東京に住んでいたB食クラバーが秋田に帰って来てからワリとスグ、コノ店の情報は耳に入っていた。しかし、昼だけの営業時間と、日曜・祝日は営業しないと言うスタイルゆえ、店に行くコトは叶わなかった。また、チョット地図なんかを見てもイマイチ場所がハッキリ解らないのも理由の1つだった。
店の名前はマイスターフォーク。…マイスター。言わずとしれたドイツ語である。英語のmasterにも通じるmeisterと言う単語。主人・名人と言う意味以外にチャンピオンと言う意味もある。英語のmasterにソコまでの意味があるかどうかは解らないが。
ちなみに今年、2006年はドイツでサッカーのワールドカップが開催されるがドイツ語では、Fusball-Weltmeisterschaft と呼称される。Fusball(フースバル)=サッカー、Welt(ヴェルト)=世界、meister(マイスター)=チャンピオン、schaft(シャフト)=集合体(≒代表)。
代表によるサッカーの世界チャンピオン決定戦と言うワケである。更にWeltmeister(ヴェルトマイスター)を縮めてWM(ヴェーエム)と、普段は呼んでいる。英語のWorld Cupを同様に縮めるとWCとなって、ソレがワールドカップを指してるんだかトイレを指してるんだか解らなくなるのがツライ。
もちろんドイツにもサッカーの全国リーグがあり、そのチャンピオンはトロフィーでもカップでもなく、巨大な銀色の皿を手に入れる。ソレには、第1回目からの優勝者=meisterの名前が書き連ね続けられている。その皿の名は、Meisterschale(マイスターシャーレ)と言う。
料理とは全く関係ない話を続けたが、B食クラバーはマイスターと言う言葉からコノ様な事柄を連想する。世界中の人々が腕を磨き、技を鍛えた上で頂点を目指すべくしのぎを削る。その延長線上にあるカレーなのかと、無闇に期待も盛り上がる。
トコロで、meisterと言う単語からは色々と妄想が広がるB食クラバーであるが、フォークと言う単語からは特に何も思い浮かばないと言うのは如何なモノか。ドイツ語にも英語同様folkまたはforkと言う単語があるのならば、民族か食器って意味になるのだろうか。
んじゃぁきっと、マイスターフォーク=料理名人ってコトだろう!と、色々考えた挙げ句結局、何も考えずに思いついたのと、さほども変わらない意訳を勝手に心に決め、出掛けるコトにした。iタウンページで地図も確認したし、準備はバッチシである。
地図で見た感じでは、線路にかかる陸橋を越えた後、2つめの十字路を左折すれば程なく、マイスターフォークに到着するハズである。その通りにハンドルを進めてみたが、店らしきモノは見当たらない。もしかして、地図に載っていない細い道路を曲がってしまったのだろうかと思い、次の道路を曲がってみたが、ヤハリ見つからない。
結局グルッと回り込み、何か見慣れたトコ来たなぁーとか思って良く見るとソコはブルーナイルで、あぁ〜、また行ってみたいなぁ〜とか思いながら通り過ぎた後もう一度陸橋を通過し、今度は最初の十字路を左折してみると、ソコにマイスターフォークはあった。
最初に曲がった2つめの十字路から、今来た道を引き返してみればもっと早く店に辿り着けた様な気がするが、引き返すと負けの様な気がしてソレを躊躇っていた。時には意を決して引き返すコトも重要なのだと、そう言えば歴史も物語っていた様な気がする。引き返す勇気がコソ、必要なのだと。
店内は古い喫茶店の様なイメージ。と言っても古い喫茶店を目指している店ではなくて、本気で古い喫茶店。革張りのソファーの1部に切れている部分があるが、ソコをテープで補修していると言えば、どんな古さなのか解りやすい。
扉を開けてスグにテーブルに向かうと店員さんに呼び止められる。ココでは、各テーブル毎にメニューがあるのではなく、店内の一ヶ所にメニューが貼られているのだ。テーブルに座って、何にしようかぁ?とか時間をかけながら選ぶのに慣れているせいで、メニューの前で立ちつくしながら料理を選ぶってのは時間が足りない様に感じてしまう。『カラフルなカレー』と言うPOPに惹かれ、レッドカレーを注文してみた。名前からして辛そうなイメージがあったが、もう後には引けない。
注文を終え、席に着く。耳に心地よい音楽が聞こえて来る。ふとソノ方向を見ると、DIATONEのスピーカーがあり、カーペンターズの音楽が流れていた。DIATONEと言えば古くから、音質の良い、一流のスピーカーブランドとして有名だが、1999年を持ってソノ歴史にピリオドを打っていた。昨年末から新しい機種の販売も再開した様だが、DIATONEを使っていると言う一点ダケでも、ココの店主の、音に対するコダワリが感じられる。
カラヤンの本が置かれていたり、秋田吹奏楽団だかの賞状らしきモノが飾られていたり、カーペンターズからクラシックまで、音楽に対する造詣も、カナリ深いらしい。ちなみにB食クラバーは、カーペンターズ(に限らず大概のヒット曲について同様だが)を耳にすると、『あ、マタかかってる。』と、ドッチかって言うとチョットもう聞きたくないよ!とか思ったりもするのだが、コノ店で聴くカーペンターズは、全然嫌な感じがしなかった。むしろモット聴きたい!とか思ったのはヤハリ、オーディオ設備の効果によるモノなのか。
カレーの他にスパゲッティもあるコノ店では、全ての料理にサラダとコーヒーが付く。メニューは言葉だけが書かれていて写真はなかったので、どんなモノが出てくるのかワクワクしていたのだが、実際に出て来た料理には驚いた。ライスがドーナツ型に盛られていて、中心部分には半熟卵が置かれている。別皿のカレーを、辛いから少しずつかけながら食べて下さいと言うコトであった。
言われるままに、少しかけて食べてみる。確かに辛い。しかしソノ辛さは、他のインド料理店などの様に本格的なモノではなく、やはりベースは和風と言うか、店名にもある通りヨーロピアンなカレーである。しかしソノ中でもインド風のスパイシーさが感じられる。生粋のインド国民の方かと思って喋ってみたら、日本とインドのハーフだったとかソンナ感覚。(かえってよく解らない。)
レッドカレーはルーがサラリとしたカレーで、パプリカ、シイタケ、ピーマン、ムール貝、ナス、イカなどが入っている。レッドカレーが辛いなと思ったら、半熟卵を潰して口直しをする。次第に辛さに慣れてくると最終的には、ルーを全部ライスにかけて食べた。食べ終わる頃には汗だくである。今度食べる時は、最初ッからドーナツの凹んだ部分に全部のカレーをかけてみようと思った。もちろんカツカレーとかのフツーなトコも食べてみたい。
トコロでコノ店の名前だが最初、iタウンページで探しても見つからなかった。ようやく探し当てたソノ名前は、『フォーク』であった。一体どう言うコトなんだろうと思ったら、その答えと言うか原因らしきモノが、店に着いた瞬間に解った様な気がした。
店には何個も看板が付いているのだが、それぞれで名称が違う。
・ヨーロッピアン&カレー マイスターフォーク
・レストラン マイスターフォーク
・カフェ&レストラン フォーク
と、3種類もあるのだ。一体どの名称が正しいモノなのか、今度電話でもかけて確認しようかと思う。電話口の向こうで、『はい、○○です。』と言う○○の部分コソ、ソノ答えであるハズだ。