Beaune

 

 

 

 

 

住 所

秋田県秋田市山王5-14-5

初めて食べた日
2003/09/18
TEL.

018-863-1514

日・祝休
営業時間
11:00〜18:00

前 説


 小さいながらもB食クラバーが勤める会社にも常務がおり、その息子がコンビニでバイトし
ているコトは知っていたが、あまり重要な情報では無いため、普段そんなコトはスッカリ忘れ
ていた。ある日そのコンビニの前を通ると、店が無くなっていたので驚いた。って言うかその
コンビニ前の道路は何度も通っているので、もっと以前からコンビニは無くなっていたハズな
のだが、その時初めて気が付いたコトに重ねて驚いた。

 建物は既に改装に取りかかっており、その外装をみると、何だか食べ物屋っぽい。しかも
作り始めたバカリの風情にも関わらず、美味そうビームをそのストリート全体にビシバシ発
射している。当然騒ぎ出すB食魂。一体どんな店に生まれ変わるんだろう?好奇心は溢れ
出し留まるトコロを知らない。

 その場所は、顔馴染みの理容店Z従業員Sさんの勤務先の近くであるため、何か情報を
知っているに違いない!と当てずっぽうにも似た直感が働き、試しに聞いてみると、その店
はパン屋で、9/1にオープンすると言う情報を得るコトが出来た。

 余談だがコノ理容店Z従業員Sさんは以前、一緒に食べ物の話をしていた時、コチラがふ
る秋田市内の食べ物屋話の殆どに付いてくるコトが出来ず、一体コノ人は普段どういうモノ
を食べているんだろう?と、胸が切なく苦しくなった覚えがある。B食クラバーが食生活を心
配されるコトはあっても、B食クラバーに食生活を心配される人って言うのは、そうそう滅多に
いるモノでは無い。

 『このまま多分、美味しいモノ何にも食べないで死んじゃうんだぁ。』と言うのは、理容店Z
従業員Sさんが、マサにポツリと呟いた忘れられない一言で、当然B食クラバーが今迄に聞
いた中で最も寂しい日本語である。おそらく、B食クラバーの耳元から一生消えるコトのない
コノ言葉は、それ程迄に鮮烈で、街角で自分の心を赤裸々に晒す吟遊詩人の言葉の様に、
真っ直ぐにB食クラバーの心に突き刺さった。涙なしには語れない詩だが。too much pain.

 そんな理容店Z従業員Sさんから、新しい食べ物屋情報を聞けたのは新鮮であり、それだ
けに感慨もひとしおである。娘を嫁に出す親の心境、と言うのとはチョット違うが、とにかく開
店するのを心待ちにしながら、時間は過ぎていった。

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Session #1


 新しいパン屋が開店するってコトはクラバーMさんも知らなかったらしく、その話を伝えた時
には、如何にも興奮を押しとどめるコトが出来ない!と言う気配を滲ませていた。更にそのク
ラバーMさんが、新しいパン屋は
ボナペティ関連のパン屋であると言う情報を持って来た。
最初にパン屋の話をしてからそれ程時間も経過していなかったのだが。一体ドコからその様
な情報を得るのか。TVドラマに登場する刑事も真っ青になる位のタレコミ屋組織の存在を背
後に感じざるを得ない。

 ボナペティのパンと聞いても、プチフランス位しか食べたコトが無いのだが、その味から察
するに、割とハイレベルのパン屋になるだろうと、容易に想像できた。9/1のオープンがいよ
いよ待ちきれなくなってきた。

 そんなコトを言いながら9/1はあっと言う間にやってきたのだが、当日は借りられるモノなら
孫の手でも借りたい!って程の忙しさで
更に女王様にお目通りも叶ったので、パン屋が開
店するなんてコトは、スッカリ頭の中から消えていた。

 忘れていたまま数日が過ぎた頃、クラバーMさんがパン食べたよ!と言って来た。あっ、
そう言えばあのパン屋もうオープンしてたんだ!と今更ながらに思い出した。が、ココでフト
冷静になり、なぜ故『(B食クラバーの分も)買って来たよ!』じゃなくて、『(とっくに1人で)食
べたよ!』なのだろうか?と思い、左半身を不整脈が襲いかけたが、不用意に言葉を発す
ると、先日感じたタレコミ屋組織がB食クラバーの周囲を暗躍するかもしれないと言う不安が
込み上げて来たので何も言わなかった。って言うか言えなかった。店の名前はボーヌと言う
らしい。

 とりあえずドンナ感じだったか聞いてみると、『堅くてしょっぱかった。』と言う返事が返って
来た。少々戸惑いを感じざるを得ない返答であったが、ボナペティはパリのビストロを名乗っ
ているレストランである。そう言えばフランスパンも堅いし、地中海に面しているのなら海の
塩の影響で、彼の地のパンもしょっぱいのかも知れない。と、そんな理由なら世界中のパン
がしょっぱいハズだってコトには気付かずに、妙に納得した。

 コレは1日も早く食べなければなるまい!と思っていた数日後、理容店Z従業員Sさんから
今度理容店Zに来る時に買っといてあげるよ!と言う話があった。素晴らしい。両方の瞳を
閉じて、瞼の裏に浮かんだ理容店Z従業員Sさんの頭の上には、金色の輪っかが見えた様
な気がした。背中には白い翼があったかも知れない。looks like an angel.

