店 名
ハレルヤ

住 所

東京都新宿区百人町1-5-6 白萩ビル1F

初回訪問日
2003/05/05
TEL.

03-3200-0112

年中無休

営業時間
17:00〜0:00

前 説


 韓国料理と言うと、キムチと焼肉位しか思い浮かぶモノが無い程、B食クラバーの頭の中
は、現実同様に貧困であった。数年前、
秋田に韓国居酒屋がオープンした時、一体どんな
料理を食べさせてくれるんだろう!って期待しながら行ってみたが、食べたのはヤハリと言
うかの焼肉だった。

 他に食べたモノで韓国っぽいメニューと言うと、チヂミと韓国のり位しか記憶になく、でも
ヤッパリ焼肉がメインで、それらはサイドメニューの様な感覚であった。(B食クラバーだけか
も知れないが。)

 TVで見る限り、当たり前だが韓国にはもっと他に色んな種類の料理がある。コレらを味わ
うには、秋田から直行便も出ているコトだし、韓国に行くしかないのか?と思い、まだ見ぬ異
国の地に想いを馳せながら、堺しぇんしぇが料理を作って、ゲストに☆を貰う番組を何気なく
見ていた。

 すると、街の巨匠と言うコトでハレルヤが紹介されていた。そっか、秋田では食べるコトが
出来ないケド、ワザワザ海外まで行かなくても、東京に行けば食べるコトが出来るんだ!と
ニワカに色めき立った。

 …。ヒョットしたら秋田から東京に行くよりも、韓国に行く方が旅費とか安いのかも知れな
い、なんて計算も脳裏を過ぎらないではないが、行き慣れた土地でお気軽に楽しみたい。

 ってな風に以前考えていたコトを思い出し、2003年東京B食ツアーのファイナルは、ハレ
ルヤディナーで飾るコトにした。

Comment


 帰りの飛行機は19:55発なので、少しでもユックリ楽しむためにも、開店と同時に入店した
かった。そのため、16:30過ぎにJR新大久保駅到着。ココから多少道に迷いながら店を探せ
ば、丁度17:00の開店時間だろう!と気楽に考えながら新大久保の街を歩く。

 街の案内図を見ながら、コノ辺だろうと思った道に入って行く。すると、大きい道路を歩い
ている時には気付かなかったのだが、どうもパッと見、日本人らしからぬ風貌の方々が沢山
目に付く様になった。

 新大久保に韓国料理の店が多いのは解っていたのだが、道行く中にも韓国の方が多いと
は想像していなかった。って言うか、ちょっと考えれば誰でも解りそうなコトだが。頭は使わ
なければ、どんどん衰えて行くんだなと、嫌なコトを実感し、少々気が滅入る。

 程なくハレルヤ到着。ホトンド道に迷わなかったので、16:50位に着いてしまった。17:00迄
ドコカで時間を潰そうかとも思ったが、特にそんな場所も見当たらない。10分位のフライング
なら見逃してくれるだろう!と考え、店内に突入した。

 開店時間前なので、店内に他にお客はいない。隅のテーブル席に案内される。TVで紹介
されて以来人気が出ていると言うコトだったので、カナリの混雑を予想していたのだが肩透
かし。って言うか、この時間じゃ当たり前か。あるいは3月に青山に出来た2号店の方に流
れているのかも知れない。

 メニューには期待通りに、焼肉以外の韓国料理が沢山並んでいる。キムチとナムルが突
き出しとしてテーブルの上に。おかわり自由だと言われた様だが、ハッキリとは聞き取れな
かった。そう、コノ店の店員は韓国の方なのである。

 ダッカルビ、豆腐ステーキ、一応辛いモノ好きのため激辛チキン、更に珍しかったので、エ
イの刺身を頼んでみた。飲み物はもちろんビールである。以前、
焼肉ソウルで食べたキムチ
は、辛いと言うよりもしょっぱい感じがした。本場のキムチとはこう言うモノなのかと思ったの
だが、ハレルヤのキムチはしょっぱくは無く、替わりにやっぱり辛かった。と言っても、イキナ
リ舌を攻撃する様な辛さではなく食べやすい。思ったよりも優しい韓国料理に心も和む。

 真っ赤な、山盛り千切り野菜の皿が届く。ん?サラダなんか頼んでないぞ!と思ったら、コ
レがエイの刺身だった。もう一度メニューを読み返してみると、(和え物)と書いていた。わさ
びと醤油で食べる純和風の刺身を想像していたのだが、韓国料理は、日本料理とは少々
勝手が違う様である。

 野菜の山をかき分けて、エイの身を探し当てる。一口大に切られたそれを食べてみたが、
固めのイカと言うか軟骨と言うか、非常にコリコリとした食感であった。初めて食べる不思議
な味覚に感動を覚え、ダッカルビを作りに来てくれた店員に感想をもらしてみた。

 B:『エイの刺身ってコリコリした食感ですね。』
 店:(不思議な顔をして)『コリコリ?解らないです。』
 B:(あっ、そうか。海外の方には伝わらないか。と思い)『ちょっと固いですよね。』
 店:『固いですか!』

 と、不安げな表情をし出したので、どうしたモノかと思ったが、他にどうやって伝えたら良い
のかも解らないため、今迄のやりとりは爽やかに強制終了。目の前で作業が進められてい
るダッカルビへと話題を替えた。真っ赤なタレで焼かれている鶏肉や野菜達を眺めていたら
自然と、『辛そうですね。』と口からコボれた。店員はニヤリと笑いながら自信タップリに『辛
いですよ。』と言った。今回のコミュニケーションは巧くいった様である。

 注文した料理が全て揃ってから思ったのだが、テーブルに乗せられた皿の中身は、一つ
残らず真っ赤である。サムゲタンとか頼もうかとも思ったのだが、最悪18:30には店を出なけ
ればならないので止めるコトにした。それからは辛さとの戦いである。途中まではピリッとし
た辛さも舌に丁度良いと思っていたのだが、それも最初の内のみ。

 耐えきれなくなってビールを口にしても、ビールの中の炭酸が、辛さの援護を怠らない。口
休めになるモノは、突き出しのナムルしか存在しない。アマリの辛さに耐えかね、全身が悲
鳴を上げる。頭皮の汗腺も拡大し、脳天から汗が滴り落ちる。無限に上昇する心拍数。動
悸、息切れがすると共に脈拍も弱り始めたB食クラバーは、辛さから逃れたい一心で、韓国
風甘酒を注文した。

 ようやく訪れた平和。今日まで自分の身に起きた嫌なコトを全て許してしまえる様な、そん
な満ち足りた気分。しかしその後、赤い色をした皿には、2度と口を付けるコトはしなかった。
見て見ぬ振りが出来る、そんな偽りの香りがプンプンする平和であった。

 いつまでも長居をしていると、最終便のフライトに間に合わなくなるため、店を後にした。羽
田に近づくにつれて、先程迄の辛さも大分まろやかになり、何だか忘れられない口当たりと
なって再現されてきた。喉元過ぎれば何とやら、と言う俗人を戒める慣用句が頭に浮かんだ
が、自分は俗人なんだし仕方ない。来年もしハレルヤに来るのなら、今度はチャプチェとか
ケジャンとかコプチャンジョンゴルとかも食べてみたいなと、口をヒリヒリさせながら、月に照
らされた夜の飛行機の中で思った。