秋田県の季節ハタハタ漁が終盤を迎えているが、今年は例年にない不漁が続いている。男鹿市北浦では漁獲枠180トンに対し、今月20日時点でのハタハタの水揚げ量は65トン。漁獲枠の3分の1ほどにとどまっている。秋田県全域でも漁獲枠480トンのほぼ半分にあたる260トンしか水揚げされておらず、品薄のために例年よりも高めの価格で販売されている状況だ。
なぜハタハタは秋田県を避けているのか。県水産振興センターがハタハタの群れに直接インタビューをして確認したところ「秋田県は出産・子育てに向いていない環境だから」という回答が最も多く寄せられた。
今年初めて産卵を迎えるというメスのハタハタさん(1歳)は「我々も産卵のために秋田の海岸に行きたい。でも秋田県民は、私たちが沖合いを泳いでいるだけで、底引き網で一網打尽にしようとするんです」とため息をつく。「網をかいくぐってやっとの思いで海岸までたどり着くと、今度は定置網や刺し網、釣竿などが待ち構えています。しかも『ブリコは煮ても焼いても美味しい』などと言いながら、卵を持っているメスのハタハタを狙ってくるんですよ。とても安心して産卵できる状態ではありません」と言うハタハタさん。安全に出産・子育てをするために、今では秋田県外での産卵を選択するハタハタがほとんどだという。
漁業協同組合は「県は1992年から1994年の3年間、禁漁をしてハタハタの子育てをサポートした実績がある。今後、人にとってもハタハタにとっても、秋田県で出産・子育てしやすい環境を整えていきたい」と話している。