八千代

 

 

 

住 所

東京都中央区築地5-2-1 築地市場6号館

初めて食べた日
2003/10/25
TEL.

03-3547-6762

休み:日・祝・休市日
営業時間
5:00〜13:00

前 説


 この度、突然だが東京に旅行するコトが決まった。しかし、アマリにも時間が無さ過ぎたた
め、目的のコト以外には何もしたいコトが思い浮かばなかった。って言うか、他に何もしたく
なかったって言う方がより正確な様な気がするが、B食クラバーたるモノ、食べ物に関する
テーマは避けて通れるハズも無い。

 ココ数年、東京にはGWの旅行と、後は出張で何度か訪れる程度であった。あの店に行き
たい!とか思っても、日曜・祝日は休みの店も多く、GWでは訪れるコトが出来ないし、モチ
ロン出張ではソレ程の時間はとれない。

 地方に住むコトを苦々しく感じていたB食クラバーであるが、今回の東京旅行は普通の土
日を使って出掛けるコトになったので、行きたくても行けずにいた店に向かうには、持ってこ
いのタイミングである。

 数店舗をリストアップした中で、ココ1年位、急速にB食クラバーのハートをキャッチしている
のが築地市場。全国から新鮮な食材が大集合するコノ場所は、出入りの業者達がその仕
事を全うするためダケに存在しているのだと、東京に住んでいた頃のB食クラバーは思って
いた。何かを食べさせる店があっても、通常の3倍位のご飯が盛られている社員食堂の様
なものであろうと。

 それが多量な偏見に満ちあふれた、甚だしい誤解であると気づいたのは少し後のコトで、
間違いならスグに正して素直になれば良いのに、そう出来なかったのは若さ故の過ちか。
そんな感情も全てひっくるめて、ようやく自分を自然体で表現出来る様になったB食クラバー
は、今回の東京旅行で絶対に築地市場に行ってみよう!と思うに至った。

 東京都内で、B食クラバーとは比較にならない程食に人生を賭けている人が、より良い素
材を選ぶコノ場所で、そう言った人達に買われていく食材の数々は、サッカーに例えるなら
ば日本代表選手に匹敵する位のレベルにあるのだろう。素材の良さを知り尽くした人に食
べさせるために、素材の良さを知り尽くした人が料理を提供するのだから、それが美味しく
ないハズがない。

 数多あるジャンルの中で何を食べようかと思いを巡らしたが、考えついたのが、洋食・揚
げ物の八千代。普通なら寿司・刺身関係に走りそうだが、その店で出す車海老フライが食
べてみたくて仕方なかった。メニューの中に特大車海老フライと言うのがあり、とにかくソノ
大きさに度肝を抜かれるらしい。が、今回はコストパフォーマンスに優れていると言う、車海
老・カキフライ定食を食べて見るコトにした。本来の目的以外にもしたいコトが出来、ウズウ
ズしながら東京に出掛ける日を待った。

Comment


 晴れた秋の日、遂に、初めて築地市場を訪れた。とても仏教の寺院とは思えない佇まい
の、(どちらかと言うと、まるでヒンズー教のムスクを思わせる様な)築地本願寺を横目に辿
り着いた築地市場は、当たり前だが、秋田市民市場や秋田中央卸売市場、そして去年訪
れた札幌の二条市場や場外市場とも違っていた。

 とにかく人が多く、歩くコトもままならない。住んでいるトコロが違うからと言ってしまえばそ
れっきりだが、最新モードを取り入れたファッションをした方や、いかにも山の手のお上品な
奥様の様に見える人が、チョット油断すると簡単に服が汚れてしまう様なトコロを、平気で歩
いているのである。また、その様な方々が、立ち食いそば屋の様な牛丼屋や、ラーメン屋に
蟻の様に群がって、軒先と言うか、車道の片隅に置かれたテーブルとも言えない銀色の物
置の上で食べているのにも驚いた。

 途中、真っ昼間から良い感じに酔っぱらった方々とすれ違う。恐らく、今日の仕事が終わっ
て、仲間内で一杯やった後なのだろう。色々なモノの違いにとまどいながらも、ようやく市場
の正門に辿り着いた。

 正門と言うソコには車道のみがあり、特に歩道と言うモノは用意されていない。大型のトラ
ックが通るトコロを、邪魔にならない様に歩いて場内に辿り着く。場内は人と自家用車と特
殊車両が、まるで無軌道に行き交っているかの様であった。例えるならばフィフスエレメント
とかSWEPUで、自動車が列をなして空中を飛んでいる様な、そんな危うさと言うか、頼りな
さを感じた。目の前でいつ事故が起こってもおかしくない気配である。コレも市場の活気と言
うコトか。

 チョット迷いながらも、どうにか目的地のとんかつ八千代の看板を発見。店先を見ると、10
人以上の行列が出来ている。うわっ、ソンナに混んでいるのか!と思ったが、良く見ると混
んでいるのは両隣の寿司屋であった。両店共築地では有名な店である。もし寿司を食べに
来ようと思っていたら、あの人込みの中に紛れていたのかと思うと心なしかホッとする。が、
逆に何故八千代には行列が出来ていないのか、少し不安にもなった。

 暖簾をくぐると、6畳間程の空間が広がる。左右の壁にそれぞれカウンター風にテーブル
が設置されており、5名ずつの、計10名程が食事出来る様になっている。その中にポツポツ
と人が座っている。八千代には、B食倶楽部東京支部のMT&Eと訪れたのだが、そう言った
事情で、3人一緒に座るコトが出来なかった。他の人が食べるメニューもどんな感じか調査
したいB食クラバーとしては心残りであったが、コレも致し方のないトコロ。予定通り、車海老
・カキフライ定食を頼んだ。

 待っている間暇だったので壁を見てみると写真が貼ってあり、その中には渥美清が写って
いるモノがあった。他にも松坂慶子等もいた様な気がするが、少し古めの写真だったため、
ホントかどうか正確ではない。また、背景も店内の様子とは違う様に見えたので、渥美清が
この店に来たのではないかもしれない。いや、ハッキリしないので、来たのかもしれないが。

 待つコト数分、料理が到着した。シッカリ頭もくっついた車海老のフライが2尾と、カキフライ
が3ヶ皿に盛られていた。千切りキャベツとコールスロー、みそ汁とお新香付きである。車海
老の頭はどうしようか考えたが、どうしようも出来なかったので、文字通り頭からかぶりつい
てみた。口の中が血みどろになりそうだったが、パリパリした感じがタマらない。身に辿り着
くと、プリプリした感じがタマらない。天然の車海老とはコンナものか。カキフライも柔らかく、
ジューシーでベリグッ。

 カツ丼を食べたクラバーMTはもう1つだと言っていたが、とんかつ定食を食べたクラバーE
は、そのボリュームに驚いていた。2cm程の分厚さで、大きさも20cm位あったみたいだ。そ
のクセとんかつは非常に柔らかく、とても満足したと語っていた。この店はどちらかと言うと、
海老、カキ、キス、アナゴ等海のモノがメインの様だが、とんかつもイケるらしい。

 料理全体の量はヤッパリ多く、カナリ満腹になった。もう1度、車道しかない正門を、車の
邪魔にならない様に歩いて出て行ったのだが、不思議と中にいる程の人影はその通路に
は見あたらない。後から思ったのだが、世間の人は正門は通らずに、場外市場の方から
色々な店を見つつ、辿り着いていたのではなかろうか。B食クラバー3人衆は、市場の人達
から見ればカナリ危うい存在だったに違いない。

車海老・カキフライ定食 \1,350