 と言うワケで、天使のSさんに髪をやって貰った後、遂に念願のボーヌのパンに対面する
コトが出来た。カボチャとチーズのパンが美味いと聞いていたのだが、本日頂いたのは、閉
店間際に3ヶまとめて\200で販売されているモノ。仕事上がりで髪をやって貰った後で、時
間も20:00を過ぎ、お腹も空いていたし、それらはアッと言う間に胃袋に収まっていった。

 天使Sさんの話によると、ボーヌでパンを作っている人は以前、イタトマでパンを作っていた
らしい。更にその前は呉服関係の仕事をしていたのだとか。なんでも、その頃から天使Sさ
んのお得意さんらしい。

 呉服屋からパン屋へ。一見何の繋がりも感じられない2つの職種。見事な迄の転身ぶりに
一体どの様な人物がパンを作っているのか気になって仕方ない。店に行ったら、『おいでや
すぅ〜。』とか言ってくれるかもしれない。だらしない格好で行ったら、『お客さん、着付けが
間違うとりますよ!』とか注意されるかもしれない。(何故か京都弁。ステロタイプ。)

 風変わりな経歴を持つ店主が作る、ちょっと変わった味がするパン。その全てを理解する
には、ヤハリ自分でパン屋に行く必要があるだろう。今からその日が楽しみである。

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Session #2


 さて、ようやく機も熟し、遂にボーヌデビューの日が訪れた。それを祝うかの様に、9月の
空は高く青い。僅かに頬に冷たく当たる風も心地よい。今迄B食クラバーの周りに起こったコ
ト全てが、コノ日のために用意されていたのか!と、ちょっと大袈裟に思ってみた。

 相変わらず美味い光線を辺りに発散させている店の前まで辿り着くと、しかし何か様子が
おかしい。店員とお客さんらしき人が、店先で激しく談笑しているのである。よっぽど話好き
な常連さんなんだなぁ〜と、開店から1月も経たない内にコノ様なクライアントをキャッチした
ボーヌの力に更に魅力を感じ、引き寄せられる様に近づいてみた。

 が、玄関には店員がタムロしており、中に入るコトが出来ない。さっきのお客さんを見送っ
ているのかよ、良いからどいてくれよ、とか思いながらフト店内を見回してみると、パンがイッ
コも置いていない。?売り切れ?嘘!と思った瞬間、女性店員が、『本日、パンを発酵させ
る機械が壊れたため、パンをお売りするコトが出来ません。』と言われた。

 な・な・な・なんですとぉ〜!色々なコトがありながら、ようやく来るコトが出来たのに、マジ
ですか?全てが今日を迎えるための完璧なシナリオだったハズなのに。お星様の莫迦。っ
てな感じで、幕が開いた瞬間、客席に3人しか観客がいなかったお笑い芸人の様な心境で
佇んでいると、『来てくれたお客さんには申し訳ない無いのでコチラをお配りしております。』
ってコトで、ガレットと言っても良いかも知れないクッキーと、ちょっと大きめの揚げ団子サイ
ズのクルミパンを貰った。

 あ〜、それでさっきアナタとお客さんはヤケに親しげに会話していたんですね、と得たり賢
し。コノ様子を誰かが見ていたら、あのお客、ヤケに店員と仲良いなぁとか思ったかも知れ
ない。水曜日には営業できると聞いたし、仕方もないので帰るコトにした。その時、店のガラ
ス越しに見えた店主と思しき人物は、なるほど、呉服界から転身してきたと言われれば納
得出来る物腰を感じさせた。

 パンは買えなかったケド、タダで商品貰ったしコリャ行って来いでチャラか?って言うか、
どっちかって言うと、大幅+かも知れない!とニヤつき、とりあえずコトの顛末を女王様に報
告してみた。すると、女王様も行ってみるという。帰って来た女王様は、しかしパンを2個貰っ
たと、衝撃の告白をして来た。

 詳しく話を聞くと、クッキーと揚げ団子では無く、フツーっぽい感じのパンを2つ貰って来た
らしい。コレも女王様特権か。富めるモノに全てが集まるのは世の中の摂理なのか。急に
心が寒くなり、目の前をダイヤモンドダストがチラついた様な気がした。

