店  名
 寝覚屋半兵衛
食べた日
2006/09/02

住  所
 山形県鶴岡市大字馬町字枇杷川原74
営業時間
10:00〜18:00

電話番号
 0235-33-2257
定休日
毎週水曜日、第2火曜日

麦切り
麦切りアップ
漬け物
店外観
前  説

 生まれて初めて、鶴岡に出掛けるコトになったB食クラバー。だが何せ、山形には不案内。折角だから山形県内で何か美味しいモノを食べよう!と思っても、何を食べたらいいのかサッパリ思い付かなかった。

 山形で有名と言えばサクランボだが、サクランボ狩りには時期を外しているし、なによりサクランボは、秋田県から見ると鶴岡よりももっと遠くにある寒河江市の周辺が名物らしい。

 次に思い浮かんだのは蕎麦だが、コレは鶴岡より寒河江よりも先にある、山形市周辺のが有名らしい。美味しいモノを食べるコトが目的であれば、少々足をのばしてでもソノ周辺を回るのが正しい作法だが、今回の目的は別にある。ソレを果たしながらソバを食べるのは、日帰りと言う前提上ムリがある。いや、そもそも山形に行くのに日帰りと言う設定に、ムリがあるのかもしれないが。

 そんなワケで、鶴岡と途中にある酒田で何か美味しいモノを食べようと考えたB食クラバー。酒田では中華そばを食べよう!と、案外簡単に思い付くコトができたが、鶴岡では何を食べたらいいのかサッパリ解らない。

 コンナ時のためにネットがあると思うのだが、検索すると意外とマニアックな店に辿り着くコトが多い。初めて行く土地で、そんなに通好みな店に行くのは果たして如何なモノかと考えたB食クラバーは、それならばコテコテの観光地になっている様な、そんな王道の店に行こう!と考え、るるぶ山形なんかを開いてみた。すると、拍子抜けする程に、B食クラバーの興味を惹く店が、簡単に見つかった。

 山形県の鶴岡市では、麦切りという食べ物が名物であるとのコト。麦切りとは何かと言うと、蕎麦と言うのはそば粉で作られるモノだが、そば粉の替わりに小麦粉で作られるモノだと言うコトだ。コノ地域では年越しの時に、蕎麦よりも麦切りを食べる程だと言う。

 麦切りの説明を聞いてみると、うどんとの差はドコにあるのだろうと気になり、また、殆どの日本国民がソバを食べるであろう大晦日に、蕎麦ではなく麦切りを食べるのだと聞くと、どうしようもなく興味が広がった。るるぶによると、寝覚屋半兵衛と言う店が有名らしい。鶴岡ではココで食事をするコトにした。


Comment

 ちなみに全く関係ないが、寝覚屋半兵衛と言う名前を聞いてB食クラバーは、寝待ちの藤兵衛と言う人物を思い出す。司馬遼太郎の『龍馬が行く』の中の登場人物で、まだ頭角を現す以前の龍馬に心酔し、勝手に使用人の立場になって龍馬に付き従い、時には機転を効かせて龍馬を助けたりする格好いいキャラクターだ。

 しかしコノ人物は確か、架空の設定だったと聞いた様な気がする。寝待ちと言うのは、ターゲットが眠ったトコロでスリを働くと言う、コノ人物の生業から来た通り名なのだが。そんな、B食クラバーの勝手な思いこみも手伝って、寝覚屋半兵衛に行くのが楽しみで仕方ない。ニワカにB食クラバーの中で、今回の(日帰り)旅行の中でのメインイベントにまで上り詰める勢いだ。

 鶴岡での用事も済まし、後は帰るだけだが、その前に寝覚屋半兵衛で麦切りを食べなければならない。初めて行く店で迷いはしないかと不安で仕方なかったが、ソコはるるぶに載っている様な有名な店であるためか、道路脇に大きい看板が出ていて、全く迷うコト無く辿り着くコトができた。店もカナリ広く、駐車場には30台位停める事が出来そうだ。

 店内に入ると成る程、観光地の食事処に良くありがちなレイアウトになっている。こういうスタイルのが、大勢のお客さんを捌くのに最も適していると言うコトなのだろうか。正確に数えたワケではないが、テーブル席と小上がりで100人位は座れそうな上、2階席迄あるようだ。休日の昼間なんかはきっと、全ての座席がお客さんでイッパイになっているコトであろう。本日は、平日の夕方なので、他には1組のお客さんがいたダケであったが。

 メニューに目を通すと、麦切りとソバしかない。あれ?確か天ぷらもあった様な気がしたんだケド…。とか思って何度も見直してみたが、ドコにも見当たらない。少々物足りなさを感じるかもしれないが、ココは仕方ないと、麦切りのみを頼むコトにした。

 一体どの様な料理が来るのか、楽しみで待つ。程無く出て来たのは、真っ白い麺だった。うどんにくらべると少々細く、蕎麦よりは太い。蕎麦とうどんの中間の様な感じか。細めのうどんと言うと、秋田県民的には稲庭うどんを思い浮かべるが、稲庭うどんの様に平べったくはなく、断面で言うとアノ幅で直方体になった様な気配がある。

 店内の明かりに照らされてツヤツヤしている麺をさっそく口にする。滑らかですすりやすく、噛むと適度に感じられるコシの強さ。すするのが気持ちよければ、噛むのも心地よい。成る程、この辺りの名物で、年越しに蕎麦ではなく麦切りを食べる風習があると言うのも、頷ける美味しさだ。うどんよりも細いから食べやすいと言うコトもあるだろうか。

 聞くトコロによるとコノ店には120年の歴史があるらしい。ソノ昔、夜遅く迄働いていた人が食べに来て、店主も眠いながらも提供したトコロ、あまりの美味さに目が覚める程だった!と言うのが店名の由来らしい。

 同じ様に、あまりの美味さに感激したB食クラバーは、帰り道の2時間強、殆ど疲れを感じるコト無く家路に着くコトが出来た。美味しいモノには人を元気にさせる力があるんだなと、改めて感じた。