製作が発表された時には、果たして完成を迎える日が来るのだろうかと心配された作品ですが、監督、キャストの高齢も全く問題にならず、無事に公開の運びとなりました。ありがたや。30年前に公開された作品を、同じ監督、同じ主要キャストでリメイク！ってな作品です。

　ほぼ30年前と変わらない脚本に則って映画は進んでいくのですが、見終わった後の心象と言うか、ハッキリ言って映画の出だしからですね、何かこうイメージは掴めているんだけれども言葉にならない、漠然とした違和感が、スクリーンからジワジワと漂って来ます。例えて申しますなら映画が始まって盛り上がりも最高潮になった頃に、あれ？携帯の電源切ったかな？って気付く位の居心地の悪さとでも言いましょうか。

　もしかしてソレは角川春樹の個性だったのかもしれませんが、日本映画に新風を吹き込んでやるぜ！今迄の日本映画の構造を根幹から切り崩してやるぜ！と言った意気込み、野心と言ったモノかもしれません。

　映像のスタイリッシュさ、エッジ感、ビートと言った、前作の表層を覆っていたモノが根刮ぎ吹き飛んでいる様な印象と言ったら解りやすいかもしれません。ソノ分なんて言うんですか、日本映画的耽美さと言いますか、細雪以降の市川作品に見られる様な、そんな落ち着きが映画全体から漂ってきます。それってケド、前作とは対極にあるような気も。

　TV番組で見ると、全然他の同世代の人と比べて若く見える石坂浩二も、金田一の衣装を着てみると、ヤハリ重量感が。多分ソンナに変わらないだろうなと思っていた大滝秀治神主のイメージも違って、ヤッパリ30年経ってるんだなーと感慨も深くなります。

　あとアレですよ。菊人形の生首シーンとか、静馬の火傷顔とか、水面に2本足とかですね、30年の間にVFX方面の技術も飛躍的に進化しているので、その辺をもっと＆もっと！取り入れても良かったのではないかと。猟奇的で残虐なシーンでの刺激が、現代の目線で見ると物足りない気配が。

　一番の違和感の原因は、古くてひなびた旅館であるトコロの那須ホテルの建物にあるんじゃないかと今のワタクシならば思います。昔風には作ってあるんですけれども、ノックすると軽くバリって音がして割れそうな感じがするホテルの壁の安っぽい光の反射具合が、シベリア超特急の車両を彷彿させるのが全ての元凶なんじゃないかと。

　しかしコノ落ち着き具合＆耽美さと言うのは、八ツ墓村とか本陣殺人事件を作るにはピッタリ来るんじゃないかと思えたりもします。是非共ですね、続けてもう1作お願いしたいなとお願いしたい次第でゴザイマス。

　え〜、最後にですね、今回の事件に関しまして、恐怖のズンドコを目の当たりにした富司純子さんから魂の一言を。

　　『犯人さん、出てらっしゃい。』

　攻殻機動隊2。相変わらず蔓延する押井節。現実と虚構モノから一歩進み、肉体と魂の辺迄到達する孤高ぶり。攻殻機動隊が100パー頭に入っていないと理解不能。

　バトーは助演から主演に昇格。もし続編があれば次も主演なのか。或いは単なるその他大勢になるのか。

　監督自ら、『一度観たダケで解るワケが無い。』と語っているらしいが、ソロソロ一度観たダケで多くの人に受け入れられる映画を作って貰うワケにはいかないものか。ドリームワークスで全米配給も決まっているらしいが。

　え〜っと、やっぱり素子が好き。

　プロファイリングと犯罪心理を駆使しまくって、事件をより詳細に分析するアルパチーノは悪ふざけをしない古畑任三郎のよう。2人の違いは相棒の優秀さにあるのかと思ったが、他にも違いはあるようだ。

　白夜の地のホテルに、カーテンって無いんですか？

　モーラティアニーは若干石野真子似。ジョナサンジャクソンは結構バティ似。

　え〜、やっと眠れたと思ったら、あんな眠り方なんて嫌だ。