 だが、続けて女王様より、氷河期の地表に射し、あらゆるモノに生きる力を与える太陽の
光にも似た言葉が寄せられた。『後日、この間来たら機械壊れていましたぁ。』って言えば、
あんぱんをくれると言うのだ。さすが女王様。いつもコチラが思う以上の何かを与えてくれ
る。パンを発酵させる機械が直ったら、そうそうに行かねばなるまい。リベンジのチャンスは
意外と早く訪れた。ボーヌとB食クラバーの物語は、まだまだ終わらない。

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Session #3


 Revenge Day Has Come.今日は朝からボーヌに行きたくて仕方ない。歯を磨いててもボー
ヌ。車を運転しててもボーヌ。10:00にお茶しててもボーヌ。モチロン仕事をしててもボーヌ。そ
りゃ仕事をしてるって言わないんじゃないかって軽く1人ツッコミを入れたりもして、開店時間
の11:00を待った。すると、まるで申し合わせたかの様に職場に偉い人がいなくなった。今が
チャンス。11:00を少々回ったバカリの時間だが待ちきれない。無料のアンパンも見逃せな
いし、ボーヌへと車を走らせた。

 ボーヌ前。どうやら今日は通常通り営業している様子が窺える。喜び勇んで店内へと記念
すべき第一歩を踏み入れた。と、商品棚の1/3程度が空いているのが目に付いた。11:00開
店の11:15位に着いたのだが、商品はまだ全部揃っていない様だ。そう言えば最近、他の
パン屋でもこんなコトがあったよなと、思い出したのはイタトマだった。コノ辺はイタトマの伝
統なのだろうか?それとも当たり前のコトなのか?パン屋事情に詳しい人の意見を求めた
いトコロである。

 フト目に留まった商品の名札に、『ボナペティのハンバーグを使ってます。』と書かれてい
た。ソレを見て、ボーヌで出している調理パンの具は、ボナペティで作っているのか!ボナペ
ティのパンってそう言うコトか!と今更ながらに気が付いた。そう思うと、中央テーブルの上
に沢山並んでいる調理パンの数々が、カナリ美味そうに感じられた。調理パンを片っ端から
買って行こうかと思ったが、他にも買いたいパンがあったし、カナリ吟味した上、4点をトレイ
に載せてレジに並んだ。

 いよいよB食クラバーの順番が来た。不思議とB食クラバー以前の人は、誰も『こないだ来
ました。』とか言わない。言わないってコトはこないだ来なかった人なんだろうし、アンパンを
くれるって話も知らない人なんだろう。ヒョットして無料アンパンGET第1号だろうかと思いな
がら、店員と対峙した。

 店員:『…。』(たんたんと商品を袋詰めしている。)
 B:(さて、どう言う角度から切り出したモノか…。あっ、そうだ!)
  『こないだは機械壊れて大変でしたね。』
  
(コレは私は来ましたってアピールには充分だろ。さ、早くアンパンを持ってきたまえ!)
 店員:『そうなんですよ。』
(チョット笑いながら袋詰めを続ける。)
 B:
(あれっ?アンパンは?まだアピールが足りないのかな?と思いながら)
  『どの機械が壊れたんですか?』
  
(あっ、やべ。コレじゃパン焼き機業者か同業者かと思われる。)
 店員:
(何?コイツ。って風情を巧みに隠しながら)『あちらの左端の機械です。』
 B:『へぇ〜』
(八嶋、高橋、森田の表情を思い浮かべつつ。)

 店員は全ての商品を袋詰めし終わり、B食クラバーを送り出す準備万端である。2問目の
質問で大失敗した!と自覚したB食クラバーは、そのまま商品を受け取り、素直に店を後に
した。もっとストレートに『月曜日来たケド、機械故障していたのでアンパン下さい!』って言
えば良かったのだろうか?等と帰り道で思ったが、全ては後の祭りである。

 職場に戻ってからコトの顛末をクラバーAさんに話したトコロ、ソレはおそらくアンパンが未
だ出来ていなかったのに違いない、と言う意見であった。そう言えば店内で、あんドーナツ
は見掛けたが、アンパンは無かった様な気がする。いやはやトンだ勇み足である。急いて
はコトをし損じる。昔の人は良いコトを言ったモノだ。

 武蔵と戦った小次郎の心境もかくありなん、と思いながら食べるパンの味はナカナカであ
る。少々高い様な気もするが、ボナペティの料理が気軽に食べられると考えるのなら、問題
ないだろう。とりあえず、調理パンは全種類食べてみなければなるまいと思った。

 …アンパンもね。

 ※もし、このページを読んだ人の中で、当日アンパン貰ったよ!と言う人がいたら、
 是非 教えて頂きたいと思います。ヨロシクお願い致します。

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