店  名
 西宮家 レストラン北蔵
食べた日
2006/10/22

住  所
 秋田県仙北市角館町田町上丁11-1
営業時間
9:30〜18:00

電話番号
 0187-52-2438
定休日
無 休

洋食屋のデミグラスハンバーグステーキ
洋食屋のデミグラスハンバーグステーキ
懐かしくておいしい洋食屋のハヤシライス
サラダ
前  説

 角館で思い浮かべる言葉と言えば、みちのくの小京都だろうか。過去に何回か、映画やTVのロケ地になっており、武家屋敷や枝下桜なんてぇモノも、もしかしたら全国的に有名なのかもしれないと、秋田県民的には思ってみたりする。

 と、一般的に角館の表層的なイメージと言えばコンナ感じだろうが、B食クラバーにとっては違う。B食クラバー家の隣には、どう言う繋がりだか今以て整理できていないが、どうやら親戚だと言う家があって、その、隣の家の親戚だと言うB食クラバーと同じ年頃の子供が、長期休業の度に遊びに来ていた。(隣の家に。)最近はメッキリご無沙汰しているが、一体今は、何処で何をしているのだろう。って、聞けば解るんだろうケド。

 その子供達が、B食クラバーの知らないTV番組の話を突然し始め、アニメの主題歌とか歌ったりして楽しんでいるのだ。さっきまで一緒のテーマで笑い合い、盛り上がっていたのに、イキナリ彼らとB食クラバーの間には、目に見えない壁が出来たかの様に感じ、寂しさで胸がいっぱいになる。

 目の前で繰り広げられているコレは一体何なんだ!と、B食クラバーは整理できずにいたが、どうやらソレらTV番組は、通常秋田県では受信できないTBSの番組だと言うコトが解った。当時は秋田県に民放が2局しかなく、見たいTV番組があっても我慢するしかなかったのだが、岩手県から電波が溢れてくるらしい、県境に程近い角館では、ソノ恩恵に授かるコトが出来るらしい。

 一気に角館に行きたい欲が高まって来たB食クラバー。いつも遊びに来て貰っているんだから、タマにはコチラから遊びに行くのも良いだろうと思って親に言ってみたが、そりゃぁ〜ダメだと軽く一蹴と言うかいなされて、その話題はそれっきり終わり、2度と繰り返されるコトは無かった。一体どんな理屈でダメなんだ!と当時は思ったモノだがよくよく考えてみると、その子供と自分が、一体どう言う関係なんだか解らない。

 B食クラバーの家と隣の家の親戚関係だって、確かウチのバーサンと隣のトーサンがいとこ同士だとか言う、B食クラバーの世代まで下がってくると、既にコレと言った関係って無いんじゃないの?って位あやふやなモノで、更に隣の家と角館の子供達がどう言う関係なんだかサッパリ解らない。隣の家に、B食クラバーと同じ年頃の子供がいるワケでもないのだ。どう言う経緯でウチの隣に遊びに来ていたのか?今となっては不思議で不思議で仕方ない。そんな親戚(?)関係だから、今となっては音信不通なのだが。

 とにかく、B食クラバーにとって角館とは、みちのくの小京都でもなければ映画のロケ地でもなく、TBSのTV番組が見られる魅力的な土地であった。しかし、見るコトが出来ずにいる内に、その土地への興味も自然と薄らいでいった。


Comment

 そんなワケで、B食クラバーの角館への興味が再び湧いて来たのはワリと最近の話。枝垂れ桜や武家屋敷もそうだが、このトコロのB食クラバーを動かす最大のテーマはモチロン食欲!美味い店が角館にあると聞けば、出掛けずにはいられない。もう1軒、違う店とどちらに行こうか迷ったが、取り敢えず今回はコチラにしてみた。

 西宮家って言うのは関ヶ原後、秋田の藩主たる佐竹氏と共に秋田に入って角館を任された、秋田佐竹本家の直臣たるエリート武士集団で…。とかそんなコトは、他の観光サイトなどに沢山載っているし、ソチラの方が詳しいし、間違ったコトを書くと、B食クラバーの無教養さを披露するコトになるし、お恥ずかしい。

 とにかく現在は、明治時代に造られた重厚な母屋や各種の蔵なんかを一般に開放。西宮家に伝わるお宝を展示したり、漬け物を販売していたり、そうして訪れる人々のために、レストランも併設している。このレストランが、明治・大正ロマン溢れる情緒の中で、ハイカラな洋食を提供していると聞き及び、以前から行ってみたくて仕方なかったのだ。

 多分店イチオシで、色々なメディアで紹介されているのは、オムライスかハヤシライスだと思う。B食クラバーもご多分に漏れず、オムライスが美味しい!と言う評判を一番最初に聞いた位だ。そんなワケでココに来たらオムライスを食べよう!と思っていたのだが、当初予定していた到着時間を大幅に過ぎていたため、お腹の虫が今を盛りと鳴いている。コノ空きっ腹具合にオムライスでは絶対に足りない!腹減りが祟ってコレから後の予定に支障を来すのが目に見えていたので、もう少し腹にたまりそうなハンバーグステーキにしてみた。

 ガイドブックなどによると、各蔵の棟木は秋田杉を、梁と床には栗の木が使われているとのコトだ。秋田杉を棟木にするのは秋田だから当然として、栗の木が建材に向くとは思いもしなかった。アレもコレも栗の木か!と思って辺りを見回すと、なんだか不思議な気持ちになる。

 そんなコンナの思いを巡らせていると、料理がやって来た。白い皿にデミグラスソースの色が鮮やかに浮かび、食欲をそそる。柔らかいハンバーグにナイフを入れ、一口大に切り取った後で口の中に入れると、それはそれは濃厚な…とか書いたりしてみたいが、現実はそうはいかない。お昼を過ぎた時間に到着したせいで、空腹が限界に達していたB食クラバーは、例えて言うなら散々『待て!待て!』と繰り返された後、ようやく『良し!』と言われた犬の様に、他のコトには脇目もふらず、一心不乱に食べ始めてしまった。

 一体ソレが、時間にしてどれぐらいのモノだったのかは解らない。が、ココでハンバーグを食べた人の短時間記録十傑には入るだろうとの自負がある。その様は、あたかもまるで、カレー一杯を5秒で食べきり、『カレーは飲み物である。』との名言を吐いた、ウガンダトラをの姿に似ていたかもしれない。ハンバーグも飲み物に近いかもしれないと、コノ時のB食クラバーは思ったが、コンナの名言でも真理でもなんでも無いやと、自分の底の浅さに呆れ果てる。

 殆ど味わうコトもなく食べ終わって店を後にしたのだが、ココにはスタンダードな洋食メニューの他に、きりたんぽの肉詰めライスコロッケ・稲庭うどんのボンゴレ等の、地元の食材を利用した野心的なメニューもある様だ。今度はそれらをジックリと味わってみたい。もちろんハンバーグだってユックリと味わって食べなければ、作ってくれた人に失礼というモノだ。

 西宮家には母屋・文庫蔵・ガッコ蔵・米蔵・前蔵と幾つもの蔵があって、色々なモノを展示しており、更に広い庭で風情を楽しみながら、ノンビリと過ごすコトも出来る。予約をすると、矢ガスリの着物を身に着けるコトも出来るらしい。可能ならばコノ格好をして、『少尉っっっ!』と涙ながらに叫んだ後、『好きでしたよ。もう、ずっと前から…。』なんて言われてみたい。

 と、今回はホントに御飯を食べるダケの用事で来てしまったので、今度はユックリと訪れて、明治から大正へと続くロマンを満喫したい。