□テイクオフ


 それとは別にですね、恐ろしいコトがありまして、飛行機に乗る時は危険物を持ち込ま
ない様にとアレは金属探知器ですか。アソコを通るんですケド、まぁまぁいつも国内線に
乗る時の様にですね、携帯と、コノ旅行用に買ったデジカメを手荷物で差し出しまして、
颯爽と手ぶらで通り抜け様とした瞬間、♪キンコ〜ンとか軽やかな音がなるんですよ。

 え?まさかソンナ!とカナリ焦るワタクシ。心当たりのあるモノなんて所持していないん
ですケド。取り敢えずデジカメ用の予備電池かな?と思って出してみる。それでも軽やか
に鳴り響くキンコン第2波。もはや空港職員も黙っていられない。問答無用のボディチェッ
クが始まりました。体中をまさぐられ、全身汗だく。コレは何ですかと聞かれたのは財布で
その中には現金とカードしか入っていないのですが、不思議と金属探知器には反応が。

 ポケットに入っている全てのモノを取り出され、丸裸の気分で3度目のチャレンジ。やっぱ
り鳴りやまないキンコン。コレはどう言うコトか。先程アンドロイドになった様に感じていたの
が、実はホントにアンドロイドに成り果ててしまったのかとか、子供の頃に難しいオペを受
けていて、メスが体内に残っているんじゃないかとか色んなコトを考えたのですが、反応し
ていたのはベルトのバックルでした。

 『失礼します。』とか言って、バイタルエリア付近を確認する空港職員。何がイヤかって
汗かいている自分がイヤなんですけれども、それ触っている空港職員はもっとイヤだろう
なと思うと、輪を掛けて何もかもがイヤになりました。

 当然その間にですね、他の同僚達は出国手続きを済ませまくって韓国側に、ワタクシ
1人が日本に取り残された格好になりました。まさかホントにコノママ1人だけ日本に残る
コトになりはしないだろうなと、嫌な予感に更に全身滝汗になったのですが、何とか嫌疑
も晴れて、無事通過するコトが出来ました。

 何て言うか韓国側からですね、『何やってんのアイツ。』とかって感じでワタクシを見て
いる同僚達の笑顔がですね、微妙な優越感と言うか

♪蔑みと哀れみに縛られた夜ぅ〜

 って、ワタクシが一方的に感じていたのかもしれませんが、アルジャーノン、お前の気
持ちが痛い程解る。って言うかホントに痛い!ってな感じでした。出だしからのコノつまづ
き様は、コレからの韓国旅行を暗示している様でいまいちダークな気分に。そんなワタク
シの葛藤等気にするワケも無く、KE770便は、ソウルへと向けて、フライトを開始したので
した。

<Before(離陸まで45分

(Fly me to the Korea)NEXT>