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さて、能代方面でB食と言えば、言わずもがなの義兄登場である。コノ地域での活動に於
いて、最早彼の存在は無くてはならない。って言うか、本人的にはそんなコト一切気付いて
いないのだが。あくまでコチラが一方的に思っている辺り、B食倶楽部と言う組織を象徴して
いると言っても過言ではない。
いつものコトだが、お昼近くになると義兄が昼食を食べに行こう!と言って来た。モチロン
望むトコロではあるし、ハッキリ言ってイツモ義兄の奢りなので断るコトもない。だがコノ日は
何故か、(数日前からであろうか、)昼食はゼニスで!とガラにもなく決心していた。だから、
軽ぅ〜い調子でラーメンを食べに行こうと言って来た義兄の言葉を遮り、(自分1人で)ゼニス
に行きたい!と言ったら義兄は、イマイチぽかぁ〜んとした表情の後、そんなトコに行きたい
のか?と、アマリ抑揚のないトーンで喋った後、車に乗せてくれた。どうやら一緒に行ってく
れるらしい。予想外の出来事が発生したが、今回は甘んじて受け止めるコトにした。シメシメ。
車で10分位走ったトコロで、左手にポンポコ山と言う看板が見えて来た。この辺りに、狸の
形をした山がそびえ立っているハズ!と、ワケもなく拳を握りしめたB食クラバーだが、何処
まで目を凝らしても、見つけるコトは出来なかった。そうするとヤハリ、昔ココで人間と狸が、
お互いの生活圏を賭けて争ったのだろうか。しかし、アマリ深く考え込むと、女王様同様、
本来の目的地であるゼニスを見逃すコトになりかねないので、スグに考えるコトを止めた。
視線を右に移すと、ソコには何だかお洒落な建物があった。
ポンポコ山なんてモノが存在する、失礼だがハッキリ言って野趣溢れる環境にあって、こ
のスタイリッシュさ加減は如何なモノか。まるでドラ工もんの代表的な4次元ポケットアイテ
ムの1つである何処でもドアを使い、東京都港区海岸一丁目辺りにでも通り抜けてしまった
気分でもある。あるハズの無いモノがココにある、正に真冬に蜃気楼を見た気分でもある。
義兄の話によると、平日の昼はソンナ混むトコでもないらしい。…。は?何かおかしいなと
思って聞いてみると、彼は良く、家族皆を連れてゼニスを訪れるとのコト。チョッチョッチョチョ
ット待ってくれぃ!そんなに何度も来ているのなら、1度位B食クラバーを連れて来てくれたっ
て良いじゃないですか!何で今迄1度も無かったんですかぁっ!と、心の中で血の涙を流し
午後からの仕事手を抜いてやろうかと思いながら店内に入った。
外観通りに、店内も美しい。ポストモダンかアールヌーボーか。とにかく、店内各所にキラ
リとセンスが光っている。しかし義兄の予想とは裏腹に、店内は沢山の人でごった返してい
た。一体コレはどうしたコトかと思ったのだが、店の一画を使って、何かの展示会を開いてい
た。そう言えば店の前には、20台分位の駐車スペースがあるのだがほぼ埋まっており、で
も関係ない人が停めているんだろうと思っていたのだが、どうやら関係ある人だらけだった
様だ。
カウンターに座ったが、イキナリ男性店員が義兄の顔を見るなり挨拶に来た。続いてコノ
店のオーナーである女性も登場し、世間話を始める始末である。その様子からハンパじゃな
い常連度が想像できる。何げに話を聞くと、義兄の子供はココの、\4,000とかのスキヤキだ
かしゃぶしゃぶが大好きで、いつもソレをたべていると言う。
何ぃ〜っ!\4,000もするスキヤキなんて、社会人になるまで食べたコト無いぞ!って言う
かハッキリ言って今迄だって、片手で数えられる位しか食べてないんじゃ…。って思うと、自
分の生活の貧困さに自分自身で哀れみを感じ、先程までの怒りにも似た感情が、急激に冷
凍され、おさまって行くのを感じた。その冷え具合は正に、コレ以下には落ち様が無いと言
う絶対零度、アブソリュートゼロを体感した気分でもある。仕方ないので昼メニューで一番高
い、ステーキセットとか言うのを頼んで自分を慰めるコトにした。義兄は何とかのスパゲティ
を頼んだが、ソレも美味そうだった。
食事が終わってコーヒーが出たのだが、コレが1人に1つ、銀のお盆に乗ってやってくる。
コーヒーカップとクリーム、それに氷砂糖&コーヒーシュガーが入った入れ物が、なんだか豪
華な感じでやって来る。実は最初店に入った時、コノお盆がテーブルの上に乗ったお客さん
バカリで、あぁ、皆展示会を見に来たモノの、只帰るのは申し訳ないからケーキセットとか頼
んでるんだろうなぁとか思ったのだが、実はランチを食べた人全員にコノお盆が届くコトが解
った。何から何まで豪華な感じがする。
と言うワケで店を後にしたのだが、代金はモチロン義兄が払ったってコトは言うまでもない。
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