず、スポーツ界に於いても同じ
コトが言え、バレーボールならサインプレー。野球は細かいインサイドプレー。サッカーなら
短いパスを繋ぎ、ラグビーなら相手と接触する前に次の攻撃を展開する等、体格に任せて
力一杯向かってくる相手に対し、どの競技もテクニックで応対している。柔よく剛を制すと言
う、柔道のスピリッツに起源があるのかも知れないが、技術力=日本と言うのは、あながち
的はずれな表現では無いだろう。

 とにかく、そんな技術力を持った日本人が、西欧食品の代表選手とも言えるハンバーガー
に対して技を振るったと言うから楽しみで仕方ない。今迄に食べたコトのあるハンバーガー
とは、ひと味もふた味も違うハズだ。また、違わなくてはなるまい。その違いは写真を一見
したダケでも明らかだ。まずはソノ大きさ。ビッグマックぐらいの印象が窺える。…?日本の
技ならばモット小さいハズだが、ま、コレは良くある、写真と実物は全然違うってヤツだろう。

 一番の違いは金額に表れている。ノーマルの匠味が\580で、チーズ入りが\640。通常
のハンバーガーの2倍近い金額のそれらは、シャア専用と言われれば納得するしか無い程
の説得力を持つ。(B食クラバーだけかと思われますが。)早速買いに行こう!と思ったが、
販売店舗限定商品と言うコトで、秋田県内では本荘市の店舗でしか販売しない様だ。

 B食クラバーの住むトコロから本荘市迄は車で約1時間30分程掛かるのだが、匠味だけを
食べるためにコノ距離を移動するのは辛い。以前クラバーKは、まだ秋田県内に吉野屋が
無かった頃、牛丼を食べるダケのために仙台迄真夜中の東北自動車道を疾走したコトもあ
る猛者だが、さすがにソコ迄の気合いは無い。本荘方面に、他のB食も兼ねて行くしかない
なとプランを練っていたトコロ、女王様の御友人ちゃあさんより次の様な情報が寄せられた。

 『10/1より(秋田市内の)広面店でも販売開始!』

Comment


 その情報を得たのは10/1平日の午後。突然色めき立つB食クラバー。仕事中ではあるが
モハヤいても立ってもいられない。脳内情報の80%以上を匠味が占め、仕事のコトなど何一
つ手に着かない。朦朧とした意識の中、ついついクラバーMさんに話をしてしまった。すると
クラバーMさんも今迄に無い食いつき具合で興味を示して来た。コレは行かねばなるまい。
その日、夕方の仕事上がりで、モスバーガー広面店に向かうコトにした。

 なるべく早く仕事を切り上げ夕方のラッシュアワーを切り抜け、店に着いたのが18:20頃。
店の前に、特に目に付く幟などもあるワケでなく、一瞬不安になったが、玄関に置かれた黒
板に『本日2時より匠味販売開始!』と書かれていた。ちゃあさんの情報に間違いはない。
揚々とカウンターに向かい、店員と対峙した。

 店:『ようこそいらっしゃいませ。新発売のジャンバラヤバーガー如何でしょうか?』
 B:
(何でいきなりジャンバラヤなんだよ。と、それには聞く耳持たず)『匠味下さい。』
 店:
(突然遠くを見る様な眼差しで)『っあ、申し訳ございません。本日は売り切れました。』
 B:
(顔面蒼白になりながら)『何時頃売り切れたんですか?』
 店:
(無表情なスマイルで)『2時からの販売となっております。』
 B:
(ん?受け答えがおかしい?と思いながら)『いや、何時頃売り切れたんですか?』
   
(と再び同じ質問を繰り返す。)
 店:『一時間程前に売り切れました。』
(やはり無表情なスマイルで)

 一瞬、日本語が通じない方なのかと思ってしまったが、おそらくマニュアルで質問の順番
さえも決まってしまっているのだろう。店員にしてみれば、チャンと順番通りに質問して下さ
いと言いたいトコロなのだろうが、それにしても14:00から販売を開始したモノが17:30に売り
切れてしまうとは!匠味を食べるために必要な距離は短くなったが、時間だけはどうにも出
来ない。とりあえずその日は諦め、日を改めてチャレンジするコトにした。
(結局その日は店員の
思惑通り、2人共新発売のジャンバラヤバーガーを食べた。美味しかったから良しとすべきか。)

