日本全国至るトコロに、ソノ地ならでは!と言う名物な食べ物ってあるんだろうと思う。秋田県レベルで言うとソレは、キリタンポだったり、比内地鶏だったり、稲庭うどんだったりするのだろうか。
しかしそう言うのは、決まって金額が高かったり、なにやら敷居が高そうだったりして、ソレらを提供してくれる店に入ったとしても、B食クラバー的にはイマイチ居心地が悪かったりする。
何でかなーとか思ったりすると結局、ソレらはA級だから、と言うトコロに原因があったりする。B食クラバーの体には、骨の髄までB級魂が染み込んでいる様だ。もしかしたら骨にB級って刻み込まれているかもしれないし、今は違うケド血液型だってB型になってしまうかもしれない。
そんなワケで、当B食倶楽部が標榜しているトコロの、お手軽なお値段でお気軽に楽しめる各地の名物って言うと何だろう?と考えてみる。ババヘラアイス…は全県至るトコロに存在するし、横手焼きそばの知名度も今や全国区だ。もう少しソノ土地ならではの…と思いを巡らすと、ドーナツで有名な、能代のひまわり洋菓子店が浮かんできた。
何十年も前から営業していて、ソノ時子供だった人が大人になった現在でも買いに行き、尚かつ現在の子供も好んで買って行くと言う、マサに親子2代、あるいは3代に渡って愛されている。そう言う店だったら、例え貧乏が慢性化しているB食クラバーであっても、気後れするコトはないだろう。とりあえず手近なトコロで、秋田市内に無いかと脳味噌をフル回転してみる。
真っ先に浮かんだのは広栄堂のかき氷だが、夏しかやってないし違うかなーとか思うと、次に浮かんだのは冷凍ソフトでお馴染みの工藤アイス。しかもソコも夏ってイメージだし、そもそも最近は営業していないよな、とか思ってしまう。かろうじて思い出せるのは牛島のたい焼き位だろうか。
何だかも一つピンと来ないのは、秋田市が自分にとって身近すぎるからだろうか。少し離れたトコの方が、心のクリティカルヒット感が高いかもしれない。
少し離れたトコロ…。そう言えば、大館の中心部で、ずいぶんと長い間大学いもを販売し続けている店があると聞く。半ばシャッター街と化しているショッピングモールの中で、昔から今に至るまで、変わらずに市民の心を掴んでいると。
長きに渡って大館市民の心を掴み続けていると言うコトは、B食クラバーなんてコロッとアッサリ握りつぶされるに違いない。解っているのにノソノソと出掛けずにはいられない。ココに来てB食クラバーは、食に関してドMなのではないだろうかとの疑念が。
秋田市付近から大館市付近迄、地図で見ると秋田県を斜めに走る国道285号線。ホンの数年前までは、国道と言いながらも結構な山道だったのが、最近では随分整備されて、カナリ走りやすい。しかも冬だと言うのに平成18年豪雪からの教訓か、半分位の道程で、道路に雪が無かった。
以前だったら冬の道路に雪があるのは当たり前!と言うムードだったが、コレは非常に便利だ。こう言うのが今年ダケで無ければ良いなと思わずにはいられない。
当然のコトながら大館の土地勘など全く持ち合わせていないB食クラバーは、事前に一応地図を頭の中に叩き込んで見たモノの、ホントにコノ道路で良いんだろうか?と思いながらも車を走らせていた。すると、ソレらしき商店街が見えて来た。ソノ中に大学いもブースを見つけるのは難しいコトでは無かった。B食クラバーの脳内ナビも、少しずつではあるが精度が上がっている様な気がする。
1度車で通り過ぎた後、今度は車を停める場所を探す。結構自由に車を置けるスペースはある様に感じられるが、買った後スグに、1ヶでも良いから食べてみたい!と言う欲求に駆られた場合、変なトコロに車を停めていては、ユックリ食べるコトが出来ないかもしれない!と思ったので、近隣のコインパークに停めてみた。1時間で\50と言うから、ソンナに高いモノでもない。
歩いて行くと、大町バス停前には何人かの人影が。バス停を通り過ぎて歩くと、あら、アノ人大学いも買いに来たわね?って言う視線の気配を感じた。いや、まぁソノ通りだから仕方ないのだが。
シャッターが降りた商店街の中の、更にシャッターが降りた店。しかしその、シャッターの一部を切り取る様な形で通りにブースが突き出ている。ソレが評判の大学いも屋さんだと、遠くからでも充分に解る風情だ。
店の前に立つ。店員さんは見当たらない。中は広く空洞になっている。さてどうしたモノかと少々うろたえていると、奥の方からいらっしゃい!と言う声がかかった。内部全体を良く見ないウチにB食クラバーが勝手に、アソコから向こう側は只の壁だろうと決めつけていた辺りからソノ言葉は届いた様だ。ソコは店員さんの休憩スペースなのか、それとも生活スペースなのか。
あー成る程、コノ人が作ってくれるなら安心だ、と思える程に十二分な経験が、そこかしこからにじみ溢れているカーサンが、ユックリと店先にやって来た。その間に大学いも作成ブースをシッカリと見ると、芋を揚げるスペースがあり、出来上がった大学いもの保存スペースがある。
水飴に絡まったサツマイモが、冬の日射しを跳ね返すかの様に光る。ソコから透き通って、充分に揚げられているサツマイモの様子まで伺い知るコトが出来る。
見た目満点。コレは絶対美味しいに決まってる!と直感したB食クラバーは一瞬、食べ切れるかどうか解らないけれども400g位欲しい!いやもっと買って良いかも!と思ったが、いやマテよ。今迄に何度も、こう言う衝動を抑え切れずに失敗しているじゃないか。ココは一つ冷静になろう!と思い、100gだけ買ってみた。
車に戻る。さっき店先で見た大学いもの輝きが、瞼の裏に焼き付いている様で忘れられず、1ヶダケだからっ!と口に入れる。程良い水飴の甘さとサツマイモの揚がり具合、若干焦げた感じの香ばしさがたまらない。1回噛む度に、大学いものキラキラが口元からこぼれ落ちてしまいそうな感覚に。
1ヶだけ…と言いながら、もう1ヶ、もう1ヶと、気が付けば全部を食べてしまった。なまじ、食べている間の幸福感があったバカリに、食べ終わった後の虚無感と言ったら、極冠の大雪原で猛吹雪を浴びているかの様だ。
もう耐えられない!気が付くと車を降り、再び大学いもを買いに走っていた。今度は後悔しない様に、ソレでも何かのブレーキが掛かってしまって200g買ってみた。カーサンは笑顔で、50gオマケしれくれた。
コレが大学いもなんだとすると、今迄にB食クラバーが食べていたのは一体何だったんだ!と思わざるを得ない。まるっきり違うジャンルの食べ物の様な感じさえする。丁寧に作られた大学いもに、カーサンの人柄的なモノもブレンドされているのかもしれない。
コンナに美味しいモノが、何十年も昔から現在まで途絶えるコト無く販売されているのだとしたら、なんて言うかもうコレは、名物と言うよりソウルフードと言って良いのではないだろうか。いつまでもいつまでも続いていて欲しい。