 迎えた日曜日、今度はクラバーKと共に出掛けるコトにした。運悪くクラバーKは、前日に
モスバーガーを買っており、その残りを朝食べたバッカリだと漏らしていた。が、匠味のコト
は知らないらしい。どう言うモノか説明したトコロ、やはり良い食いつき具合で興味を示して
来た。ニッポンの技と言うくだりが人を惹き付けるのだろうか。

 14:00丁度に着くのも見え見えなので、14:30頃に着く様に出掛けてみた。すると今度は、
店の壁一面を使って匠味の広告が貼られていた。初日は間に合わなかったのだろうか?
更に、『1日10ヶの限定販売です。』と書かれていた。店舗が限定されている上に数量迄限
定されているとは。限定尽くしのコノ一品。開幕当初のJリーグのチケットを思い起こさせる。
見に行きたい人は一杯いるのに、客席が少ないため、チケットの販売枚数が限られてしま
うと言う、当時の過剰な迄の熱狂ぶりが脳裏をよぎる。

 1日10ヶと言う注意書きが、我々を少々弱気にさせたが、ココまで来て黙って引き返せる
ワケも無い。僅かな可能性に賭けて、カウンターに行ってみた。対峙するのはコノ前と同じ
店員。コチラのコトを覚えているのかどうか解らないが、今度は『匠味バーガーいかがです
か?』と聞いてきた。まだあるらしい。ホッと胸を撫で下ろすB食クラバー&クラバーK。元々
匠味を食べに来たのだから望むトコロである。2人揃って匠味を頼んだ。

 すると、『コチラの商品、出来上がる迄に10分程掛かりますが…。』と言ってきた。店舗限
定、数量限定の上に時間迄掛かるとは!(ついでにお金も。)しかしコレもニッポンの技を堪
能するためなのだから仕方ない。逆に10分で味わえるのなら良しとするか!とタマには珍
しくポジティブシンキング。

 お腹を空かせながら待っていると、ようやく匠味が到着した。びっくり。写真で見たとおり
のビッグマックサイズである。小さいハンバーガーの中に精密な技巧が施されているモノだ
とバカリ思っていたのに。ふとトレイを覗いてみると、名刺の様なモノが置かれている。何か
と思ったら、『本日の製造責任者』と言うコトで、作った人の名前が載っていた。調理するス
タッフも厳選されていると言うが、匠味を作るコノ人の腕前こそ匠と言ったトコロか。

 海外でハンバーガーを食べたコトのあるクラバーKは『アメリカのハンバーガーみたいだ。』
と言った。残念ながらB食クラバーは海外でハンバーガーを食べたコトがないが、言われれ
ばそうとしか思えない程の説得力がある。

 ハンバーグはオージービーフの赤身。1つ1つ手で捏ねたパン。国産大豆、小麦と天然水
を使用したタレ。ハンバーグ、タマネギ共、あたかも炭火で焼いたかの様な風味がある。成
る程、外見はアメリカでも、全てに日本の技術を感じる。匠味と言う名前も決してオーバー
なモノでは無い。

 ビッグマックサイズの上、中身もギッシリ詰まっているので、全て食べ終える頃には結構
お腹も膨らむ。おやつ代わりに食べてみようとか、軽く食事をしたいんだケドって人が食べる
のは避けた方がよかろう。

 先程の名刺を更に良く見ると、下の方にナンバリングがされており、クラバーKとB食クラ
バーの分で#9、#10であった。最後の商品をギリギリで食べるコトが出来たのである。ラッ
キーとしか言い様が無い。気になってレシートを見ると、B食クラバーが匠味を頼んだ時間は
14:26。販売開始から僅か26分で、1ヶ\580からのハンバーガーが売り切れるとは。世の中
不況と声高に叫ばれているが、飽食日本、まだまだ健在の様である。

匠味 \580  匠味(チーズ) \640